代表的な色素レーザーであるVビームは、施術によって起こりやすい副作用・ダウンタイムがあります。
ここでは、当院で使用しているVビームⅡの副作用・ダウンタイムなどについて紹介します。
後半部分では、VビームⅡに関するQ&Aも掲載していますので、VビームⅡを使った施術に興味がある方は、ぜひご覧ください。
VビームⅡとは
VビームⅡは、米国製の色素レーザーです。
厚生労働省が認可した医療機器であり、各種血管病変に対する治療に使われています。
VビームⅡから照射されたレーザー光は、血液中の赤血球に選択的に吸収される特徴があります。
レーザーの光エネルギーが患部で熱に変換されることにより、赤血球で発生した熱が周囲へと伝わって血管が破壊されるのです。
VビームⅡの副作用について
VビームⅡは、病名や症状によってレーザー照射のパワーを変化させながら施術を行います。
それぞれについて起こりやすい副作用について紹介します。
<単純性血管腫、乳児血管腫など>
皮膚の浅い場所にある細い血管に、問題が起こっているような疾患です。
血管を破壊させる(内出血をつくる)ようなしっかりとしたパワーでレーザー照射をすることが多いため、以下のような副作用が起こりやすくなります。
- 赤み
- 内出血
- 痛み
- かさぶた
- 炎症後色素沈着
<毛細血管拡張症など>
皮膚のある程度深い場所にあるやや太めの血管に、問題が起こっているような疾患です。
血管を破壊するのではなく凝固して消し去るような照射方法である程度のパワーで周囲に熱を拡散させるようなレーザー照射をするため、以下のような副作用が起こりやすくなります。
単純性血管腫、乳児血管腫にもこのような照射方法をするときもあります。
- 赤み
- 腫れ
- 痛み
※内出血も起こるかもしれませんが、まれです。
<赤ら顔など>
皮膚の深い場所にある血管に、問題が起こっているような疾患です。
マイルドなパワーでレーザー照射をするため、以下のような副作用が起こりやすくなります。
- 赤み
- 痛み
※腫れも起こるかもしれませんが、まれです。
VビームⅡの施術に関して副作用が気になるときには、お気軽に医師までご相談ください。
VビームⅡのダウンタイムについて
VビームⅡの施術によって起こる可能性がある副作用について、それぞれダウンタイムの目安を紹介します。
赤み
皮膚に炎症が起こっていると肌に赤みがみられるかもしれません。
ほとんどの場合、施術後から数時間ほどで症状は落ち着きます。
腫れ
毛細血管拡張症などの場合、患部が腫れやすくなります。
ほとんどの場合で腫れは1週間ほどで症状は落ち着きます。
内出血
単純性血管腫、乳児血管腫などの場合、患部に青あざのような内出血が見られるかもしれません。
血管を壊すような方法で照射する場合は内出血が起きるのを目安に照射の強さの設定をするので必発です。
ほとんどの場合、数週間ほどで症状は落ち着きます。
痛み
患部や肌状態などにより、ヒリヒリとした痛みを感じることがあります。
患部が炎症をしていると痛みを感じやすくなります。
必要時には保冷剤などをご利用ください。
かさぶた
かさぶたができてしまったときには、無理にはがさないようにしましょう。
1~2週間ほどで自然とはがれ落ちます。
炎症後色素沈着
体質などにもよりますが、レーザーの影響で黒ずみ(炎症後色素沈着)が起こるかもしれ ません。
数か月~半年で少しずつ症状が落ち着いていきます。
上記以外にも気になる症状があるときには、お気軽にご相談ください。
VビームⅡ治療のQ&A
ここでは、VビームⅡに関するよくある疑問点について、代表的なものを紹介します。
Q. ダウンタイム期間が過ぎても症状が残っているときにはどうすればいいですか?
A. 肌状態は個人差があるため、記載したダウンタイム期間はあくまで目安です。
そのため、ダウンタイム期間が過ぎてから症状が落ち着く方もいます。
ダウンタイムを過ぎても症状が悪化していると感じるときには、お気軽にご相談ください。
Q. Vビームの施術後に傷が残ることはありますか?
A. 通常の場合、施術後に傷が残ることはほとんどありません。
しかし、まれに赤い傷跡(瘢痕)が残る可能性もあります。
施術後は紫外線から肌を保護して、強い刺激を避けるようにしましょう。
Q. Vビームの痛みはどのぐらいですか?
A. 痛みの感じ方には個人差が大きく、施術部位や肌状態にもよりますが、輪ゴムでバチンと弾かれた程度の痛みです。
脂肪が薄いところでは骨に響く感じの傷みもあります。
VビームⅡに備わっている冷却装置によって、患部を冷やしながらレーザーを照射するため、麻酔なしでも施術を受けられるかもしれません。
ただし、症状や患部によっては強い痛みを感じやすくなります。
ご希望時には麻酔薬を利用できるため、ご相談ください。
Q.妊娠中でもVビームの施術は受けられますか?
