粉瘤は全身どこにでもできる可能性があるできものです。

できものなので自然治癒することはなく、治療するためには手術で粉瘤を取り除く必要があります。

もし粉瘤が顔にできてしまったときには、手術の影響で傷跡が残ってしまうかもしれないと不安になる方もいるのではないでしょうか。

ここでは当院で対応している粉瘤の治療方法と粉瘤手術後の傷跡について紹介します。

 

粉瘤の治療方法

粉瘤はできもののため、放置していても自然に治ることはありません。

粉瘤を摘出するための方法として「くり抜き法」、「メスを使った切除縫合」、炎症を起こして膿がたまってしまった粉瘤に対しては「皮膚切開」という方法で治療が可能です。

当院では、粉瘤の状態によって可能な限り傷跡が小さく目立ちにくい「くり抜き法」を採用しています。

ここではそれぞれの治療方法について詳しく紹介します。

 

くり抜き法

専用の器具を使い皮膚に小さな丸い穴を開け、その穴から袋と内容物を摘出する方法です。

基本的に傷口は糸で縫合しますが、粉瘤ができた部分や傷の状態によっては、縫合はせずにそのまま傷がふさがるのを待つこともあります。

くり抜き方は手術の傷跡が小さく目立ちにくいため、顔などの粉瘤に向いている治療です。

 

ただし周りの皮膚と癒着がないこと、小さな穴から摘出できる程度の大きさであるときにだけ対応できます。

その場合には、可能な限り小さく目立たない傷になるよう施術しております。

大きな粉瘤や皮膚と癒着しているような粉瘤の治療には適していません。

 

メスを使った切除縫縮

メスを使って皮膚を葉っぱの形に切り取って粉瘤を摘出する方法です。

局所麻酔を使用してから、患部の大きさや深さ・種類にあわせて切除範囲を決定します。

粉瘤を摘出した後には皮膚を縫合します。

大きくなった粉瘤や、炎症を起こして袋が皮膚とくっついてしまっている場合に向いた方法です。

ただし粉瘤の大きさによっては、粉瘤の直径と同じ長さの傷跡が目立つこともあります。

1週間後に抜糸のため来院が必要です。

 

皮膚切開

炎症性粉瘤と呼ばれるような粉瘤が大きく腫れて中に膿がたまっているようなときに使用する方法です。

患部を切り開いて中にたまった膿を出します。

患部に膿がたまらないようにするため、処置後の縫合はせず、傷口から膿が出るようにしておきます。

傷口が完全に消えるわけではありませんが、当院では2〜3週間で自然と塞がり目立たなくなるように切開しています。

患部の確認のために翌日と1週間後に来院が必要です。

また粉瘤の原因となっている袋は炎症により細かくなって膿の中に残っているため、3か月後を目安に粉瘤の袋が残っている場合は手術をします。

 

粉瘤術後に起こること

粉瘤の手術後にはさまざまな症状が起こるかもしれません。

とくに気になる症状は痛みや傷跡です。

ここではそれぞれについて詳しく紹介します。

 

痛み

粉瘤の施術では基本的に麻酔薬を使用しています。

そのため注射するときには痛みを感じますが、麻酔薬の効果が出ているときには痛みを感じにくくなります。

当院では麻酔薬の効果が切れて痛みが強いときのために、術後に服用できる痛み止めを処方しています。

(※痛みの感じ方には個人差があるため、誰もが同じ痛みを感じるわけではありません。)

 

傷跡

粉瘤手術では、粉瘤の原因となっている袋を取り除くことで根本的な治療ができます。

皮膚を切っているため傷跡は必ずできてしまいますが、当院ではできるだけ傷跡が目立ちにくいような施術を努めています。

粉瘤ができた部分や粉瘤の大きさによっては傷跡が目立ってしまうかもしれませんが、よほど大きな粉瘤でなければ、目立つ傷跡が残る可能性は低いでしょう。

 

粉瘤術後の傷跡の経過

ここでは当院で受けられる治療方法ごとに、目安となる傷跡の経過について紹介します。

(※傷跡の修復反応には個人差があるため、以下は目安です。)

 

<術後2~3日>

 

