「ほくろを押すと痛い」「ほくろの周りが赤くなっている気がする」など、ほくろのお悩みはありませんか?
ほくろはほとんどの人に10〜40個ほどあるとされ、できている場所によっては悩みの種にもなり得ます。
今回は、ほくろを押すと痛い原因や悪性腫瘍との見分け方、治療が必要な症状、ほくろを押すと痛い場合の注意点や当院の治療法などをご紹介します。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
2007年に東京大学を卒業後、東京大学医学部附属病院を中心に総合病院やクリニックで一般皮膚科、小児皮膚科、皮膚外科手術、アレルギー、美容皮膚科領域の診療を行ってきました。その経験・知識を活かし、幅広い医療機器を備えて、様々な皮膚のトラブルの助けになれるよう取り組んで参ります。
ほくろを押すと痛い原因
炎症
ほくろの周りに皮膚炎やアレルギー反応、ニキビなどの炎症がある場合、腫れや痛みが発生することがあります。
また、ほくろの下にできたニキビや埋没毛により、ほくろの周りに不快感や炎症を引き起こしているかもしれません。
ほくろができた場所によっては、盛り上がったほくろが服やアクセサリーなどに触れ、かゆみやかぶれを引き起こす場合があります。他にはたまたま引っかいてしまうことで痛みが出る場合もあると考えられます。1)
悪性黒色腫
悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、「ほくろのがん」とも呼ばれています。
メラニンを生成するメラノサイトが悪性となって生じるがんです。
ほとんどの場合、基底細胞がんなど悪性腫瘍のほくろは痛みを引き起こしませんが、悪性黒色腫の場合は痛みやかゆみを伴うことがあります1)。悪性黒色腫は神経や血管への圧迫、症状の進行によって痛みが出ることがあります。
悪性腫瘍との見分け方
悪性黒色腫は、以下にあげる「abcde基準」が役立ちます2)3)。
Asymmetry(形の非対称性) | 形が左右対称ではない |
Border irregularity(境界の不規則) | 境界が円形や楕円形ではない、周囲の皮膚と混ざっているように見える |
Color variation(色調のムラ) | 変色や、色が黒色、茶色、赤色などまばら、他のほくろと異なる色 |
Diameter(直径6mm以上) | 直径が6mmを超える |
Evolving lesions(変化) | 大きさや色・形・症状などに急な変化がみられる |
上記のようなほくろは悪性黒色腫の可能性が高いと考えられます。悪性黒色腫は早期発見・治療で回復が見込まれる皮膚がんです。
気になるほくろがある場合は、すぐに医師へ相談しましょう。
治療が必要な症状
以下のような症状がある場合には、すみやかに医師へ相談しましょう。
痛みや腫れ、かゆみが続く
悪性黒色腫の場合、進行に伴って痛みを生じることがあります。
盛り上がったほくろが服やアクセサリーなどに触れて何度も摩擦が起きるとかゆみが起きるかもしれません1)。
出血や膿が出る
悪性黒色腫の場合、ほくろからの出血や膿が排出されることがあります。
出血が続く場合は血液検査など各種検査をすることがあります。
大きさや形、色などに急な変化がある
一般的に子どもの頃からあるほくろは、皮膚がんの可能性は低いといわれています。
一方で、大人になってからできたほくろの大きさや形、色などに急な変化がある場合は悪性黒色腫の可能性があります。
ほくろを押すと痛い場合の注意点
自分で触ったり押したりしない
ほくろを押すと痛い場合、気になって何度も触ってしまうかもしれません。
しかし、ほくろを触る、引っ張るなどの刺激を与えると、ほくろの痛みや腫れが悪化することがあります。気になる場合はすみやかに医療機関を受診しましょう。
自己判断はしない
発がん性のない場合の痛みを伴うほくろの場合は、セルフケアによって自然治癒することが多いといわれています。引っかくなどの外傷によってほくろが痛む場合は、ほくろや周囲を洗い、きれいに洗ってお湯で流し、抗菌クリームを塗布するとよいでしょう。
しかし、ほくろが痛む原因がわからないことも多く、急に痛み出した場合、また出血や膿があるなどの場合は悪性黒色腫の可能性もあるため、ほくろに痛みがある場合はまず受診することが望ましいです。気になる症状がある方は、当院へお気軽にご相談ください。
ほくろの治療方法
当院では、以下3つの治療をご提供しています。
ラジオ波メス
ラジオ波メスは、高周波によってほくろやイボを削り取る治療です。ほくろの大きさや深さによって削り取る範囲を調節します。
通常の傷の手当てをした後、1~2週間程度で傷がふさがります。赤みが出ますが、通常3~6カ月ほどで元の皮膚の色に戻ります。
くり抜き法
