「花粉が飛ぶ時期になると肌がかゆくなる」「季節の変わり目は肌荒れしやすい」というお悩みはありませんか。
花粉によって症状が現れる花粉皮膚炎の可能性があります。
今回は、花粉症による肌荒れや原因、花粉症の治療法などをご説明します。
花粉症の症状
花粉症は花粉が体内に入ったときに引き起こされる免疫反応で、体内に花粉が入ってからすぐに花粉症になるわけではありません。
アレルギー素因をもった人の体内に花粉が入ると抗体ができます。
花粉症の発症までは人によって差があり、抗体が花粉症を発症する量に達するまでに数年から数十年ほどかかるとされています。
花粉症になると、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状が現れます。
もっとも多い花粉症は、スギやヒノキの花粉が原因とされています。
他にも、樹木の場合は、ケヤキ、シラカンバ、クヌギなど、草の場合はブタクサ、ヨモギ、オオアワガエリなどが原因となります。
それぞれ飛散する時期が異なり、症状が出る時期によってどの花粉が原因かを特定でき、原因に応じた治療が可能です。
花粉症と肌荒れ
肌に花粉が付着することにより、肌トラブルが発生することがあるといわれています。
花粉が飛ぶ時期になると、鼻づまりや目のかゆみなどのほかに、肌のかゆみやヒリヒリ感、赤みなどを生じる場合があります。
肌の角質層には外部からの細菌やウイルス、刺激などをバリアするはたらきがあり、バリア機能が低下した肌に花粉が付着することによって肌トラブルが発生しやすくなると考えられています。
花粉皮膚炎とは
花粉皮膚炎は、花粉が飛散することによって生じる肌荒れのことを指します。
肌のかゆみやヒリヒリ感などの症状は、花粉が飛んでいる時期だけ現れます。
肌荒れを起こしやすいのは、顔の中でも目のまわりや頬、口元など、花粉が付着しやすい部位です。
花粉皮膚炎は湿疹が出やすい、またはアトピー性皮膚炎の人がなりやすいといわれています。
また、ジュクジュクした湿疹ではなく、乾燥しやすくなることが特徴です。
肌荒れが起きる原因
花粉症により肌荒れが起きる原因として、主に以下のようなことが考えられます。
ティッシュやマスクなどによる刺激
鼻水やくしゃみなどが出たときに繰り返しティッシュを使用することが肌への摩擦となり、バリア機能の低下につながると考えられています。
また、マスクの繊維によっても頬や顎まわりなどが刺激され、肌が過敏になるとされています。
皮膚のバリア機能の低下
皮膚は、表皮・真皮・皮下組織から構成されています。
表皮の空気に触れる部分を角質層といい、角層細胞が並んだすき間を角質細胞間脂質が埋めることにより、細菌やウイルス、外部の刺激から肌を守っています。
しかし冬は角質層から水分が奪われやすく、花粉が飛散する春先には紫外線や花粉など外部の刺激に弱い状態となり、肌荒れを起こしやすくなると考えられています。
花粉症の予防方法
花粉症の予防や症状を軽減する方法として、主に以下のようなことが考えられます。
アレルゲンを避ける
外出時はメガネやマスク、帽子などを活用し、花粉に直接触れないようにするようにしましょう。
また、花粉が多く飛んでいる日の外出はできるだけ避けることをおすすめします。
晴れていて暖かい日、空気が乾燥して風が強い日、気温の高い日が2~3日続いた後や雨が降った翌日には花粉が多いという報告があります。
スキンケアを見直す
肌の乾燥はバリア機能の低下を招きます。
花粉による肌荒れは、十分な保湿で肌にうるおいを与え、肌のバリア機能を回復させることが大切です。
クレンジングや洗顔は、付着した花粉や汚れをしっかり洗い流し、肌を清潔に保つ役割があります。
クレンジングはクリームやミルクタイプなど、できるだけ肌の負担が少ないものを選び、洗顔時はよく泡立てた泡でやさしく洗いましょう。
