太田母斑・ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)と診断され、レーザーで治せると説明を受けたものの、本当に治療できるのか、メカニズムや注意点など、疑問や不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
シミだと思っていたら太田母斑・ADMだったというケースは少なくありません。
診断・治療には専門知識が必要なため、信頼できる皮膚科の医師に相談することが大切です。
今回は、太田母斑・ADMの症状や原因、レーザー治療のメカニズムや注意点などについて詳しくご紹介します。
太田母斑・ADMとは
太田母斑・ADMは青あざの一種です。
太田母斑・ADMの見た目はさまざまですが、典型的なものは青紫から灰紫青色で、薄い褐色の小さな色素斑が混在しています。
色調が同じ褐色の色素斑が現れている場合、茶あざやそばかすなどと区別しにくい点に注意が必要です。
また、目のくまだと思っていたら太田母斑・ADMだと診断されるケースもあります。
太田母斑の症状
太田母斑は現れる部位は額や目の周り、頬、鼻耳などで、通常は顔の左右いずれかに現れます。
ただし、稀に両側に現れることもあるため、症状の現れ方を見るだけでは診断できません。
太田母斑は青色太田母斑が現れる時期は生後半年以内がほとんどで、生まれた時点で現れているケースは稀です。
20〜40歳代で発症するケースも少なくありません。
その他、思春期に濃くなったり増えたりすることもあります。
また鼻の粘膜、口蓋、咽頭などに色素沈着を生じることがあり、眼底や虹彩などにも色素沈着がみられる眼球メラノーシスが約半数の症例でもみられます。
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の症状
ADMは、後天性真皮メラノサイトーシス、両側性遅発性太田母斑様色素斑と呼ばれ、太田母斑とは区別して治療を進めます。
ADMはアジア人に多く、10代歳代後半から20歳代で発症することが多いです。
ADMは頬骨部、鼻根部、眼瞼部、額に両側性に見られることが特徴です。
太田母斑とADMの違い
太田母斑とADMの違いには、次のようなものがあります。
年齢
太田母斑は出生時~1歳頃、または10歳代後半から20歳代で発症するのに対し、ADMは思春期より前に発症することはほとんどなく、発症のピークは20歳代とされています。
部位
太田母斑は眼球または口蓋にみられることがありますが、ADMの場合はまれです。
また太田母斑は前頭部や額、目の下から口までの三叉神経 1、2枝領域に生じますが、ADMの場合、男性は額の両側、女性は頬骨部に生じることが多いです。
特徴
太田母斑は大きなシミになることが多いですが、ADMは小さな斑状が多発する傾向があります。
また太田母斑は淡青色~青紫褐色ですが、ADMの場合は褐色~褐紫色になることが多いです。
太田母斑では真皮の深い部分、ADMでは浅い部分に生じます。
太田母斑・ADMの原因
太田母斑
太田母斑は、なんらかの原因により通常よりも多くのメラニンが生成され、皮膚に沈着することで発症します。
紫外線を浴びると濃くなるイメージがあるかもしれませんが、メラノサイトは紫外線が届かない真皮に存在するため、その影響は小さいと考えられています。
そのほか、遺伝子異常や内分泌環境などが発症に関連するとの報告や仮説がありますが、はっきりとした原因はわかっていません。
ADM
ADMは、メラノサイトが活性化することによって発症すると考えられています。
遺伝的な要因、女性ホルモン、紫外線、摩擦による刺激などが関与しているという仮説もありますが、詳しい原因はわかっていません。
太田母斑・ADMの治療法「Qスイッチレーザー」
太田母斑・ADMは、自然に消えることはありません。
従来の治療では、ドライアイス療法や皮膚の移植などを行っていましたが、傷痕の形成や思春期以降の再発のリスクがあることから、現在はレーザー治療が主に行われています。
