粉瘤は、全身どこにでもできる皮膚疾患です。

顔や首、背中、耳の後ろなどにできやすい傾向があり、おしりにもできることがあります。

ここからは、粉瘤の特徴と、粉瘤に似たおしりにできやすい皮膚疾患についてご紹介します。

 

粉瘤の特徴

皮膚の下に袋状の嚢腫が作られ、その中に角質や皮脂がたまっていくというのが粉瘤です。

通常であれば、体にとって不要となった垢や皮脂は、皮膚から剥がれ落ちます。

しかし、粉瘤には袋状の構造物があるために、剥がれ落ちるべき老廃物が、袋の中に蓄積してしまうのです。

そのため、粉瘤を治療しない場合には、時間が経つにつれてサイズも大きくなっていきます。

また、放置していると症状が悪化して、腫れや炎症、激しい痛みなどが起こることもあります。

 

粉瘤に似た皮膚疾患とは

粉瘤に見た目が似ているけれど、異なる皮膚疾患の特徴について代表的なものをご紹介します。

化膿性汗腺炎(慢性膿皮症)

化膿性汗腺炎は太もものつけ根(そけい部)、ワキの下、乳首、肛門周囲などに起こりやすい皮膚疾患です。

以前は慢性膿皮症と呼ばれていました。

汗腺や毛包の機能がうまく働かないことで炎症を伴うのが特徴です。

赤いブツブツや、硬い皮膚、蜘蛛の巣のような見た目になることもあります。

治療には、内服薬・塗り薬・注射薬などを使い、手術によって患部をメスで切除することもあります。

手術の対象範囲が広いときには、皮膚移植が必要になるかもしれません。

 

ニキビ

顔にできる印象の強いニキビですが、胸や背中、おしりなどの場所に発生することもあります。

ニキビの原因は、ホルモンバランスの乱れなどによる「過剰な皮脂分泌の増加」、「アクネ菌の増殖」、「毛穴の詰まり」などです。

おしりにできるニキビの場合、下着を着用しているので汗や皮脂などの汚れがその場にとどまりやすくなります。

とくに通気性が悪い素材で作られた下着は蒸れやすく、アクネ菌が育ちやすい環境になりがちです。

おしりは、椅子に座ったときに圧力を受けやすい場所です。

締め付けるタイプの下着などでも肌は刺激を受けやすくなります。

肌が強い刺激を受けると、肌内部を守るために角質が厚くなり、皮脂とともに角栓となって毛穴が詰まりやすくなります。

おしりにできたニキビは主に外用薬を使って治療を行います。

また、長時間のデスクワークや蒸れやすく締め付ける下着を避けること、患部を清潔に保つなどのケアも必要です。

 

せつ、よう

せつは、いわゆるおできです。

太った人、高齢者、糖尿病患者などに作られやすく、細菌の感染によってできる皮膚症状です。

複数個のせつが集まると、ようとも呼ばれます。

治療をせずに放置していると膿ができ、痛み、赤み、発熱などが起こるかもしれません。

また、内部に膿がたまっているときにはメスで切り開いて取り出す治療が行われます。

各種抗菌薬の内服や塗り薬なども併用することがあります。

 

毛巣洞

おしりの割れ目によくできる皮膚疾患です。

体毛が皮膚の中に潜り込むように伸びることで起こります。

無症状の場合もありますが、感染症が起こったときには膿、痛み、腫れなどが見られます。

デスクワークや車の運転など座っていることが多い人に起こりやすい疾患です。

メスを使って患部を切り開くことでたまった膿を出す他に、患部を切除することもあります。

 

このように、粉瘤に似た皮膚疾患にはいろいろな種類があります。

おしりにできものを見つけたときに、ぶよぶよとしたような触り心地が気になるからと何度も触る方もいます。

しかし、感染症のリスクや、症状が悪化する恐れもあるため行わないようにしましょう。

それぞれの治療方法には、薬を利用するだけではなく、メスで切り開いて膿を出す方法や、手術が必要なものもあります。

症状が悪化する前に病院で専門的な治療を受けたほうがよいでしょう。

おしりに気になるできものを見つけたときにはご自身で治そうとせずに、まずは皮膚科を受診するようにしましょう。

 

おしりにできた粉瘤の治療方法

粉瘤をそのまま放置しておくと、将来的にはサイズが大きくなり、膿もたまりやすくなります。

粉瘤の場合、たまった膿を出そうとして、針を使って自分で潰す方もいますが、これは避けた方がよいでしょう。

粉瘤を潰してしまうと、外部から細菌が傷口に入り込みやすくなります。

そうなると、患部が大きく腫れてしまうばかりか、激しい痛みも起こるかもしれません。

さらには、誤った手段で潰してしまうことで、粉瘤の袋が癒着しやすくなります。

粉瘤を完治させるためには、袋状の構造物を取り除く手術が必要です。

このとき、すでに袋が癒着していると傷跡が残りやすくなってしまいます。

とくにおしりにできた粉瘤は、下着によるこすれなど外部からの刺激を受けやすい状態です。

刺激によって症状が悪化し、腫れや痛みが出たときにも、すぐに専門家の治療が必要です。

ごくまれなことではありますが、中高年の男性にできた粉瘤が癌化したという報告もあります。

粉瘤のようなできものをおしりに見つけたときには、自分で潰すことはせず、必ず皮膚科を受診しましょう。

 

まとめ

粉瘤は、全身どこにでもできる皮膚疾患であり、おしりにできることもあります。

おしりになんらかのしこりができたときや、座ると痛いときには、粉瘤以外の皮膚疾患の可能性もあります。

粉瘤を見つけたときに、針のようなものを使って自分で潰すと感染症が起こりやすくなり、激しい痛みや腫れが起こってしまうかもしれません。

また、潰すことで皮膚に傷跡も残りやすくなってしまいます。

さらに確率としては珍しいのですが、粉瘤から悪性腫瘍になってしまうこともあります。

おしりにできたできものについて気になるときには、まずはお気軽に当院までご相談ください。

(川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修)