蕁麻疹は、突然赤みがかった膨らみが現れ、ほとんどが強いかゆみを伴います。

蕁麻疹の症状が軽度で、初期段階である場合には、市販薬で治せることがあります。蕁麻疹には飲み薬と塗り薬があり、症状の現れ方などにより薬を使いわけます。今回は、蕁麻疹の症状や原因、市販薬の選び方などをご説明します。

蕁麻疹とは

蕁麻疹とは、突然皮膚の一部がハッキリと赤く盛り上がる膨疹がみられ、短時間で消失する皮膚の病気です。蕁麻疹の多くはかゆみを伴いますが、ヒリヒリ感やチクチクした感じを覚える場合もあります。蕁麻疹の多くは、数十分~数時間で治まります。症状が1回だけ出現して数日間続く場合と、何週間と継続して症状が出たり治ったりを繰り返す場合があり、1ヵ月半以上続く場合には慢性蕁麻疹と診断されることがあります。

赤く盛り上がる膨疹は全身のどこにでも現れますが、形や大きさ、消失するまでの時間はさまざまです。蕁麻疹は皮膚に現れる病気ですが、発熱、気道閉塞感など他の症状を伴うことがあり、アナフィラキシーや他の全身性疾患との鑑別が必要です(*1)。

蕁麻疹については「蕁麻疹(じんましん)の原因・対処法・治し方とは」も参照ください。

蕁麻疹の種類と原因(*1)

蕁麻疹は直接の原因や誘因なく、赤く盛り上がる膨疹が現れます。膨疹の形はさまざまで、小豆くらいの大きさのものから手のひら以上の大きさのものもあります。蕁麻疹は大きく分けてアレルギー性と非アレルギー性があり、前者は食べ物やホコリ、動物などによるもの、後者は日光や寒暖差によるものがあります。また、ストレスや疲れが悪化因子となることもあります。蕁麻疹の種類として、主に以下のものがあげられます。

特発性蕁麻疹(急性蕁麻疹・慢性蕁麻疹)

特発性蕁麻疹は、蕁麻疹全体の約7割を占めるといわれています。蕁麻疹を発症して1ヵ月半以内のものを急性蕁麻疹といい、ウイルスや細菌感染が原因となっているケースが多いです。慢性蕁麻疹は夕方から夜間に症状の出現、悪化がみられることが多く、1ヵ月半以上続いているものをいいます。原因がはっきりしないケースが多いです。

コリン性蕁麻疹

運動や入浴などによる汗や、発汗を促進することが原因で出現します。膨疹は1~4mm程度と小さく、子どもから30歳代前半の成人に多くみられます。

物理性蕁麻疹

日光や寒暖差、摩擦や圧迫などによる物理的な刺激により生じます。

食物依存性運動誘発性アナフィラキシー

原因とされる食べ物を摂取後、NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)を服用した後の食事や、2時間以内に運動した場合に生じるアナフィラキシーのことをいいます。

アレルギー性蕁麻疹

薬剤、食べ物、植物、昆虫などに反応して生じます。アレルゲンと結合するIgEが関係しているといわれています。

イントレランス

造影剤やアスピリン、NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬)、色素、食品に含まれるサリチル酸などにより生じます。

血管性浮腫

膨疹よりも深い部分から出現し、まぶたや唇、粘膜などが膨れ、数日で消失します。かゆみを伴いませんが、痛みがみられ、まれに遺伝で生じることがあります。

蕁麻疹の市販薬

蕁麻疹は原因がわかっている場合には、原因となる物質や刺激などを除去することで症状が治まることがあります。ただし、蕁麻疹の約7~8割は原因がはっきりしません。蕁麻疹にはヒスタミンという物質が関わっているため、抗ヒスタミン薬を使用することにより改善します。症状が気になる場合には市販薬を検討してみましょう。

飲み薬

基本的に、蕁麻疹の治療では飲み薬を服用します。ヒスタミンの作用により、膨疹が全身に広がっているため、抗ヒスタミン薬を内服することで症状の改善が期待できます。

抗ヒスタミン薬は成分の違いにより、第1世代と第2世代にわけられます。第2世代は第1世代と比較して眠くなりにくいため、運転などをする方は第2世代がおすすめです。なお、4歳以下でも使用できる蕁麻疹の市販薬はないため、塗り薬か皮膚科で薬を処方してもらいましょう。以下は、添付文書に蕁麻疹に適応の記載がある第二世代の市販薬です。

アゼラスチン塩酸塩…眠くなりにくく、口の渇きなどの副作用が少ないです。緑内障や前立腺肥大の方も使用可能です。
メキタジン…眠くなりにくく、口の渇きなどの副作用が少ないです。

蕁麻疹の市販薬の選び方

蕁麻疹の市販薬の飲み薬は、以下を参考にして使いわけるとよいでしょう。

  • 蕁麻疹が広い範囲に及んでいる
  • 長時間にわたって効果を得たい
  • 1日のうちで薬を何度も塗り直すことが難しい

市販薬で症状の改善がみられない場合は、医療機関へ

市販薬を使用して1週間経過しても効果がみられない場合、症状が悪化していく場合には、薬が合っていない、または他の疾患や原因がある可能性があります。また蕁麻疹は抗ヒスタミン薬の飲み薬を基本としています。症状の改善がみられない場合には皮膚科を受診し、医師へ相談しましょう。皮膚科で処方される抗ヒスタミン薬は種類が豊富で、患者さんによって効き目が異なります。市販薬で改善がみられない場合も、皮膚科から処方される薬で症状が治まる可能性があります。

なお、花粉症や蕁麻疹で医療機関を受診した際、「アレグラ」、「アレジオン」、「クラリチン」などが処方されることがあります。医療機関で処方されるアレグラ、アレジオン、クラリチンには蕁麻疹の効果・効能が認められていますが、市販薬のアレグラ、アレジオン、クラリチンでは適応外となるため、購入の際には注意しましょう。

(川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修)

蕁麻疹を改善したい方は、川崎たにぐち皮膚科へ

蕁麻疹は突然赤い盛り上がりがみられ、その後は数十分から数時間で治まります。蕁麻疹は原因がわからないことが多く、1ヵ月半以上続く慢性蕁麻疹となるケースもあります。基本的には抗ヒスタミン薬の内服薬を使用するため、自己判断でステロイド外用薬を使用することは避けましょう。市販薬を使用しても症状の改善がみられない場合や症状が悪化する場合には、当院へお気軽にご相談ください。

当院の受診方法はこちらをご確認ください。

【参考】

(*1)日本皮膚科学会蕁麻疹診療ガイドライン改定委員会.「蕁麻疹診療ガイドライン 2018」.日皮会誌.2018.128(12).p2503-2624