酒さは、中高年の顔にできやすい慢性の皮膚疾患です。

酒さでは、顔の中央付近である鼻や頬に症状がよくあらわれます。

赤みや小さな吹き出物ができ、皮膚の下にある血管が見えることもあります。

一般的には赤ら顔とも呼ばれる酒さについて、今回は原因と治療法をご紹介します。

 

酒さの症状

酒さとは、顔面に発疹を生じる持続性の皮膚疾患です。

持続性紅斑、脂腺増大、毛細血管拡張、一過性潮紅など、さまざまな症状が同時に存在することがあります。

 

皮膚は外側から順に表皮、真皮、皮下組織からなり、酒さの病変が生じている真皮で起きる炎症の程度などによって皮膚表面に現れる症状が異なります。

また酒さの患者さんは敏感肌であることが多く、洗顔料や化粧品などが合わないと感じているケースも少なくありません。

酒さは、主な症状や特徴をもとに以下の4つに分類されています。

  • 紅斑血管拡張型…頬、鼻など顔面に毛細血管拡張を生じる
  • 丘疹膿疱型…膿疱や丘疹が生じ、赤みが目立つようになる
  • 瘤腫・鼻瘤型…丘疹が増大して腫瘤のようになり、鼻に凸凹を生じる
  • 眼型…眼のまわりの腫れ、結膜炎などを生じる

 

酒さの原因とは

酒さの原因は、はっきりとは分かっていませんが、色白の人や生まれつき皮膚が薄い人がなりやすい傾向があります。

また主に以下のことが原因と考えられています。

 

ニキビダニ

ニキビダニは、「毛包虫性ざ瘡(もうほうちゅうせいざそう)」といい、ほとんどの人の顔には約200万匹のニキビダニが住みついているといわれています。

生まれつきニキビダニが存在しているわけではなく、ニキビダニがいる人の肌と触れ合うことで増えていくとされています。

 

適度な量のニキビダニが生息していることは正常といえますが、異常に数が増えていくことが酒さの原因のひとつと考えられています。

また酒さの重症度に比例して、ニキビダニが増殖しているという報告もあります。

 

免疫異常

外部の刺激や細菌などの微生物を感知し、体を守る機能として自然免疫が備わっています。

酒さは、TLR2と呼ばれる自然免疫の受容体が関わっていると考えられ、ニキビダニがTLR2を活性化するといわれています。

TLR2が過剰に反応した場合、慢性的な炎症を起こす可能性があり、TLR2の発現亢進によって皮膚内でさまざまな反応が生じ、皮膚の炎症反応が起きる場合があります。

 

また酒さを生じている真皮には肥満細胞が確認され、炎症反応に関与している可能性があります。

悪化要因として、紫外線、アルコールの刺激を外部から受けることで、炎症、発赤、細い血管が見えるなどの特徴的な皮膚症状があらわれると考えられています。

その他にも薬剤の副作用や、過度なストレスなどの影響も関係しています。

また、ステロイドを長期間外用薬として使ったときには、「酒さ様皮膚炎」が起こることが知られています。

 

酒さの治療法

酒さの症状には個人差があるため、一人ひとりの症状に合わせた治療を行います。

 

症状が出る刺激を避ける

なんらかの刺激によって症状が起こるときには、まずはその刺激を避けましょう。

日光を浴びて症状が出るときには、日焼け止めクリームなどを使いましょう。

またアルコールを摂取しない、ダニ対策に部屋の掃除を定期的にするなど生活習慣の見直しも必要です。

症状が出る刺激を避けるように心がけましょう。

 

内服薬

酒さによって肌にブツブツが出ているときには、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなどの抗炎症作用がある抗生物質を長期間服用します。

 

外用薬

酒さによって肌にブツブツが出ているときには、イベルメクチン、メトロニダゾール、アゼライン酸などを使って治療します。

また、ステロイド薬を長期に外用して「酒さ様皮膚炎」が起こっている場合には、医師の診察結果により注し指示を出すこともあります。

  • イベルメクチン…発赤、熱感、かゆみ、食欲不振、吐き気、鼻出血 など
  • メトロニダゾール…皮膚の乾燥、出血、かゆみ など
  • アゼライン酸…皮膚の乾燥、発赤、ヒリヒリ感 など

 

酒さにアプローチする美容施術とは

当院では内服薬、外用薬などの治療法と組み合わせて美容施術も行っています。

 

「ポテンツァ」

ポテンツァは肌表面に微細な穴を開け、創傷治癒効果によって肌トラブルを改善する治療法です。

皮膚表面にダメージを与えず、針先から高周波を照射しながら薬剤を塗布するという特徴から、ダーマペンの進化版といわれています。シミや肝斑、酒さや赤ら顔などの皮膚の赤み、ニキビ跡や毛穴の開きなど、さまざまな肌トラブルを改善に導きます。

酒さや赤ら顔などの原因とされる血管新生を抑え、肌の赤みを目立たなくしていきます。

 

Vビームとは異なる働きで作用するため、Vビームの施術で期待したような効果を実感できなかった方にも向いています。

肌に開けた小さな穴が治る過程でコラーゲンやエラスチンなどが生成され、高周波によって皮脂腺からの皮脂分泌を抑制し、症状を改善します。

4〜6週に1回程度、3回以上の施術をおすすめしています。

 

ポテンツァの特徴

 