A.下記のような方は、Vビームの施術が受けられません。
- 妊娠している方や妊娠している可能性のある方
- 日焼けをしている方、すぐに日焼けをする予定のある方
- 皮膚に強い炎症や湿疹がおきている方
など 現在なんらかの疾患を治療している方、服用中の薬がある方、患部に気になる症状がある方、特定のアレルギーがある方などは医師まで直接ご相談ください。
Q.Vビームと他の施術について、どちらを受けるべきなのか悩んでいます。
どうやって選べばよいですか?
A.Vビームは、血管の赤みに対してレーザーを照射するため、赤ら顔や赤あざなどに向いた施術です。
どのような施術を優先して治療をするのかといった内容については、現在の患部の状態や、お悩みなどによって一人ひとりで異なります。
どの施術を受ければよいか迷っているときには、まずはお気軽に医師までご相談ください。
Q.Vビームを受けるタイミングは、早い方がよいのでしょうか?
A.赤あざ(単純性血管腫)の場合には、施術予定部位の範囲が狭いときにVビームの施術を開始した方が効果を実感しやすいと言われています。
疾患によっては、時間がたつにつれて患部が広がったり形が変化したりすると、レーザーの効果が低くなる恐れもあるのです。
また、症状があることに対してコンプレックスを抱いているときには、早めに治療を開始することでお悩みが解消されやすくなります。
Q.保険内でVビームの治療を受けたいです。注意することはありますか?
A.Vビームは、「単純性血管腫」、「乳児血管腫(いちご状血管腫)」、「毛細血管拡張症」に対してのみ健康保険や各種医療証を適用した治療が受けられます。
ただし、前回の施術から3か月以上の期間を空けてから次回の施術を行わなければなりません。
また毛細血管の拡張が確認できないような赤ら顔については保険が適用されないため、自費診療です。
現在気になっている症状が保険適用で治療ができるのか、具体的な内容に興味があるときには、医師までご相談ください。
Q.生まれたばかりの子どもに赤あざがあります。赤ちゃんでも治療は受けられますか?
受けられない場合は、何歳になったら治療ができますか?
A.当院では、生まれつきある赤あざにはVビームで治療をしています。
治療を開始する時期については、症状や疾患によっても異なるため、まずは医師までご相談ください。
Q. 乳児血管腫(いちご状血管腫)は、成長すると自然に治ると聞きました。
治療はしなくてもよいのですか?
A.乳児血管腫(いちご状血管腫)は、無治療で放置していても、自然と赤みが消えていく疾患です。
しかし鼻や口、首などにできたときには食事や呼吸がしにくくなりますし、目や耳の近くにできたときには視力や聴力に悪影響を及ぼすこともあります。
また血管腫の影響により、たるみなどの跡が残ってしまうかもしれません。
このように、子どもが正常に成長する妨げとなるような場合には、積極的な治療を早めに開始する必要があるといえます。
Q. 乳児血管腫(いちご状血管腫)をVビームで治療中です。見た目がほとんど気にならなくなり、治ったように思います。
医師からは次回も受診するよう言われましたが、自己判断で治療を終了してもよいですか?
A.自己判断による治療の中止はオススメできません。
乳児血管腫(いちご状血管腫)は、治療を途中で中断したときには、再び患部がふくらむなど、症状が再発する場合もあります。
保護者の方が自己判断で治療を中止せずに、医師の指示に従って治療を続けましょう。
次回受診の予定があるときには、しっかり守りましょう。
Q.Vビームの治療後は、再発することはありませんか?
A.頬にできる赤ら顔などは体質的な影響もあるため、Vビームで治療してからも再発する可能性がありますが全く元に戻るというよりは赤みがまた少し出てきているといった程度のことが多いです。
また年数が経過して新しい血管が作られたり血流が回復したりすると、肌の赤みが気になるかもしれません。
症状や疾患によっても異なりますが、以前に施術をした同じ場所であっても再発するリスクはあります。
Q.施術時間はどのぐらいかかりますか?
A.患部の大きさや症状などによっても異なりますが、施術自体は約5~10分です。
施術前に麻酔薬を使うときには、麻酔の効果があらわれるまで約15分かかります。
またメイクをしてから来院されたときには、クレンジングと洗顔の時間も必要です。
施術当日は、お時間に余裕をもってご来院ください。
Q.赤ら顔が気になって、他院でVビームを受けたことがあります。
効果を実感できなかったのですが、Vビームを受けた方がよいですか?
A.症状によっても異なりますが、Vビームは一回だけではなく、複数回の施術で効果を実感することもあります。
また、施術者の技術力や経験などによっても、施術内容に差が出るかもしれません。
医師の診察により現在の肌状態などを確認したうえで、Vビームで対応可能かを判断いたしますので、まずは当院を受診してください。
まとめ
VビームⅡは、さまざまな血管病変に使われる医療機器です。
病名や症状によって、レーザーを照射するパワーなどを細かく調整して使うため、色々な副作用が起こるかもしれません。
それぞれのダウンタイムについて、目安時間を紹介しましたが、必ずしもすべての人に当てはまるわけではありません。
「ダウンタイムを過ぎても症状が悪化している」、「紹介している以外に気になる症状が出てきた」、「Q&Aに書かれていないことが知りたい」など、施術後に関して気になる症状・疑問点などがあるときには、いつでも当院までご相談ください。
川崎の皮膚科なら「川崎たにぐち皮膚科」
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お気軽にご相談いただければと思います。