じんましんは強いかゆみを伴って一過性に皮膚が赤くなって盛り上がってくる症状を引き起こします。皮膚の血管が開いたりむくんだりということが皮膚の深いところで起こり、赤みやミミズ腫れとなります。食べ物や日光、薬などはっきりした原因がある場合もありますが、9割の方は原因のはっきりしない特発性蕁麻疹です。治療は抗ヒスタミン薬という飲み薬を飲みますが、ひとりひとり自分に合う薬が違いますので、薬の効果を確認しながら治療を行っていきます。
じんましんとは
じんましんは強いかゆみとともに一過性に皮膚が赤くなって盛り上がってくる症状を引き起こします。一過性というところが蕁麻疹の特徴です。皮膚の表面が炎症をおこしている湿疹と違い、触ってもがさがさしておらず、モコモコと盛り上がった感じで、1日の中でいろいろなところに出たり消えたりするのが特徴です。通常は数十分から一日以内に消えてますが、新しくほかの場所に出てきたりします。さっきまでかゆくてひっかくとひっかいたところが赤くはれていたが、今になったら消えていた、といわれることが多いです。
9割ほどの患者さんでは原因が不明のことが多く、特発性蕁麻疹と呼ばれます。毎日のように夕方から夜にかけて出現することが多く、食事や生活に関係なく毎日皮疹が出たり引っ込んだりを繰り返している蕁麻疹はアレルギーのせいでおこるものであることはほとんどないと言われています。
ただ一方で、食物アレルギーが原因の蕁麻疹もあり、この場合は症状が出る前に原因となる食べ物を食べたというエピソードがあります。子どもでは卵、牛乳、大豆に対するアレルギーが多く、大人ではエビ、カニなどの甲殻類が多いです。そのほか、小麦、ピーナッツやソバなども蕁麻疹の原因として有名です。
特発性蕁麻疹は数日ですぐにおさまってしまう急性蕁麻疹と1ヶ月以上続き、場合によっては年単位で症状が続く慢性蕁麻疹に大きくわけられます。急性蕁麻疹では風邪などの感染症やストレス、疲労などの原因がある場合には原因がなくなるとおさまります。この場合は症状のあるときだけ飲み薬の治療を行い、症状がなくなれば飲み薬を終了しても問題ありません。
一方、慢性蕁麻疹の場合には長期間にわたって、原因がはっきりしないまま症状が出続けるので、毎日定期的に飲み薬を飲んでおさえる必要があります。特定の原因を疑った場合には採血のアレルギーテストや総IgEや好酸球といったアレルギー関連の項目を含めて採血を行うことがあります。
蕁麻疹の治療
蕁麻疹の症状はヒスタミンという物質が大きな原因となっています。ですので、治療の基本はヒスタミンの反応を抑える抗ヒスタミン薬という飲み薬です。花粉症やアレルギー性鼻炎にも使われている薬ですし、一部は薬局で市販されているものもありますので、馴染みのある方も多いと思います。
抗ヒスタミン薬には多くの薬がありますが、その中でもひとりひとり一番効く薬が違います。最初に使った薬が効けばよいのですが、効果をもっと期待したい時には薬の量を増やしたり、ほかの薬に変えたり、などでご自身に合った薬を探していきます。
特に慢性蕁麻疹は毎日抗ヒスタミン薬を飲まなければ症状が出現してしまうことが多いので、毎日定期的に飲み薬を飲んで治療します。眠気以外の副作用はほとんどありませんので、長期間飲んでも大きな心配はありません。眠気もひとりひとり出る薬と出ない薬があって、副作用の出方も含めてあった薬を探していきます。
慢性蕁麻疹の場合によく聞かれるのが”この病気は治るのか?”、”いつになったら治るのか?”という質問です。これもひとりひとり経過は様々で、抗ヒスタミン薬を数ヶ月間飲みんで落ち着かせた後は飲み薬を止めても症状が出ない方もいれば、年単位で内服しているけれども止めると症状が出てしまう方もいたり、人によって様々です。
まずは自分にあった薬を見つけて欠かさずに内服することで症状を完全に抑え、その状態を維持しつつ体を慣らしながら飲む薬の量を減らしていき、薬を飲まなくても症状が出ない、という状態を目指して治療してきます。