ニキビ跡に深く悩んでいる方で、セルフケアに限界を感じている方もいるのではないでしょうか。
「痛みが怖い」「ダウンタイムが長そう」といったイメージもある美容医療ですが、今は針を使わない治療法「キュアジェット」もあります。
この記事では、キュアジェットのクレーターへの効果やダウンタイム、他の治療方法との比較について解説します。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
2007年に東京大学を卒業後、東京大学医学部附属病院を中心に総合病院やクリニックで一般皮膚科、小児皮膚科、皮膚外科手術、アレルギー、美容皮膚科領域の診療を行ってきました。その経験・知識を活かし、幅広い医療機器を備えて、様々な皮膚のトラブルの助けになれるよう取り組んで参ります。
キュアジェットのクレーターへの効果
キュアジェットは、物理的な刺激と薬剤の相乗効果で、傷の治りを早くします。
ここでは、キュアジェットのクレーターへの効果や必要な治療回数について紹介します。
クレーターや毛穴への改善効果
キュアジェットは、針を使わずに薬剤を高速のジェット噴流で皮膚の深層へと届ける治療法です。
皮膚の内部で拡散された薬剤は、クレーターの原因である硬くなった線維組織を物理的に剥離・切断し、凹んだ肌を持ち上げます。
コラーゲンやエラスチンの生成が促され、肌が内側から再構築されるため、クレーターや毛穴の開きといった肌の凹みが内側から持ち上がり目立ちにくくなるでしょう。
キュアジェットは、針で癒着した皮膚を切り離す「サブシジョン」と同様の効果があります。
しかし、針を使っていないため、痛みが少なく、感染症のリスクも低いのが特長です。
ダウンタイムも比較的短いため、施術後も日常生活への影響が少なくて済みます。痛みやダウンタイムが心配で美容医療をためらっていた方へおすすめの施術です。
2023年に韓国で行われた研究では、ジュベルック注入を伴うキュアジェット治療を1回した場合、施術後2~3カ月でクレーターが改善したと報告されています。
処置中の痛みは軽度、腫れや赤みなども48時間以内に自然に解消したとも述べています。
何回で効果を感じる?
効果の感じ方には個人差がありますが、2~3回で実感される方が多くなっています。
しかし、皮膚内部に薬剤を均一に届けコラーゲンやエラスチンの生成を促進するため、中には1回の治療で改善が見られた症例もあり、比較的早い段階で手応えを感じられる可能性もあります。
治療間隔は1カ月に1回、3~5回が目安です。間隔は必ず1カ月というわけではなく、2~3カ月など長くなっても問題はありません。
お肌の状態によって異なりますので、詳しくは担当医師にご相談ください。
他の悩みにも同時アプローチ可能
キュアジェットは物理的な刺激と薬剤の作用でコラーゲンやエラスチンの生成を促進するため、クレーターだけでなく、傷跡、小じわ、毛穴、肌のキメなど、さまざまな肌悩みに同時に対応できます。
肌の若返り、保湿、透明感をアップさせるブライトニングといった、総合的な美肌効果も期待できる治療法です。
キュアジェットとは
キュアジェットは、針を使用しないのが大きな特徴の治療法です。
特徴
キュアジェットは「Needle-Free Drug Delivery System(針のない薬剤注入システム)」と呼ばれる技術です。
針を使用しないため、感染症のリスクが低く、痛みや組織へのダメージを最小限に抑えられるのが大きな特徴です。
薬剤を秒速500mという高速ジェットで噴射し、皮膚の深さ0.05mmから2.50mmまで精密にコントロールでき、狙った層へ的確に薬剤を届けられます。また、毎秒最大20回の連続ショットができるため、施術時間が短いことも利点です。
キュアジェットが適している肌悩み
以下の方におすすめです。
- ニキビ跡(アイスピック、ローリング、ボックス状の凹み)でお悩みの方
- 小じわ、毛穴の開きを改善したい方
- 肌のキメや質感を整え、ハリや透明感のアップ、保湿など、総合的な肌質改善を目指す方
- ニードル治療(ダーマペン、ポテンツァ、手打ち注射など)の痛みやダウンタイムが苦手な方
キュアジェットについてはこちらの記事もご覧ください。
ダウンタイム・注意点
キュアジェットはダウンタイムが比較的短く、今まで他の治療法が難しかった敏感肌の方でも受けやすいのが特徴です。
ダウンタイム
キュアジェットはダウンタイムが比較的短く、日常生活への影響が少ない治療法です。
施術直後に赤みや点状出血が見られることがありますが、数日から1週間程度で落ち着くことがほとんどです。
範囲が広い場合や、密度を高く照射した場合は、紫斑やかさぶたが生じることがありますが、多くの症例で2週間後には肌が落ち着いています。
敏感肌やニキビ肌でも受けられる?
