「ようやくニキビが治ったと思ったら、肌に残ったニキビ跡が消えない」という経験はありませんか。
ニキビには赤ニキビや黄ニキビなどの種類があることはよく知られていますが、実はニキビ跡も症状ごとに種類があるのです。
ここではニキビ跡の原因や種類、治療方法などを紹介します。
日常生活におけるニキビ対策についても紹介しているので、繰り返しできるニキビやニキビ跡が気になる方はぜひ参考にしてください。
ニキビ跡ができる原因
ニキビ跡とはニキビが治った後に肌に残る「赤み」や「クレーター(萎縮性瘢痕)」、「ケロイド(肥厚性瘢痕)」、「色素沈着」といった症状のことです。
ニキビ跡の原因は、ニキビの影響により肌に炎症が繰り返し起こってしまうことにあります。
ニキビができるメカニズム
ニキビの原因菌であるアクネ菌は誰の肌にもある皮膚常在菌です。
皮脂の過剰分泌の影響で毛穴が詰まると、毛穴の中でアクネ菌が増殖してしまいます。
アクネ菌が増殖すると、免疫反応により血管が拡張されて血液量が増え、血液中の白血球が速やかにアクネ菌の増殖している毛穴へと運ばれます。
その結果、炎症が起こりニキビの症状があらわれるのです。
繰り返しできるニキビの影響
白血球はアクネ菌を排除するために、活性酸素と呼ばれる物質を放出します。
この活性酸素はアクネ菌だけではなく正常な肌細胞にもダメージを与えてしまいます。
ニキビを放置していると、詰まった毛穴の中でアクネ菌が増殖して白血球が集まり、毛穴の中は活性酸素によってどんどんダメージを受けてしまうのです。
そうなると、余分な皮脂がさらに毛穴に詰まりやすくなり、ニキビの症状は悪化してしまうのです。
ニキビの症状が長引くと、炎症や免疫反応が繰り返し起こり、肌細胞は大きなダメージを受けてニキビ跡があらわれやすくなります。
ニキビ跡の4種類
ニキビ跡は肌の状態によって、主に4つの種類に分けられます。
「赤み」、「クレーター(萎縮性瘢痕)」、「ケロイド(肥厚性瘢痕)」、「色素沈着」という4種類の特徴について紹介します。
1.赤み
皮膚の下にある血管が透けて見えるのが赤みの原因です。
ニキビの影響で毛穴に炎症が起こるときに、炎症の程度が強かったり、炎症が繰り返し続いたりした場合には血管が拡張してしまいます。
そのために皮膚の下にある血管が赤く見えるようになるのです。
ニキビの炎症が強くて血管が傷ついている場合は、血管から外に赤血球が漏れ出て赤紫色のニキビ跡になることもあります。
2.クレーター(萎縮性瘢痕)
皮膚の内側にある真皮層は細胞分裂に乏しいため修復が難しい部分です。
炎症によって真皮層の肌細胞まで破壊されてしまったときには、月のクレーターのようなニキビ跡が長く残ってしまうかもしれません。
肌細胞が壊されてコラーゲンが減った場合や、繰り返す炎症によって皮膚が下に引っ張られた場合にも、皮膚の表面にボコボコとした凹みがあらわれます。
一度でも破壊されてクレーターのように凹んでしまった皮膚は、放置していても自然治癒することはなく、自力で治すのは困難です。
3.ケロイド(肥厚性瘢痕)
ニキビの炎症が長く続くと、破壊された細胞を修復するための反応が起こります。
このとき皮膚のコラーゲンが過剰に作られるようになると、コリコリとした硬い触感のできものに見える肥厚性瘢痕があらわれるかもしれません。
とくに深いニキビが出来やすいようなフェイスラインから顎周りにかけて症状がよく見られます。
4.色素沈着
ニキビによる炎症の影響で色素沈着が起こると、ニキビ跡が茶色く見えるかもしれません。
これは日焼けをして赤くなった後に茶色く日焼けするのと同じ原理で、炎症から肌細胞を守るためにメラニン色素が大量に作られるためです。
シミのもとになるメラニン色素を作る細胞のメラノサイトが刺激され、メラニンが過剰に生成されることでニキビの跡が茶色くなります。
健康な肌ではターンオーバーが一定のリズムで行われますが、ニキビのある肌はターンオーバーが乱れやすく、メラニンが排出されにくくなり、色素沈着を起こしやすいのです。
ニキビ跡の改善方法
当院では、まずはニキビの治療をして新しいニキビ跡が作られにくい状態にしてから、残ったニキビ跡の種類にあわせた治療をしています。
1.赤み
ニキビを治療して炎症を起こさないことが重要です。
炎症が起きていない状態を維持することで赤みの改善が期待できます。
