「単純性血管腫にはレーザー治療が良いと聞いたけれど、本当に効果があるの?」「痛いって本当?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
単純性血管腫は生まれつきの赤あざで、レーザー治療で治せる症状です。
この記事では、単純性血管腫のレーザー治療について、仕組みや治療回数、注意点などを詳しく解説します。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
2007年に東京大学を卒業後、東京大学医学部附属病院を中心に総合病院やクリニックで一般皮膚科、小児皮膚科、皮膚外科手術、アレルギー、美容皮膚科領域の診療を行ってきました。その経験・知識を活かし、幅広い医療機器を備えて、様々な皮膚のトラブルの助けになれるよう取り組んで参ります。
単純性血管腫(赤あざ)について
ここでは、単純性血管腫(赤あざ)について解説します。
生まれつきできる赤あざの正体
単純性血管腫は、生まれつき皮膚の真皮にある毛細血管が異常に拡張して血流が増えてしまった状態です。
血管の奇形に分類されるもので、皮膚を通して拡張した毛細血管が透けて見えるため、赤くあざのように見えます。
自然に消えることはある?残る可能性について
単純性血管腫は、残念ながら自然に消えることはありません。むしろ、成長とともに色が濃くなったり、あざの範囲が体の成長に合わせて大きくなったりします。
また、成人期になると皮膚の表面が硬く盛り上がり、凹凸が目立ってくることもあります。
他のあざとの見分け方
乳児期にみられる赤あざには、自然に消えていく「いちご状血管腫」や「サーモンパッチ」などがあります。
一方で、単純性血管腫は自然消退しないのが大きな違いです(ただし、額や眉間にあるサーモンパッチは単純性血管腫の一種ですが、成長とともに消える可能性があります)。
あざの種類を自己判断せず、必ず皮膚科専門医の診断を受けましょう。
レーザー治療で単純性血管腫は治る?
ここでは、単純性血管腫にレーザーが効く仕組みと原理、治療効果が出やすい時期や年齢について、解説します。
レーザーが効く仕組みと原理(Vビームなど)
単純性血管腫の治療には、Vビームなどの色素レーザーが用いられます。
照射されたレーザー光は、赤あざの原因である血液中の赤い色素(ヘモグロビン)に選択的に吸収され、熱エネルギーに変わります。その熱によって異常に増えた血管だけが破壊される、というのが基本的な仕組みです。
また、血管周囲の組織にも熱が伝わることで肌のハリに必要なコラーゲンの生成が促進される効果も期待できます。
治療効果が出やすい時期や年齢
単純性血管腫の治療は、早期に開始するほど効果が高いとされています。
これは、特に乳幼児期は、
①皮膚が薄くレーザーの光が血管まで届きやすい
②治療後の回復が早い
③あざの面積が小さく効率的に治療できる
といったメリットがあるためです。
また、成長に伴って色が濃くなったり、皮膚が硬く盛り上がったりするのを予防する観点からも、早めの治療開始が推奨されています。
治療回数の目安と治療後の経過
効果を感じるまでの回数には個人差がありますが、一般的に複数回必要です。施術直後の腫れは、数日で落ち着きます。
1回で治る?