キュアジェットは針や熱エネルギーを使わない、体への負担の少ない治療法です。肌への物理的な負担が少ないため、他の治療が難しかった敏感肌の方でも受けやすいという特徴があります。
ただし、炎症が強く起きているニキビがある場合は、症状を悪化させる可能性があるため施術を避けるべきです。しかし、最終的な施術の可否は、医師が肌状態を診察した上で判断します。
他のクレーター治療との違い
キュアジェットを他のクレーター治療と比べてみました。
【クレーター治療の比較】
キュアジェット | レーザー治療 | ポテンツァ | ダーマペン4 | TCAクロス | サブシジョン | |
作用機序 | 物理的刺激(ジェット噴流)+薬剤効果 | 熱エネルギー | マイクロニードル穿刺と高周波(RF)の熱エネルギー、薬剤導入。 | 微細な針で皮膚に穴を開け、創傷治癒を促す。薬剤導入も可能。 | 高濃度のトリクロロ酢酸でクレーターの底を焼灼し、皮膚再生を促す。 | 針やカニューレで皮膚下の硬い線維組織を物理的に切断・剥離する。 |
痛み | 針がないため比較的少ない。 | ピリピリとした感じ。 | 針の刺激と高周波の熱感。 | 針の刺激。 | 強い刺激感。 | 強い痛みを感じることがある。 |
ダウンタイム | 短い傾向にある。赤み、点状出血など。 | 種類によるが、比較的長い。 | 比較的短い。 | 数日間程度。 | 施術部が白いかさぶたになり、数カ月赤みが続くこともある。 | 長い傾向にある。 |
適したクレーター | アイスピック型・ローリング型・ボックスカー型 | アイスピック型、ローリング型・ボックスカー型 | ローリング型・ボックスカー型 | 浅いローリング型・ボックスカー型 | アイスピック型 | ローリング型・ボックスカー型 |
費用感 | 標準~高め | 標準~高め | 高め | 比較的安価~標準 | 比較的安価 | 標準 |
レーザー治療との違い
キュアジェットが物理的なジェット噴流と薬剤効果でアプローチするのに対し、レーザー治療は主に熱エネルギーを用いて皮膚の再生を促します。
キュアジェットは熱を使わないため、レーザー治療で起こりうる熱傷(やけど)や、施術後の炎症後色素沈着といったリスクを低減できる点が大きな違いです。
ポテンツァとの違い
ポテンツァは、マイクロニードル(極細針)を刺した上で高周波(RF)の熱エネルギーを照射し、薬剤を導入します。
高周波の熱による「引き締め効果」や「止血効果」が高いのがポテンツァの特徴です。
一方、キュアジェットは癒着を剥がす「サブシジョン効果」と、薬剤を広範囲に拡散させる力に優れています。
ダーマペン4との違い
ダーマペンが微細な針で皮膚に垂直に穴を開けて創傷治癒を促すのに対し、キュアジェットは皮膚の内部で薬剤を水平に広げ、硬くなった組織の癒着を剥がします。
キュアジェットはダーマペンよりも深い層(真皮層〜脂肪層)へアプローチし、より根深いクレーターの原因に働きかけることが可能です。
TCAクロスとの違い
TCAクロスは、高濃度のTCA(トリクロロ酢酸)という薬剤を使い、クレーターの底をピンポイントで焼灼して皮膚再生を促す治療です。
特に、深く鋭く凹んだ「アイスピック型」のクレーターに特化しています。
一方、キュアジェットは、より広範囲の凹凸や肌全体のハリ改善にも向いている治療法です。
サブシジョンとの違い
サブシジョンは、皮膚の下に特殊な針やカニューレを挿入し、硬くなった線維組織を物理的にしっかりと切断・剥離します。
