シミは年齢を重ねるにつれて目立ちやすくなり、実年齢よりも老けてみられやすくなると考えられます。
今回は、シミの原因や種類についてご説明します。
シミの原因
皮膚は、外側から表皮・真皮・皮下組織の3層からなり、シミは表皮で発生すると考えられています。
表皮は角層・顆粒層・有棘層(ゆうきょくそう)・基底層の4層からなり、表皮の最も下の基底層には基底細胞やメラノサイトが存在しています。
基底細胞の分裂によりケラチノサイトが、メラノサイトの分裂によりメラニンを生成するとされています。
紫外線を浴びたときに、メラノサイトからメラニンが生成され、紫外線から皮膚を守る役割をもっていると考えられています。
皮膚のターンオーバーは約28日周期で、基底層にあるメラノサイトが分裂して少しずつ上に押し上げられることによって角質に変わり、最後はアカとなってはがれ落ちるとされています。
通常、はがれ落ちる細胞とともにメラニンも体外へ排出されますが、強い紫外線を浴びる、ストレス、加齢などさまざまな要因によってメラニンが皮膚内に留まり、シミとなって茶色く見える状態になるといわれています。
紫外線が主な原因となる症状は、老人性色素斑、脂漏性角化症、そばかす(雀卵斑)とされています。
肝斑(かんぱん)はピルの服用や妊娠など、女性ホルモンのバランスの乱れが関係しているとされています。
30~40歳代の女性に発生しやすく、閉経の頃に肝斑が薄くなる、または消えることがあるといわれています。
また炎症後色素沈着は、虫刺されなどの炎症や傷などの物理的刺激によって起きることが知られています。
炎症によってメラノサイトが活性化されることでメラニンが蓄積し、色素沈着を引き起こすと考えられています。
シミと間違えられやすいものとして、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)や太田母斑があります。
どちらも詳しい原因はわかっていませんが、ADMはシミが表皮にメラニンを蓄積するのに対し、なんらかの刺激によって真皮メラノサイトが活性化され、メラニンが増加するためといわれています。
シミの種類
シミの種類は、主に5種類あります。
日光性黒子(老人性色素斑)
紫外線を浴び続けることによって発生し、中年以降の男女にみられ、加齢に伴い濃くなる傾向にあると考えられます。
主に顔、手、前腕など、紫外線によく当たりやすい部位に、さまざまな大きさの褐色斑が現れるとされています。
脂漏性角化症(老人性イボ)
脂漏性角化症は、老人性色素斑が時間の経過とともに盛り上がってできた良性腫瘍と考えられます。
全身のどこにでも出現し、加齢に伴うシミで膨らみがみられます。
80歳以上の高齢者によく発生するとされ、直径1~2mm程度、色は褐色~黒褐色などさまざまです。
そばかす(雀卵斑)
鼻や頬のまわりに小さな斑点ができ、多くは常染色体顕性遺伝と考えられています。
発症は3歳頃で思春期に一番はっきりしてくることが知られています。
紫外線で色調が濃くなったり数が増えたりするので症状は春夏に悪くなり、秋冬には目立たなくなるとされます。
30歳を過ぎると徐々に薄くなっていくきますが、変化しない人もいます。
病理組織では表皮の最も深い基底層でのメラニン色素の増加がみられます。
メラニンを産生する細胞の数に変化はありませんが、個々の産生細胞の樹状突起が増えて数が増え、成熟したメラノソーム(メラニン産生する細胞内の構造物)が多数みられ、メラニン色素を作る細胞がたくさんメラニン色素を産生し、周囲の皮膚の細胞にメラニン色素を渡していると考えられています。
肝斑
肝斑は、額や頬骨、口まわりなどに左右対称に淡い褐色の色素斑が現れることが特徴です。
また目のまわりにはできず、色が抜けたようにみえることがあります。
妊娠やピルの服用などの関係が指摘され、女性ホルモンのバランスの乱れが原因と考えられています。
メラノサイトの活性化により、レーザー治療で症状が悪化することがあります。
炎症後色素沈着
虫刺されやニキビなどの炎症が治まった後に、色素沈着して残ったものをいいます。
洗顔やクレンジングなど、毎日のスキンケアで過度の刺激を与え続けた場合にも炎症が起き、色素沈着につながると考えられています。
自然消退することもありますが、数年かかる場合もあります。
シミと間違われやすい症状として、主に以下の2つが挙げられます。
ADM
後天性真皮メラノサイトーシス 頬骨部・こめかみ部・鼻根部・鼻翼部・眼瞼部・前額部に、両側性にやや灰色がかった褐色の色素斑がみられます。
10代後半から発症することが多く、表皮ではなくその深いところの真皮にメラニンを産生するメラノサイトが増えている状態です。
太田母斑
顔の片側で三叉神経の1枝、2枝の支配領域に分布することが多いと考えられています。
真皮にメラニン色素を産生して細胞内に蓄えているメラノサイトが増えているといわれています。
女性に多く、生まれつきと思春期前後に発症しやすいとされますが、生まれつきみられることが多いことが知られています。
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