顔や体などにできてしまった気になるほくろをしっかり除去したいときには、どのような方法を選べばよいのでしょうか。

近年では、機械の進歩によって各種レーザーを使ったほくろ除去も選択肢の一つとして注目されるようになりました。

しかしレーザーを使ったほくろ除去の場合、注意すべき点があることをご存じでしょうか。

ここからは、当院で使っているQスイッチレーザーの特徴」と「Qスイッチレーザーでほくろ除去するときの注意点」、「Qスイッチレーザー以外のほくろ除去方法」についてそれぞれご紹介します。

 

Qスイッチレーザーとは

Qスイッチレーザー(Qスイッチアレキサンドライトレーザー)は、肌に沈着したメラニン色素に反応するレーザーです。

Qスイッチレーザーを照射すると、肌トラブルの原因となっているメラニン色素だけを選択的に破壊します。

数種類あるQスイッチレーザーのうち、Qスイッチアレキサンドライトレーザーはよりメラニン色素への反応がよいとされています。

 

また、メラニン色素以外の正常な皮膚に対してはダメージを軽減した施術が期待できます。

当院では、Qスイッチレーザーの照射が可能な米国サイノシュアー社で製造・販売している「Accolade J(アコレードJ)」という医療機器を導入しており、主にシミ・アザの施術に使用しています。

 

Qスイッチアレキサンドライトレーザーの特徴

Qスイッチレーザーには、主にヤグレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザーの3種類があります。

いずれのレーザーも皮膚表面にダメージを与えず、メラニンやヘモグロビンなどの色素のみを破壊します。

 

当院では、755nmの波長をもつQスイッチアレキサンドライトレーザーを使用しています。

ルビーレーザーよりも波長が長いため、肌の奥深くにまでレーザーが到達します。

 

またヘモグロビンの吸収率が低く、黒色への反応がよいため、血管への損傷を抑えつつメラニン色素への照射が可能です。

また、Qスイッチアレキサンドライトレーザーは、他のQスイッチレーザーと比較してメラニン色素への反応がよく、色素沈着を起こしにくいといわれています。

 

Qスイッチレーザーでほくろ除去するときの注意点

ほくろの施術にQスイッチレーザーを使うときにはいくつか注意すべき点があります。

代表的なものについて、それぞれご紹介します。

 

複数回の施術が必要

Qスイッチレーザーによる施術は、皮膚の表面に存在している細胞を主なターゲットとしています。

シミ・アザの場合は主に皮膚の表面に細胞が存在しているため、ほぼ1回の施術で治療が終了します。

しかしほくろの場合は、皮膚表面だけではなく皮膚の奥にまでほくろの細胞が存在していることもあります。

 

そのため、Qスイッチレーザーでほくろの施術を行うときには、基本的に複数回の施術が必要です。

逆に、複数回の施術を経て少しずつほくろを減らしていくことで、口周りや首のなどの除去後に跡になりやすい部分のほくろを跡を最小限にするように除去していくことができるというメリットもあります。

 

治療終了までの期間が長い

Qスイッチレーザーの施術後は、施術部位がカサブタ状になって剥がれ落ち、皮膚の赤みが落ち着くまで2週間程度のダウンタイムが必要です。

複数回の施術が必要となるほくろの場合は、1回の施術ごとに毎回ダウンタイムが発生します。

そのため、どうしても治療が終了するまでの期間が長くなってしまいます。

 

施術ごとに費用がかかる

複数回の施術が必要なQスイッチレーザーによるほくろ除去は、1回の施術ごとに費用が発生してしまいます。

Qスイッチレーザーによる施術料金が他の施術方法と比べて安いと感じたときでも、複数回の施術費用がかかるかもしれない点に注意が必要です。

 

ほくろによっては施術ができない

Qスイッチレーザーは、皮膚表面の平らな場所にある黒い色のほくろを主なターゲットとしています。

そのため、皮膚の奥にまであるほくろ、盛り上がった形のほくろ、色のないほくろなどの施術には向いていません。

 

Qスイッチレーザー以外のほくろ除去方法とは

ここでは、当院で行っているQスイッチレーザー以外のほくろ除去施術についてご紹介します。

(※それぞれの方法で施術前に局所麻酔薬を使用しています。麻酔薬のアレルギーなどがある方は事前にご相談ください)

 

ラジオ波メス

高エネルギーであるラジオ波を使ってほくろをメスで削り取る方法です。

通常のメスに比べると、患部を切除しやすく、さらに切除しながら周囲の組織を止血できるため、周囲の肌に炎症が起こりにくく、傷跡が目立ちにくくなります。

3〜4mm以下であれば、顔にあるほくろでも除去が可能です。

 

