乾燥肌(皮脂欠乏症)、皮脂欠乏性湿疹とは
皮膚は皮脂、汗による水分による皮脂膜に覆われ、天然保湿因子、角質細胞間脂質によって守られています。その中の皮脂、汗による水分が減少することで皮膚が乾燥した状態になることを皮脂欠乏症と言います。乾燥によってかゆみが出てきます。乾燥した状態から搔きこわしによって炎症が起きて湿疹を起こしてしまった状態を皮脂欠乏性湿疹といいます。季節的には10月から3月下旬に多く見られます。時に4月以降に今まで積み重ねてきた乾燥がかゆみとなって出てくるときもあります。皮脂欠乏症では乾燥してザラザラし、細かいフケが出ます。さらに炎症を起こすと波を打ったような、亀の甲羅の模様のような亀裂が生じて皮脂欠乏性湿疹となります。よく見られるのはすねで、太ももの内側や脇腹、二の腕にも出てきます。乾燥、暖房の使いすぎ、洗いすぎによる皮脂の減少、タオルでこするなどの刺激、アトピーの体質などが関係していると考えられています。症状がひどくなるとコイン大の水っぽいジュクジュクした貨幣状湿疹という湿疹が出てしまいます。
乾燥肌(皮脂欠乏症)、皮脂欠乏性湿疹の治療
治療の基本は保湿剤を塗って乾燥した状態を治してあげることです。さらに、湿疹を起こしているときには保湿剤だけでは治らないことも多いですので、ステロイドの塗り薬で湿疹をしっかり抑えることが重要です。保湿剤には軟膏、クリーム、ローションなど様々な種類があります。
夏はさっぱりとした使用感が良いローション、冬は皮膚を保護する効果が高い軟膏やクリームなど、季節や症状に合わせて選ぶといいでしょう。
手を清潔にして保湿剤をとり、数か所に置きます。手のひらで優しく丁寧に、すりこまないようにして、塗り広げていきます。保湿剤は朝と夜2回塗りましょう。夜は、特にお風呂上りは皮脂が洗い流されて少なくなっていますので、潤いを補充してあげるのが効果的です。乾燥しがちな方は10月から保湿剤を塗ることを習慣にすることが大切です。
生活習慣の改善が皮脂欠乏症の治療、予防にはとても大切です。以下のことを気をつけるとよいです。
空気が乾燥すると、症状も悪化するため加湿器などを使用しましょう。
体を洗うときは刺激の少ない石鹸を使って、手かあるいは軟らかい布で泡を作って軽くふきましょう。ナイロンたわしやブラシなどでゴシゴシこするのと症状を悪化させてしまいます。
お湯の温度は38~40度のぬるま湯が良いとされ、湯船に使っている時間は10分以内にするようが良いでしょう。皮脂がなくなって乾燥してしまうので硫黄の入った入浴剤は避けましょう。
入浴後、軽く体をふいた後、保湿剤を体全体に塗りましょう。入浴後10分で水分がどんどんなくなっていき、保湿をしないと入浴30分後には入浴前より皮膚の水分が少なってしまうので、できれば10分以内に保湿剤を塗ることが重要と言われていますし、1日の中でこまめに塗ることが重要というデータもあります。毎日続けることが大切です。
下着や寝間着がウール素材のものだとチクチクしてかゆくなるので、木綿のものを選ぶと良いです。
アルコール類、香辛料などはかゆみを引き起こすので避けるほうがよいです。