くり抜き法では、直径1mm~6mmの円形のトレパンでほくろを取り除きます。傷を最小限に抑えることが可能です。
術後の傷口を考慮し、皮膚縫合を行わない場合もあります。
メスによる切除縫縮
局所麻酔後、葉っぱの形に切り、ほくろを取り除きます。縫合するため、約1週間後に抜糸します。
体のほくろはラジオ波メスの場合に傷が残りやすいため、切除縫縮をします。
くり抜き法、メスによる切除縫縮では病理検査が行われることがあります。
抜糸時に検査結果が出ていない場合は、後日ご来院いただき、検査結果をご説明します。
ほくろの治療法について、詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
費用
- 自由診療
ラジオ波メスは、保険適用外で全額自費となります。
ラジオ波メス | |
3mmまで | 10,780円(税込) |
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6mmまで | 16,280円(税込) |
10mmまで | 21,780円(税込) |
(※10mm以上は5mmごとに11,000円の追加料金が必要です)
- 保険診療
くりぬき法、メスによる切除 | |
保険診療の場合 | 約10,000円~20,000円(3割負担の場合) |
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よくある質問
Q. 痛みはありますか?
A. 局所麻酔をするため、施術中の痛みはほとんどありませんが、注射をするときの痛みがあります。痛みの感じ方には個人差があります。
Q. ほくろの治療の日数はどのくらいですか?
A. 診察後、後日手術をします。術後1週間、または2週間後に抜糸にご来院いただきます。
抜糸の際に病理検査の結果が出ていない場合は、後日検査結果を聞きにご来院いただく必要があります。
Q. ラジオ波メスで取るほくろの数に制限はありますか?
A. 基本的に個数制限はありません。ただし、個々に局所麻酔をする痛みがあり、2週間程度は自宅でケアをしてもらう必要があります。
無理のない範囲での施術を推奨しています。
ほくろに痛みがあってお悩みの方は、川崎たにぐち皮膚科へ
ほくろを押すと痛い場合、皮膚炎やニキビなどなんらかの炎症を起こしているか、悪性黒色腫の可能性があります。
ほくろの形が左右対称ではない、境界が不明瞭、色にムラがある、6mm以上、ほくろの大きさや色調、形や症状に急な変化がみられるなどの場合は悪性黒色腫を疑うひとつの指標となります。
気になるほくろがある場合は、当院へお気軽にご相談ください。
副作用・リスク
ラジオ波メス
ラジオ波メスの副作用やリスクは、以下のとおりです。
- 赤み
- かゆみ
- 色素沈着
- 腫れ
- 熱傷
- 熱感
- 瘢痕形成など
- かさぶたができても、自分では取らないでください。
くりぬき法・メスによる切除
くりぬき法やメスによる切除の副作用やリスクは、以下のとおりです。
- 出血
- 感染
- 再発
- 局所麻酔薬のアレルギー反応など
- その他にも、体調の変化があった場合には医師に相談してください。
ラジオ波メス
- 保護テープの上からであれば、施術当日からメイクや洗顔が可能です。
- 傷口が完全に塞がるまでは、塗り薬の塗布と保護テープの使用を続けてください。
- 施術してから2週間後には、再診で患部の状態を確認します。
- 施術から2週間以上過ぎた頃には、患部が桃色へと変化します。これは傷が修復する過程における正常な反応です。
- 桃色の肌状態は日焼けしやすいため、患部には小まめに日焼け止めを塗りましょう。
- 肌が桃色になってからは3~6か月の時間をかけて、もとの色へと戻っていきます。
- 外科的切除に比べて再発のリスクがあります。
参考
(1)Painful Moles, Causes and Skin Changes
https://www.scitechnol.com/peer-review/painful-moles-causes-and-skin-changes-N4yQ.pdf
(2)A unifying approach to the clinical diagnosis of melanoma including “D” for “Dark” in the ABCDE criteria
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25396093/
(3)Pediatric melanoma: incidence, treatment, and prognosis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29388632/