一方、キュアジェットは高速ジェット噴流で微細に組織を剥離させる治療法です。
そのため、キュアジェットの方が体への負担やダウンタイムが少なく、よりマイルドに癒着を改善したい方に向いています。
たにぐち皮膚科のキュアジェット治療の特徴と施術の流れ
以下の流れで施術いたします。
- 専門医師による診察・カウンセリング
- 各人に最適な施術方法の提案・決定・同意
- 痛みに配慮した施術(必要に応じ複数回)
- 丁寧なアフターケアの説明
納得いただいた上で施術に進みます。終了後にはご自宅でのケアについてもしっかりとご説明します。
費用
キュアジェットは、医療保険の対象にならない自由診療での治療方法です。
治療内容(例) | 費用 |
---|---|
コンタクトモード(ニキビ跡などの皮膚の凹み治療) 2cmx2cmのまとまった範囲もしくは5箇所までに接触照射 | 33,000円(税込) |
トーニングモード(肌質や毛穴の改善) 全顔中空照 | 55,000円(税込) |
コンタクトモード+トーニングモード 両頬のニキビ跡に接触照射+全顔中空照射 | 132,000円(税込) |
薬液はジュベルックのみを取り扱っています。
よくある質問
Q. キュアジェットのデメリットは?
A. 赤みや内出血などが数日間生じることがあります。
非常に深いアイスピック型のクレーターには、他の治療法が適している場合もあり、また施術時のジェット噴流の音と衝撃も気になる方がいるかもしれません。
Q. ニキビクレーター後に一番効果的な治療法は?
A. ニキビクレーターの治療法は、種類(アイスピック型、ローリング型、ボックスカー型など)や深さ、肌質によって最適解が異なります。
自己判断で治療法を選ぶのではなく、専門の医師に診察してもらい、自分のクレーターに合った治療法を提案してもらうことが改善への一番の近道です。
Q. キュアジェットの1週間後の症状は?
A. ダウンタイムのピークは、施術後1〜3日程度で、赤みや点状の内出血が少しずつ落ち着いていきます。
1週間後には、内出血が薄い黄色になって残っていることもありますが、ほとんどの場合はファンデーションやコンシーラーで十分にカバーできる程度に落ち着いています。
キュアジェットでクレーター治療を検討されている方は、川崎たにぐち皮膚科へ
川崎たにぐち皮膚科では、皮膚科専門医が医学的根拠に基づき、一人ひとりのお肌の状態を正確に診断いたします。
当院ではキュアジェットが最適なのか、あるいは他の治療法が望ましいのかを含め、ご納得いただけるまで丁寧にカウンセリングをし、最適な治療プランを提案いたします。
長年お悩みのクレーター、諦める前にぜひ一度当院へご相談ください。
<キュアジェットについて>
・未承認医薬品等
キュアジェットは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
・入手経路等
バズバイオメディック社から個人輸入しています。
・国内の承認医薬品などの有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に関する情報
韓国KFDAの承認を受けており、注射式シリンジ/液状の薬液を磁力やバネで噴霧し、皮膚に通して注入する装置として安全性が認められています。
参考文献
学術資料「BAZ BIOMEDIC|CUREjet」