口囲皮膚炎は、鼻の下から口の周囲や顎にまで皮膚炎の広がりが認められる皮膚疾患です。
主にステロイド外用薬の長期使用が原因で起こります。
ステロイド薬は、さまざまな皮膚疾患で使われている治療薬です。
たとえばマスクを常時着用している部位に肌荒れが起こった場合には、ステロイド外用薬を長期に使用することもあります。
そのようなときに肌荒れが悪化したと感じたときには、もしかすると口囲皮膚炎が起こっているかもしれないのです。
ここからは、口囲皮膚炎について原因、症状、治療方法などを紹介します。
口囲皮膚炎の原因
口囲皮膚炎は、直接的な原因は不明です。
主にステロイド外用薬の長期使用による副作用が影響して症状があらわれていると考えられています。
また紫外線、細菌感染、化粧品や保湿剤などのスキンケアによっても症状は悪化しやすく、女性の場合は生理前や妊娠中に起こることもあります。
さらにブツブツが悪化しているときには、ニキビダニが関与しているかもしれません。
口囲皮膚炎の症状
女性や子供に起こりやすく、鼻の下から口の周囲や顎にまで皮膚炎の広がりが認められる疾患です。
とくに口の周囲に症状が限定されているときには「口囲皮膚炎」といいます。 症状に個人差はありますが、肌の赤み、毛細血管の拡張、ブツブツなどの酒さに似た症状が出ることもあり「酒さ様皮膚炎」とも呼ばれます。
また皮膚のバリア機能が低下しているときには、敏感肌のような状態となっているため、痒みやヒリつきを感じるかもしれません。
口囲皮膚炎の治療方法
口囲皮膚炎の治療は市販薬では難しく、病院・クリニックを受診するのがオススメです。
主な治療方法には「ステロイド外用薬の中止」、「内服薬」、「外用薬」があります。
それぞれについて詳しく紹介します。
ステロイド外用薬の中止
ステロイド外用薬には、血管拡張や皮膚が薄くなるなどの副作用があります。
とくに長期に使用していると、これらの副作用症状が起こりやすくなるのです。
そのため医師の診断で、ステロイドが影響して口囲皮膚炎が起こっていると判断されたときには、ステロイド外用薬の使用を中止します。
ステロイド外用薬を中止してから、一時的に症状が悪化することを「リバウンド」と呼びます。
このリバウンド症状により、ステロイド外用薬を中止後すぐに再開してしまう方や、強い不安を感じる方もいますが、口囲皮膚炎の主な原因であるステロイド外用薬の中止は治療上とても大切です。
内服薬
皮膚がブツブツしているときには、ドキシサイクリンなどの抗生物質を服用します。
また痒みが強いときには、抗アレルギー薬などを服用することもあります。
外用薬
抗炎症作用、抗菌作用のあるメトロニダゾール(ロゼックス)の外用薬を使います。
またニキビダニの関与がわかったときには、イベルメクチンクリームを使うこともあります。
これらの治療は、症状に合わせて組み合わせて使います。
もしもステロイド外用薬の治療が必要な症状であれば、症状に合わせた種類のステロイド外用薬を、適切な期間だけ使用しても問題はありません。
現在ステロイド外用薬を使用している方は、自分で判断して使用を中止する前に、ぜひ一度当院までご相談ください。
口囲皮膚炎のスキンケア
治療とともに、日々のスキンケアを見なおして、症状の悪化を予防するのも大切です。
清潔
まずは患部を清潔に保つように努めましょう。
石けんや洗顔料は、しっかりと泡立てて使うようにすると、洗浄効果が高くなります。
泡状のタイプを利用するのもよいでしょう。
洗浄剤が残っていると細菌が感染しやすくなるため、しっかりと洗い流しましょう。
保湿
皮膚の乾燥が進行して敏感肌になると、痒みやヒリつきを感じやすくなります。
丁寧な保湿をして、肌状態を整えましょう。
現在使っている洗顔料や保湿剤で刺激を感じるときには、敏感肌用・低刺激用のタイプに切り替えてみるのもよいでしょう。
また保湿成分が配合された入浴剤の利用も効果的です。
紫外線
紫外線の刺激により、症状が悪化することも考えられます。
日焼け止めで刺激を感じるときには、日傘やつばの広い帽子で紫外線対策をするとよいでしょう。
近距離・短時間の移動であっても、忘れずに使いましょう。
生活習慣の見なおし
睡眠不足があると、ホルモンバランスが乱れやすくなり、肌状態が悪化しやすくなります。
睡眠環境を整えるなど、十分な睡眠時間を確保しましょう。
また緑黄色野菜などのビタミンが豊富な食材や、良質な赤身肉などのタンパク質を積極的に摂取すると、肌のバリア機能を整えやすくなります。
さらに過度なストレスを感じているときにも、肌状態は悪化しやすくなります。
適度に休息をとり、ストレスの解消に努めましょう。
川崎の皮膚科なら「川崎たにぐち皮膚科」
口囲皮膚炎は、鼻の下から口の周囲や顎にまで皮膚炎の広がりが認められる皮膚疾患です。
主にステロイド外用薬の長期使用が原因で起こります。
しかし、自己判断でステロイド外用薬を中止してしまうと、「リバウンド」症状に悩んでしまうかもしれません。
口囲皮膚炎の症状があるときには、川崎たにぐち皮膚科までお気軽にご相談ください。
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