くり抜き法

施術後は患部の状態にあわせて「穴を開けたままにして軟膏処置をする」場合と「縫合をする」場合があります。

どちらも施術の影響で肌に赤みや腫れ、凹みができるかもしれませんが1~2週間かけて少しずつおさまっていきます。

縫合したときには糸がまだ残っているため、1週間後には抜糸のために来院が必要です。

 

メスを使った切除縫縮

施術の影響で肌に赤みや腫れ、凹みができるかもしれませんが1~2週間かけて少しずつおさまっていきます。

縫合したときの糸がまだ残っているため、1週間後には抜糸のために来院が必要です。

 

皮膚切開

切開により膿がなくなったことで、ほとんどの場合は痛みがおさまっています。

施術後に縫合はせずにそのまま処置をしているため、傷口はまだ残っている状態です。

傷口は2~3週間を目安にふさがります。

 

<術後1か月後>

 

くり抜き法

「施術後に軟膏処置をした場合」は、くり抜いた形に近い傷跡が患部に残ってしまいます。

ただしこのとき傷が治る過程で皮膚が収縮するため、くり抜いたときよりも傷跡は小さくなることがほとんどです。

「施術後に縫合した場合」は、縫合にあわせて直線の傷跡ができます。

施術では皮膚に傷をつけるため、どうしても傷が残ってしまうのです。

 

ただし縫合した場合は軟膏処置よりも傷跡は小さくなるため、当院ではなるべく傷跡が残りにくいように縫合で傷跡を小さくするように努めています。

縫合後は、半年〜1年かけて少しずつ傷口が目立ちにくくなっていきます。

 

メスを使った切除縫縮

なるべく傷跡が目立ちにくいように努めて施術をしていますが、粉瘤のサイズにあわせて縫合した直線の傷が残ります。

その後は半年〜1年かけて少しずつ傷が癒えていきます。

 

皮膚切開

1か月をすぎると、ほとんどの場合で傷口は自然にふさがっています。

炎症を起こした影響で施術部位に膠原線維が増えてしまうため、患部は一時的に固くなりますが、その後は3か月ほどかけて少しずつ柔らかくなっていきます。

切開は一時的な処置のため、施術してから3か月後を目安に粉瘤が残っているかどうかを確認し、粉瘤が残っている場合は再度粉瘤を袋ごと摘出するための施術が必要です。

 

粉瘤術後の注意点

粉瘤の施術をした後には、以下のような点にご注意ください。

 

飲酒、激しい運動、入浴について

手術当日はシャワー、飲酒、運動を控える必要があります。

飲食は普段通りでお過ごしください。

抜糸までの約1週間は、湯船に浸かるのは避けてください。

 

傷口の処置が必要

患部を清潔に保つために、石鹸で洗ってから処方した軟膏を塗布しましょう。

軟膏を塗布後は患部をガーゼで保護してください。

手術後の注意点やアフターケアの詳細を知りたい方はこちらのページもご覧ください。

 

川崎の皮膚科なら「川崎たにぐち皮膚科」

粉瘤が顔にできたときには、傷跡の治り方が気になるかもしれません。

当院では複数の方法によって粉瘤治療をしています。

一人ひとりの患部や肌状態にあわせた施術により、できるだけ傷跡が残らないように努めています。

顔にできた粉瘤の治療にお悩みの方はお気軽にご相談ください。

 

【川崎たにぐち皮膚科院長|谷口隆志 監修】

 

料金

 

<保険診療>

以下は3割負担の料金です。

初診料約900円
再診料約200円
処方料約200円

 

メスを使った切除縫縮法

約10,000円~15,000円

 

くり抜き法

約10,000円~15,000円

 

粉瘤治療のリスク・副作用

 

禁忌

 

「メスを使った切除縫縮法」

・妊娠中や授乳中の方

 

「くり抜き法」

・妊娠中や授乳中の方

 

副作用

 

「メスを使った切除縫縮法」

出血、感染、再発、局所麻酔薬のアレルギー反応など

 

「くり抜き法」

出血、感染、再発、局所麻酔薬のアレルギー反応など

 

注意事項

  • 手術後は抜糸のための来院が必要です。頭、手のひら、足の裏は2週間後、それ以外の部位は1週間後です。
  • 炎症性粉瘤で膿がたまってしまって切開排膿が必要な場合には、できるかぎり当日に切開をして排膿処置をしています。
    その後は炎症が落ち着くのを3か月ほど待ってから粉瘤の手術をします。