それでも残ってしまった赤みについては、原因となっている血管にアプローチして、赤みを改善しやすい状態へと導きます。
主な治療方法
2.クレーター(萎縮性瘢痕)
コラーゲンが減少して皮膚が凹んでしまった状態です。
コラーゲンの量を増やすような施術が重要です。また、クレーターと肌の境界部分がくっきりしていると凹みが目立つため、施術により境界をぼかして目立ちにくくすることもあります。
主な治療方法
3.ケロイド(肥厚性瘢痕)
皮膚でコラーゲンが増え過ぎて塊を作っている状態です。
コラーゲンを減らして塊をほぐすような治療が必要です。
主な治療方法
「ステロイド薬(注射、塗り薬、貼り薬)」
4.色素沈着
炎症によってメラニン色素の産生が増えた場合や、皮膚のターンオーバーの乱れなどの影響でメラニン色素が肌にとどまった状態です。
メラニンの産生を減らして皮膚のターンオーバーを促進し、メラニン色素の排出を促すことが色素沈着の改善につながります。
主な治療方法
「内服薬(ビタミンC)」、「外用薬(ハイドロキノン、レチノイン酸)」
ニキビ跡のあらわれ方には個人差があり、種類に合わせて治し方も異なります。
ニキビ跡が気になる方は、お気軽にご相談ください。
ニキビ跡の治療方法
ここでは当院で受けられるニキビ跡の治療方法について紹介します。
Vビーム
一般的に「いちご状血管腫」、「単純性血管腫」、「毛細血管拡張症」の治療として使用される色素レーザーです。
赤みの原因となっている血管中のヘモグロビンをターゲットとしてレーザーを照射します。
血管を破壊して赤みを改善する効果があり、ニキビ跡の赤みにも有効です。
副作用
赤み、むくみ、腫れ、内出血、色素沈着など
<禁忌事項>
以下の方は施術が受けられません。
- 妊娠中、妊娠の予定がある方
- 日焼けをしている方、日焼けをする予定のある方
- 皮膚に強い炎症や湿疹がおきている方 など
<注意事項など>
- メイクは当日から可能です。
- 治療中は日焼け止めを塗るなど紫外線予防をしてください。
ダーマペン
ダーマペンは髪の毛よりも細い針を皮膚に刺し、一時的に小さな穴を開けることにより自然治癒力を高めて、ハリのあるふっくらとした素肌を目指す治療です。
自然治癒力が高まると、皮膚内にある線維芽細胞が活発になりコラーゲンやエラスチンといった肌に必要な成分が作られます。
さらに成長因子などの肌状態を整える成分が含まれた薬液を塗布して肌細胞にアプローチします。
副作用
赤み、内出血、皮むけ、むくみ、腫れ、アザ、カサブタなど
<禁忌事項>
以下の方は施術が受けられません。
- 妊娠中の方
- 金属アレルギーの方
- ケロイド体質の方 など
<注意事項など>
- 針を刺した部分に数ミリの小さい内出血ができるかもしれません。
- 施術後の数日間は、肌に赤みがあらわれる、皮がむけるなどの症状が見られます。
ポテンツァ
ポテンツァはダーマペンと同様に、細い針を皮膚に刺すことで自然治癒力を高めてハリのあるふっくらとした素肌を目指す治療方法です。
ダーマペンとは違い、針先から高周波を照射できるため、肌内部の真皮層をターゲットに熱エネルギーを与えられます。
線維芽細胞の活性化、ニキビの原因となる皮脂腺の焼灼作用、血管新生の抑制作用などが期待できる施術です。
ポテンツァには、独自のドラッグデリバリーシステムが搭載されています。
このシステムにより薬剤をポンピング機能で均一に真皮層まで届けて治療効果を高めます。
副作用
赤み、腫れ、内出血、熱感、カサブタ、色素沈着など
<禁忌事項>
以下の方は施術が受けられません。
- 妊娠中、授乳中の方
- 心臓ペースメーカーなど埋め込み型医療機器を体内に埋め込んでいる方
- 歯にブリッジやインプラントが入っている方
- 治療部位に金属糸、または金属プレートなどを入れている方
- 局所麻酔薬、抗生物質または、その他の薬に対するアレルギーがある方
- 血液サラサラの薬を飲まれている方
- てんかん、糖尿病、糖尿病合併症、皮膚悪性腫瘍、自己免疫疾患を患っている方
- 皮膚炎、単純ヘルペスが出ている方
- 金属アレルギー、ケロイド体質の方 など
<注意事項など>
- 施術直後に赤みや乾燥を感じる場合、皮膚の再生を促すためにマスクパックの使用をオススメします。
- 施術後1週間はピーリング製品、スクラブ入りの洗顔料などの使用は控えてください。