1回のレーザー治療で単純性血管腫が完全に消えることはまれです。
非常に色が薄く、範囲が狭いといった例外的なケースを除き、複数回の治療を重ねていくことが基本となります。
何回で改善されるか
効果を感じるまでの回数には個人差が大きいですが、一般的に3カ月に1回の治療を5回以上続けることが一つの目安です。
乳幼児に比べ、成人では回数が多くなる傾向があります。回数を重ねるごとに徐々に色が薄くなっていきますので根気強く治療を続けることが大切です。
1カ月後などの治療の経過
施術直後には、肌に赤みやヒリヒリとした痛みを感じることがありますが、これはレーザーがしっかりと効いている証拠です。
数日で腫れは落ち着き、内出血が生じた場合も1~2週間ほどで吸収されていきます。
かさぶたができた場合は、無理に剥がさず、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。
治療を受ける前に知っておきたい注意点
ここでは、レーザー治療の副作用や保険適用について、解説します。
副作用や赤み・色素沈着のリスク
レーザー治療の副作用と期間は、以下のとおりです。
副作用 | 期間 |
---|---|
赤み | 数時間~3日 |
むくみ・腫れ | 2~5日 |
かさぶた | 1~2週間程度で自然に剥がれ落ちる |
内出血 | 1~2週間程度で落ち着く |
色素沈着・色素脱失 | 数カ月ほどで落ち着く |
痛み
治療効果を出すためにある程度の強さで照射するため、輪ゴムでパチンと弾かれるような、ヒリヒリとした痛みを伴います。
痛みの感じ方には個人差がありますが、照射した部位を保冷剤などで冷却すると、痛みは和らぎます。
保険適用になるかどうか
単純性血管腫、いちご状血管腫(乳児血管腫)、毛細血管拡張症のレーザー治療は、公的医療保険の適用対象となります。
保険診療で治療を進める場合、治療間隔は3カ月以上あけるのが一つの目安になっていますが、一律ではありません。症状や治療経過によって最適なスケジュールは異なりますので、担当の医師とよく相談してください。
住んでいる自治体によっては、子どもの医療費助成制度が利用でき、川崎市においても自己負担額を軽減することが可能です。
当院で行っているレーザー治療
当院では、厚生労働省の承認を受けた医療用レーザー「VビームII」を使用しています。
安全性と効果が認められた治療機器であり、保険適用が認められている疾患であれば、健康保険を使って治療を受けていただけます。
Vビームの効果
Vビームは、単純性血管腫(赤あざ)の治療において標準的な医療用レーザーです。原因になっている異常に増えた毛細血管中の血液の赤い色素(ヘモグロビン)にだけ、反応する特殊な光を照射するというものです。
レーザー光のエネルギーは熱に変わり、異常に増殖した血管のみを選択的に破壊します。
周囲の正常な皮膚組織へのダメージは最小限に抑えられるため、安全性が非常に高いのが大きな特徴です。
Vビームは保険適用の単純性血管腫以外に、自由診療にはなりますが、赤ら顔・ニキビ跡の赤み・老人性血管腫といった、さまざまな血管性の病変治療にも効果が期待できます。
当院の特徴
当院では、日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医が、豊富な症例経験に基づき、一人ひとりのお肌の状態に合わせて的確な診断と出力設定で治療にあたります。
痛みを最小限に抑えるために施術には麻酔クリームを使用し、施術後には炎症を抑える薬を塗布するなどアフターケアまで丁寧にしています。
費用
Vビームを保険診療でした場合の費用は、以下のとおりです。
項目 | 費用(税込) |
---|---|
初診料 | 約900円 |
再診料 | 約200円 |
施術料(照射面積によって、異なる) | 約6,500円~32,000円 |
自由診療の場合については、以下にありますので、あわせてご覧ください。
よくある質問
血管腫のレーザー治療のデメリットは?
レーザーを照射した後の皮膚は、一時的にバリア機能が低下し、非常にデリケートな状態になっています。
そのため、施術後1週間ほどは照射部位を強くこすったり、引っかいたりしないよう慎重に扱う必要があります。
レーザー治療後に気をつけることは?
洗顔、メイク、シャワーは、特に問題がなければ施術の翌日から可能です。
ただし、治療期間中は肌が紫外線の影響を受けやすくなっているため、日焼け止めを塗るなど毎日の紫外線対策を徹底してください。
単純性血管腫は再発することがありますか?
再発する可能性はゼロではありません。しかし、再発する理由や割合といった点については現時点ではっきりしていない状態です。
もし色味が戻ってきた場合は、再度レーザー治療を行うことで改善が期待できます。長期的な通院が必要になる可能性も考えておくとよいでしょう。
単純性血管腫でレーザー治療を検討中の方は、川崎たにぐち皮膚科へ
レーザー治療は、あざによるお悩みを解消するための有効な選択肢です。
当院では、皮膚科専門医が安全性の高い医療レーザー「VビームII」を使用し、一人ひとりの症状に合わせた丁寧な治療計画を提案いたします。
生まれつきの赤あざ(単純性血管腫)でお悩みの方は、ぜひ、川崎たにぐち皮膚科にご相談ください。
参考文献
日本皮膚科学会|アザとホクロ「Q14単純性血管腫に対してはどうすればよいのでしょうか?」