「病院でほくろを取ってもらうのは面倒」「小さいほくろなら自分で除去していいの?」とお悩みの方もいるかもしれません。

今回は、自分でほくろを除去するリスクや正しくほくろを除去する方法についてご説明します。

 

ほくろの種類と原因

ほくろとは、医学的に色素性母斑、または母斑細胞母斑といいます。

褐色~茶色~黒色で、平らなものや盛り上がっているタイプのものがあります。

ほくろは、メラノサイトというメラニンを生成する細胞が変質して生じた母斑細胞が増殖することで生じる良性腫瘍の一種です。

 

1.5cmまでの小型のほくろは黒子と呼ばれ、3~4歳頃に発生して少しずつ増加します。

1.5~20cmのものは黒アザと呼ばれ、頭頸部に発生しやすく、多くは先天性とされています。

そして直径20cm以上のほくろは、悪性黒色腫を発生しやすいと考えられています。

 

紫外線や物理的な刺激などにより、新しくほくろができる場合や大きくなることがあり、ほくろは母斑細胞が増えている場所によって、次の3種類にわけられます

 

境界母斑

境界母斑は、表皮と真皮の間にできたほくろです。

ほくろは薄くて小さく、ほとんどの場合目立ちません。

 

複合母斑

複合母斑は、境界母斑と真皮内母斑が混在しているほくろです。

表皮と真皮の間や真皮内に母斑細胞が集まっている状態です。

境界母斑よりも黒っぽいことが特徴です。

 

真皮内母斑

真皮内母斑は、真皮内に母斑細胞が集まってできたほくろです。

時間が経つにつれて境界母斑、複合母斑、真皮内母斑へ進行し、少しずつ盛り上がることがあります。

また、Ackerman氏が提唱した分類では、次の4種類があります。

 

Miescher(ミーシャー)母斑

主に顔面や頭部などに発生し、少しずつ盛り上がって半球状になるほくろです。

表面には光沢があり、毛が生えていることもあります。

一般的には、年齢とともに色が薄くなり、淡褐色~常色に変化します。

 

Unna(ウンナ)母斑

主に体幹に発生する直径1mm程度のやわらかいほくろです。

表面は桑の実状で、黒色~淡褐色を示します。

 

Clark(クラーク)母斑

主に体幹や四肢に発生する楕円形や円形のほくろです。

平坦で中央部の色が濃く、縁に向かって色が薄くなることが多いです。

もっとも目にすることの多いほくろといわれています。

 

Spitz(スピッツ)母斑

小児や若い世代に発生しやすいほくろです。

茶色や紅色、黒色を示します。

急速に増大することがありますが、一定の大きさで成長が止まります。

悪性黒色腫との鑑別が難しい場合があるため、基本的に切除をおすすめしています。

 

ほくろとシミの違い

ほくろは、メラノサイトというメラニンを生成する細胞が変質した母斑細胞が増えてできた細胞の塊です。

一方、シミはメラノサイトが生成するメラニン色素の沈着により生じます。

また見た目による違いとして、基本的にほくろは黒っぽく、シミは茶色で平坦なことが特徴です。

 

ほくろは除去する必要がある?

ほくろは基本的には悪性化しないため、気にならなければ除去する必要はありません。

ただし、ほくろが不規則な形をしている、ギザギザした境界線をもつ、色にムラがある、大きさが6mm以上、色や形などに変化がある場合には、悪性黒色腫の可能性があります。

悪性黒色腫は皮膚がんの一種でメラノーマとも呼ばれ、リンパ節以外の臓器に転移がない場合には切除が必要です。

 

そのほか、脂漏性角化症、基底細胞がん、皮膚線維腫など、ほくろと似ている病気があるため、不安な場合は皮膚科で診察を受けることが望ましいでしょう。

 

ほくろを自分で取るのはNG

大前提として、ほくろを自分で完全に取り切ることはできません。

経過の長いほくろや盛り上がりのあるほくろは根が深いことが多く、自分で除去を試みた場合には表面だけ取っている可能性があります。

ほくろを取り切れない場合には再発することがあるほか、主に以下のようなリスクを伴います。

 

傷が残る

針やカッターナイフなどで切った場合、毛細血管からの出血があるだけでなく、患部が感染を起こすことによる皮膚壊死の恐れがあります。

組織が壊死すると、その部分の神経が正常に働かなくなって感覚を失い、通常は極度の体調不良を引き起こします。

 

火傷の跡が残る

ほくろ除去クリームは、皮膚を溶かす成分が配合されたクリームを塗り続けることにより、皮膚を火傷と同じような状態にしてほくろを除去するとされています。

また、よもぎを精製して作られたもぐさは主にお灸で使用され、熱を利用して皮膚を火傷のような状態にしてほくろを除去するとされています。

どちらもほくろを取り切れない上に、炎症や火傷の跡が残るリスクがあります。

 

ほくろを除去するなら専門家の診察を

医療機関でのほくろ除去には、手術やレーザー治療などがあります。

エステでレーザーや薬剤を使用してほくろを除去しているケースがありますが、そもそもほくろが病気の可能性や自分で除去することにはリスクを伴います。

 

クリニックでは患者さま一人ひとりのほくろの状態を診察し、適切な治療法をご提案しています。

ほくろを除去したい場合には、信頼できるクリニックで診察を受けることを推奨します。

当院の治療法

 

(川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修)

 

ほくろでお悩みの方は、川崎たにぐち皮膚科へ

ほくろを自分で除去すると、傷跡が残る可能性や火傷のリスク、また完全に取り切れないことによる再発のリスクがあります。

気になるほくろは、必ず専門の医師に診察を受けた上で除去するようにしましょう。

 

はじめての方は、まずはWeb受付から診察予約をお願いいたします。

当院の受診方法はこちらをご確認ください。