自然治癒力を利用した肌質改善

ポテンツァは肌に目に見えないほどの穴を開け、傷が治る過程でコラーゲンやエラスチンが生成されます。

肌が回復していく自然治癒力を利用した治療のため、肌組織が生まれ変わり、根本から肌質を改善していきます。

 

ドラッグデリバリーシステムの搭載

肌に微細な穴を開けた後、マイクロニードルが抜けるのと同時に空気の力で薬剤を均一に注入できます。

手動で薬剤を塗布する従来の方法よりも、より効率的に薬剤を届けることが可能です。

 

ダウンタイムが短い

ポテンツァのダウンタイムは数日間です。

針先からの高周波による止血作用で、施術後の赤みや痛みが起きにくいといわれています。

メイクは施術翌日から可能です。

 

多彩なチップでさまざまな肌トラブルに対応

ポテンツァは肌の症状により使いわけることができるチップを11種類も搭載しています。

チップの種類により、針の本数や長さが異なるため、幅広い症状や原因に対応できます。

 

注意事項・副作用

ポテンツァの主な副作用として、肌の赤みや腫れ、内出血、熱感、炎症後色素沈着などが生じる可能性があります。

ポテンツァの効果や経過には個人差があるため、気になる症状がみられた場合には、医師へ相談しましょう。

  • 当院では可能な限り痛みを軽減させる処置を行いますが、痛みを強く感じることがあります。
  • 施術後1週間はピーリング製品、スクラブ入りの洗顔料などの使用はお控えください。
  • 施術した部位に腫れを生じた場合も、少しずつ改善します。
  • 施術後は、肌に日焼け後のようなヒリヒリ感を伴うことがありますが、通常1週間前後で軽快します。
  • 施術後は一時的にニキビができる可能性があります。
  • 施術後に生じる肌の乾燥は、ターンオーバーが進んでいる状態です。無理に擦らないでください。
  • 施術した部位は数日後にかさぶたとなり、自然に剥がれ落ちます。故意に剥がさないようにしてください。
  • 肌の赤みは1~2日続くことがありますが、通常1週間前後で改善します。
  • まれに炎症後色素沈着を生じることがありますが、医師の指示に従って処置を続けることにより、通常3~6ヵ月程度で改善します。
  • 当日に洗顔やシャワー、翌日からメイクが可能です。
  • 施術後は肌が敏感になっています。十分な紫外線対策をしてください。

 

下記に当てはまる方は、施術を受けられない可能性があります。必ず事前に医師へご相談ください。

  • 妊娠中、授乳中の方
  • 極度の日焼けをしている方
  • ヘルペスをもっている方
  • 光線過敏症の方
  • ケロイド体質の方
  • ペースメーカーを装着している方
  • 重度の皮膚疾患がある方
  • 皮膚の悪性腫瘍、糖尿病、自己免疫疾患の既往歴がある方
  • 金属糸、プロテーゼなどを挿入している方

 

「ポテンツァについて」

  • 未承認医薬品等 ポテンツァは未承認医療機器です。
  • 入手経路等 当院では、Jeisys Medical Inc.より、医師が個人輸入しています。未承認の医療機器や医薬品については、こちらをご確認ください。
  • 国内の承認機器の有無 同程度の成分または性能を有する国内承認医療機器等はありません。
  • 諸外国における安全等に係る情報 諸外国においては、次の認証を取得済みです。MFDS(2019.01)

 

 

「Vビーム」

酒さの場合は、もともとの血管以外に増えすぎてしまった異常な血管があります。

Vビームは患部にレーザーを照射して、赤ら顔の原因となっている血管を破壊する施術です。

異常な血管をターゲットにしているため、もともとの血管を破壊することはありません。

当院で使用しているVビーム2は、厚生労働省から認可を受けた医療機器です。

 

注意事項・副作用

赤み、むくみ、腫れ、内出血、色素沈着などが起こるかもしれません

 

各施術の料金について

当院で施術をしている「ポテンツァ」と「Vビーム」の料金について紹介します。

 

「ポテンツァ」

 

赤ら顔・毛穴の開き治療

全顔1回66,000円(税込) 
両頬+鼻 or 両頬+こめかみ 1回44,000円(税込)

 

「Vビーム」

 

保険診療

約6,500円~32,000円 (照射面積によって、費用は異なります)

 

自費診療

両頬の赤み(赤ら顔、ニキビの赤み)21,780円(税込)  
鼻の赤み 10,780円(税込)
鼻と顎の赤み 16,280円(税込)
傷跡の赤み 10,780円(税込)(一か所ごと)

具体的な料金や施術方法など気になることがあるときには、いつでもご相談ください。

 

川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修

 

川崎の皮膚科なら「川崎たにぐち皮膚科」

赤ら顔とも呼ばれる酒さの症状には個人差があり、一人ひとりの症状に合わせた治療が必要です。

川崎たにぐち皮膚科では、内用薬や外用薬といった一般的な治療法に加えて、「ポテンツァ」または「Vビーム」による施術で酒さにアプローチしています。

 

酒さ・赤ら顔に関するお悩みや疑問点などがあるときには、いつでも当院までご相談ください。

医師が患部の症状を診察したうえで、肌状態に合わせた治療法・美容施術を提案いたします。

はじめて当院を受診される方は、まずはWeb予約をご利用ください。

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