爪白癬(爪水虫)とは
足白癬(水虫)と同じ白癬菌という真菌(カビ)が爪に定住しまうことが原因で起こる感染症です。爪が白く濁る、もろくぼろぼろになる、爪が厚くなるなどの爪の変形が起こります。足白癬から爪白癬に広がることが多いですので同時に治療することになります。
爪白癬(爪水虫)の診断と治療
足白癬(水虫)と同様、見た目だけで診断をつけることは難しく、正しい診断をするためには、爪を少し削り、その爪を顕微鏡で観察して白癬菌を見つける必要があります。治療には長い時間がかかりますので、最初の診断はしっかりつけておくことが大切です。治療には飲み薬と塗り薬がありますが、薬が効いてくると爪の根元から通常の爪が生えてきます。足の爪の伸びる速さは通常の厚さの爪で1日0.05mm(20日で1mm)程度とゆっくりですので、根気よく治療していく必要があります。 生活習慣として大事なことは、靴下は通気性のよいものとし、なるべく靴を履く時間を短くします。5本ゆびの靴下がおすすめです。また風呂場の足ふきマットはこまめに洗濯し天日干しをします。畳や絨毯などをよく掃除することも大切です。
飲み薬、塗り薬の治療は以下の通りです。
飲み薬
テルビナフィン内服
一番効果が高いと考えられますが、通常半年間毎日内服する必要があります。半年間飲み終えた後も爪に薬が残っているため、効果が持続するのを確認しながら経過を見ていきます。
また、まれではありますが副作用として肝臓などに負担がかかる方がいるため、投与開始前から投与終了まで定期的に血液検査を行う必要があります。爪の下が浮いてしまっていたり、縦に白い線が入っているタイプの薬が浸透しにくいため効果がない場合もあり、その場合は病変部を削る必要があります。
イトラコナゾールパルス療法
1週間くすりを飲んだ後に3週間休むことを3回繰り返す方法です。3ヶ月で治療が終わるので、テルビナフィンと比べて短期間で治療が終わります。こちらもテルビナフィンと同様に副作用として肝臓などに負担がかかる方がいるため、投与開始前から投与終了まで毎月血液検査を行っています。また一緒に内服できない薬が多いため、注意が必要です。爪の下が浮いてしまっていたり、縦に白い線が入っているタイプの薬が浸透しにくいため効果がない場合もあり、その場合は病変部削る必要があります。
ネイリンカプセル
2018年7月から使えるようになった新しい薬です。1日1回、12週間飲む薬です。発売されたばかりの薬ですので、2019年5月末までは1回に2週間までの処方制限があります。
塗り薬
以前は爪白癬の治療は飲み薬しかありませんでしたが、爪白癬(爪水虫)に効果の期待できる塗り薬が最近使えるようになりました。今まで爪白癬に使っていた塗り薬は爪の奥にまで薬が浸透しないので効果が低かったのですが、爪白癬の塗り薬は、爪にしっかり浸透して効果を発揮するのが特徴です。飲み薬に比べると効果は落ちると考えられていますが、飲み薬の治療が効きにくいタイプの、爪の下が浮いてしまっていたり、縦に白い線が入っている爪白癬にも効果が期待できるので、爪白癬の症状によって使い分けます。また、飲み薬のように副作用を心配しなくていいというところも利点です。