くりぬき法

専用の型抜きを使って患部をくりぬく方法です。

メスを使った方法よりも、傷口を小さくできます。

1mm~6mmまでのホクロであれば除去が可能です。

施術後に縫合をしたときには、抜糸のため1週間後に再度来院が必要です。

 

メスを使った切除

メスで皮膚を切り取った後に、糸を使って傷を閉じる方法です。

施術後に縫合をしているため、抜糸のため1週間後に再度来院が必要です。

盛り上がった形のほくろ、サイズが大きなほくろ、体にできたほくろなどに対して使っています。

 

ほくろは、メラニン色素を作る細胞が変化した「母斑細胞」が集まって固まったものです。

「母斑細胞」は、皮膚の一番外側にある表皮にしかないと思っても内側である真皮にまで存在していることがあります。

 

たとえほくろを除去したとしても、「母斑細胞」が皮膚に残っているとほくろが再発しやすくなります。

当院では、実際にほくろの状態を確認したうえで、医師がお一人おひとりに合わせたこれらの施術方法をご提案しています。

 

ほくろ除去治療のリスク

ほくろを除去する治療のリスクとして、主に以下のようなことが考えられます。

治療の効果や経過には個人差があります。

気になる症状がみられた場合には、医師へ相談しましょう。

 

Qスイッチレーザー

  • 施術中は、輪ゴムで弾かれたような痛みがあります。
  • 施術当日は痛みが続く場合があります。保冷剤などで照射部位を冷やすと痛みが軽減されます。
  • 施術後は肌に赤みが生じますが、かさぶたになって自然に剥がれ落ちます。無理に剥がさないでください。
  • まれに内出血を起こすことがありますが、通常3~4週間程度で治まります。
  • 施術当日から洗顔、入浴が可能です。また施術部位を除いて、当日からメイクが可能です。
  • 施術後は炎症後色素沈着を生じることがありますが、通常3~6ヵ月で少しずつ治まります。
  • 施術後は紫外線対策と保湿を十分に行ってください。
  • 外科的切除と比較して、再発のリスクがあります。

 

ラジオ波メス

  • 肌の赤みやかゆみ、色素沈着、腫れ、熱傷、熱感、瘢痕形成などを生じることがあります。
  • 施術後は紫外線対策と保湿を十分に行ってください。
  • 洗顔やメイクは、患部を除いて当日から可能です。
  • 外科的切除と比較して、再発のリスクがあります。

 

手術

  • 施術後は肌に赤みが生じますが、半年~1年程度で徐々に目立たなくなります。
  • まれに傷口からの出血や感染症にかかる恐れがあります。
  • 縫合することにより、皮膚のゆがみを生じることがあります。
  • 洗顔や入浴は翌日から可能です。

 

以下に該当する方は、Qスイッチレーザーやラジオ波メスの施術をお控えいただくことがあります。

必ず事前にご相談ください。

 

  • 妊娠中、授乳中の方
  • ケロイド体質の方
  • 治療部位に金の糸が入っている方
  • リウマチの既往歴がある方
  • 光感受性の強い方
  • 出血性疾患がある方

 

料金

当院のほくろ除去における施術料金は、以下の通りです。

 

Qスイッチレーザー(しみ、あざ)

 

保険診療の場合

約6,000円~12,000円(照射面積で変わります)

 

自費診療の場合

シミの直径が5mmまで 5,500円 、5mm以上は5mmごとに5,500円追加。

治療が複数のシミの場合は、大きさの合算で料金計算します。

8mmと4mmのシミを治療した場合、12mmで16,500円になります。

 

いぼ、ほくろ除去(自費の場合)

3mmまで10,780円
6mmまで16,280円
10mmまで21,780円

10mm以上は5mmごとに11,000円追加。

治療が複数の場合は、大きさの合算で料金計算します。

 

例えば、2mmと3mmと4mmのものを合わせて治療した場合、9mmで21,780円になります。

いぼ・ほくろの種類によっては、保険適応となる場合があります。

その場合の費用は、一般保険診療のできものの手術となります。

 

(川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修)

 

まとめ

Qスイッチレーザーをほくろ除去に使うときには、今回ご紹介したような注意点があることを知っておきましょう。

当院では、Qスイッチレーザー以外に「ラジオ波メス」、「くりぬき法」、「メスを使った切除」でほくろ除去を行っています。

日帰り手術も可能なため、気になるほくろを除去したいときには、いつでもお気軽にご相談ください。

 

当院の受診方法はこちらをご確認ください。