太田母斑・ADMに使用するレーザーは、Qスイッチレーザーです。
真皮にあるメラノサイトを破壊するためには高出力のQスイッチレーザーなどによる治療が有効とされ、日本皮膚科学会などによる「美容医療診療指針」においても治療を希望する患者さまには強く推奨されています。
メカニズムや改善までにかかる期間、注意点などについて詳しくご紹介します。
Qスイッチレーザーのメカニズム
Qスイッチレーザーは、メラニンに反応する高出力レーザーです。
メラニンを蒸散させることで太田母斑・ADMを改善させます。
Qスイッチレーザーの痛みについて
Qスイッチレーザーはメラニンに反応して熱が生じるため、どうしても痛みが生じます。
そのため、麻酔クリームを使用し、痛みを軽減させます。
Qスイッチレーザーで改善までにかかる期間
Qスイッチレーザーによる治療を始めてから太田母斑・ADMが目立たなくなるまでにかかる期間は、症状や体質などで大きく異なります。
通常、シミの治療でレーザー照射をする場合はレーザーの照射後はかさぶたが形成され、10日ほどで剥がれて薄いピンク色の皮膚が出てきます。
太田母斑・ADMの場合、最初の数回は真皮の浅い部分のメラニンを破壊するのでかさぶたになることもありますが、回数を追うごとに皮膚の深い部分にあるメラニンを破壊するため、皮膚に大きな変化は現れなくなります。
Qスイッチレーザーを3ヶ月以上の間隔をおいてに何度か照射することで、太田母斑が少しずつ薄くなっていくことが多いです。
最初の数回は真皮の浅い部分のメラニンに照射する影響で炎症後色素沈着を起こして濃くなったようにみえることもありますが、真皮のメラニンは破壊されていますので心配ありません。
Qスイッチレーザーの注意点
Qスイッチレーザーの合併症には、色素沈着や水疱の形成、色素が抜ける、瘢痕などがあります。
特にQスイッチレーザーによる治療では、太田母斑と比較してADMの方が色素沈着を起こしやすいとされています。
レーザーの照射後は日焼けをしないように紫外線対策が必要です。
合併症の対応の過ごし方の注意点については、治療を受ける前後に医師から詳しい説明を受けましょう。
以下に該当する方は、治療を受けられない可能性があります。
必ず事前にご相談ください。
- 妊娠中、授乳中の方
- ケロイド体質の方
- 光線過敏症の方
- 極度の日焼けをしている方
- 強い炎症や皮膚炎、湿疹がある方
- 治療部位に金の糸が入っている方
当院の太田母斑・ADMの治療の流れ
太田母斑・ADMの治療を受けたい、青あざがあるから診断を受けたい方は、レーザー治療を行っていて、保険診療に対応している皮膚科のクリニックを受診しましょう。
ここでは当院のカウンセリングから治療、経過観察までの流れを詳しくご紹介します。
1.カウンセリング
青あざの現れ方や見た目などから診断します。
当院では、太田母斑の場合はQスイッチレーザーによる治療を提案させていただくことが多いです。
その際、効果のメカニズムや注意点などについてもご説明します。
2.施術
レーザー照射は時間予約で行っていますので、webで時間予約をお取りいただき、その時間でご来院いただきます。
麻酔処置の後に、太田母斑・ADMに対してQスイッチレーザーを照射します。
3.経過観察
定期的に受診し、効果がどの程度現れているかや合併症の有無などの確認を受けます。
必要に応じて定期的に照射を受けてください。
太田母斑・ADMを治療したい方は、川崎たにぐち皮膚科へ
太田母斑・ADMは自然に消失することがない青あざです。
その見た目からコンプレックスの原因になる方も少なくありません。
Qスイッチレーザーを使用することで、数ヶ月から1年程度で薄くできる可能性があります。
太田母斑・ADMかどうかわからないが青あざ・シミが気になる、太田母斑・ADMと診断されたためレーザー治療を受けられるクリニックを探している方は、当院までお気軽にご相談ください。