- 施術後は一時的にニキビができるかもしれません。
- 日常的な紫外線対策をオススメします。
TCAクロス
TCAクロスは高濃度のトリクロロ酢酸という薬剤を使ったピーリングです。
クレーター跡に塗布すると凹んだ部分のコラーゲンが増えるため、表面の肌と患部の境界が目立ちにくくなります。
クレーターの形には、肌の奥まで穴が開いている「アイスピック型」、垂直で四角くへこんだ形の「ボックスカー型」、いびつな形で肌の奥まで穴が開いている「ローリング型」があります。
とくに「アイスピック型」や「ボックスカー型」のニキビ跡には、TCAクロスが向いています。
副作用
赤み、カサブタ、熱感など
<禁忌事項>
以下の方は施術が受けられません。
- 妊娠中、授乳中の方 ・ケロイド体質の方 など
<注意事項など>
- 施術直後から数時間はヒリヒリ感があります。
- 塗布した部位は白くなりますが、数時間~2日でカサブタに変化します。
- カサブタは1週間程度で自然に取れます。ムリにはがさないでください。
- カサブタがとれた後の皮膚は、一般的な傷跡のように赤〜ピンク色へ変化します。日焼けしやすい肌状態のため日焼け止め対策をしてください。時間が経過するにつれて肌の色は目立たなくなります。
- カサブタが取れた後は一時的に凹みが大きくなったように見えますが、時間が経過するにつれて徐々に改善していきます。
- 施術当日のメイクは控えてください。メイクは翌日から可能です。メイク時にはカサブタをはがさないように注意してください。
各種薬剤
施術と薬剤を併用することで、ニキビ跡治療の効果を実感しやすくなります。
ステロイド薬
ケロイド(肥厚性瘢痕)の治療には、硬いしこりに直接「ステロイドを注射する」方法が向いています。
また「ステロイドの塗り薬、貼り薬」なども使われます。
ビタミンC
「ビタミンC」の内服薬は、できてしまったメラニン色素にアプローチする働きとメラニン色素を作られにくくする働きがあります。
ハイドロキノン
「ハイドロキノン」の塗り薬は、メラニンを作る酵素の働きを抑制してメラニンを作られにくくします。
レチノイン酸
「レチノイン酸」の塗り薬は皮膚のターンオーバーを促進してメラニン色素の排出を促す効果が期待できます。
日常生活におけるニキビ対策
日常生活ではニキビができにくいような対策を心がけましょう。
「スキンケア」、「食事」、「運動」、「睡眠」に気をつけてニキビができにくい肌状態を目指しましょう。
スキンケア
スキンケアの中でも化粧水による保湿は大切です。
まずは使用する半分量の化粧水を手にのせて両手で温めてから顔全体に塗り、残った半分量の化粧水を目元や口元などの乾燥しやすい部分に重ね塗りするとよいでしょう。
また日焼け止め製品を使いながら幅の広い帽子を着用するなど、紫外線対策もしっかり行いましょう。
食事
食事は肌質を整えることにつながります。栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
肌に必要な栄養素は、皮脂の分泌を調整する「ビタミンB2」や「ビタミンB6」、肌のバリア機能の低下を防ぐ「ビタミンC」、血流をよくして肌荒れの解消をサポートする「ビタミンE」などがあります。
肌状態が気になる時には、各種栄養素を積極的に摂取しましょう。
運動
汗をかく程度の軽い有酸素運動がオススメです。
ウォーキングやジョギングなどの全身運動は、体の代謝を上げて肌のターンオーバーを整えます。
また発汗により、肌の水分量を増やして角質をやわらかくする効果も期待できます。
運動後はこまめに水分補給して皮脂や老廃物の排出を促しましょう。
睡眠
睡眠中に分泌される成長ホルモンには、肌ダメージを修復して肌を健やかに保つ働きがあります。
睡眠不足や睡眠の質が悪いときには、成長ホルモンの分泌量が低下して肌のターンオーバーが乱れやすくなります。
熟眠感があるような質の良い十分な睡眠を心がけましょう。
ニキビやニキビ跡の症状を繰り返さないためにも、日常生活の過ごし方を見なおして健康的な素肌を手に入れましょう。
料金
ニキビ跡治療に以下の施術を用いるときには、公的医療保険が適用されない自由診療です。
Vビーム
保険診療の場合:6,500円~32,000円 (照射面積で変わります)
(※症状によっては保険診療内で治療ができる可能性もあります。詳しくは医師までご相談ください。)