洗顔後は化粧水や乳液、クリームなどでしっかり保湿してください。
また外出時は低刺激の日焼け止めやファンデーションを使用することで、肌に直接花粉が付着するのを防いでくれます。
洗顔やクレンジングなどと同様に、肌のうえにポンポン置くようにしてやさしく肌になじませ、肌への刺激を避けましょう。
生活習慣を改善する
食生活の乱れや睡眠不足、過度なストレスなどは肌のターンオーバーの乱れを招き、肌トラブルのもとになります。
花粉が飛ぶ時期は、一年の中でも特に気をつけて生活習慣を見直すとよいでしょう。
食事は肉や卵、大豆製品などのタンパク質、レバーや納豆などのビタミンB2、にんにくやささみなどのビタミンB6を中心に摂取するようにしましょう。
環境を整える
花粉が飛ぶ時期は、いつも以上に丁寧な部屋掃除をすることが大切です。
掃除の際は、掃除機ではなく、先に雑巾やモップなどで拭き掃除を行います。
一通り拭き掃除が終わったら、床の溝や畳の目に沿って掃除機をかけましょう。
そのほか、帰宅後は衣類についた花粉を粘着テープで取り除く、玄関マットやバスマットなどの敷物、カーテンなどはこまめに洗う、洗濯物は部屋干しにするなど、できるだけ花粉が室内に残らないような工夫をしましょう。
皮膚科を受診する
花粉症の症状が悪化した場合、普段使用している化粧水などのスキンケア用品、シャンプーなどが刺激になり、さらに悪化する恐れがあります。
花粉対策やスキンケアなどをしても症状が続く、症状が悪化していく場合は皮膚科を受診することも選択肢のひとつです。
皮膚科では、血液検査やアレルギー検査をしているため、どの花粉に反応して症状が出ているのかを知ることができ、一人ひとりに合った薬を処方してもらえます。
花粉症の治療
花粉症の治療は、大きく分けて薬物療法と免疫療法に分けられます。
薬物療法では、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬などの飲み薬、ステロイドなどの点鼻薬などによる治療があります。
また近年、花粉症の症状が軽いときから薬を服用する初期療法によって、症状を軽減することが増えてきています。
舌下免疫療法はスギ花粉症とダニのアレルギー症状を完治できる可能性がある治療法ですが、通常3~5年ほどかかります。
また、スギ花粉の場合、花粉が飛散する時期は治療を開始することができません。
翌年からの症状軽減を見込んで治療を開始することをおすすめします。
治療の経過と副作用
花粉症の治療薬による副作用として、主に以下のようなものがあります。
また治療の効果には個人差があります。気になる症状が現れた場合、症状が強い場合には医師へ相談しましょう。
- 抗ヒスタミン薬…眠気、便秘、口腔内の渇き、排尿トラブル など
- 抗ロイコトリエン薬…吐き気、腹痛 など
- 鼻噴霧ステロイド薬…刺激感、鼻出血 など
舌下免疫療法では、口腔内の腫れやかゆみ、のどの違和感、頭痛などが起きる場合があります。
また、以下に該当する方は治療をお控えください。
- 妊娠中や授乳中の方
- 65歳以上の高齢者の方
- 全身性のステロイド薬を使用している方
- 重度の気管支喘息がある方
- 自己免疫疾患や悪性腫瘍がある方
料金
基本的に、花粉症の治療は保険適用です。
一部、自費診療となることがあります。
花粉皮膚炎が気になる方は、川崎たにぐち皮膚科へ
花粉症の肌荒れは頬や目元など、人目につく部位に起こりやすいため、春先は憂鬱になるという方もいるかもしれません。
花粉による肌荒れは花粉皮膚炎といい、花粉症の人は誰にでも起こる可能性があります。
気になる症状がある方は、当院へお気軽にご相談ください。
はじめての方は、まずはWeb受付から診察予約をお願いいたします。