自費診療の場合
全顔(レーザーフェイシャル) | 32,780円(税込) |
---|---|
目元のハリ | 10,780円(税込) |
両頬の赤み(赤ら顔、ニキビの赤み) | 21,780円(税込) |
鼻の赤み | 10,780円(税込) |
傷跡の赤み | 1か所につき 10,780円(税込) |
ダーマペン
顔全体:成長因子入りマスクパック付き | |
---|---|
使用薬液 | |
サイトプロMD | 33,000円(税込) |
ウーバーピール | 22,000円(税込) |
ポテンツァ
ニキビ跡治療・スキンリジュビネーション治療(使用薬液:サイトプロMD)
全顔 | 1回 | 88,000円(税込) |
---|---|---|
両頬+鼻or両頬+こめかみ | 1回 | 69,300円(税込) |
TCAクロス
5か所以下 | 1回 | 5,500円(税込) |
---|---|---|
6~10か所 | 1回 | 9,900円(税込) |
11~20か所 | 1回 | 17,600円(税込) |
川崎の皮膚科なら「川崎たにぐち皮膚科」
ニキビ跡を改善するためには、まずはニキビ跡の原因となるニキビを治療することが必要です。
ニキビ治療後、肌に残ってしまったニキビ跡のあらわれ方には個人差があり種類に合わせて治し方も違います。
当院ではニキビの治療だけではなく、肌に残ってしまったニキビ跡の治療もしています。
保険診療主体で一般皮膚科から手術、レーザー、紫外線治療、アレルギー検査まで幅広い皮膚のお悩みに対応しています。
ニキビ・ニキビ跡が気になるときはお気軽にご相談ください。
「Vビームについて」
<未承認医薬品等(異なる目的での使用)>Vビームは医薬品医療機器等法上において、「単純性血管腫、苺状血管腫、毛細血管拡張症」の使用目的で承認されていますが、当院で行う美容目的の使用については国内で承認されていません。
<入手経度等>
当院医師の判断の元、シネロン・キャンデラ社より個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご覧ください。
<国内の承認機器の有無>
同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
<諸外国における安全性などに係る情報>
諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。
「ダーマペンについて」
<未承認医薬品等>ダーマペンは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認機器です。
<入手経度等>
当院医師の判断の元、国内販売代理店経由で購入しています。
<国内の承認機器の有無>
同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
<諸外国における安全性などに係る情報>
米国FDAで承認されています。
「ポテンツァについて」
<未承認医薬品等>ポテンツァは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認機器です。
<入手経度等>当院医師の判断の元、Jeisys Medical Inc.より個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご覧ください。
<国内の承認機器の有無>
同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
<諸外国における安全性などに係る情報>
韓国MFDSの認証を取得しています。
「TCAクロスについて」
<未承認医薬品等>TCAクロスは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品です。
<入手経度等>
当院医師の判断の元、国内販売代理店経由で購入しています。
<国内の承認機器の有無>
同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
<諸外国における安全性などに係る情報>
諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。