粉瘤は、皮膚の下に袋状の嚢腫が作られ、その中に角質や皮脂がたまっていく皮膚疾患です。

粉瘤にはいくつかの種類がありますが、今回は「炎症性粉瘤の原因と治療法」についてご紹介します。

 

炎症性粉瘤の原因

炎症性粉瘤とは、炎症や化膿が起こっている粉瘤のことです。

粉瘤の袋にたまった角質や皮脂が袋の外に漏れ出ると、皮膚と触れることで異物反応を起こして炎症が起こります。

また、粉瘤には小さな穴(皮膚開口部)があり、そこから細菌が侵入することでも炎症が起こります。

粉瘤において、「炎症期~感染・膨張期」にあるものを炎症性粉瘤と呼びます。詳しくは、次の項目でご紹介します。

 

粉瘤のライフサイクル

粉瘤の一連の病態を示したものに、粉瘤のライフサイクルがあります。

「定常期」、「炎症期」、「感染・膨張期」、「破裂期」、「治癒期」といったそれぞれの病態で、粉瘤の特徴は異なります。順番に確認していきましょう。

1.定常期

粉瘤の症状が落ち着いている状態です。

炎症や腫脹、痛みのようなものはありません。

2.炎症期

軽度の炎症が出てきている状態です。痛みはないか、あっても我慢できる程度の軽い痛みです。硬いできもののように粉瘤が触れます。ぶよぶよとした膿のようなものはありません。

3.感染・膨張期

触ったときに痛む、触らなくても痛むなど痛みを自覚しやすい状態です。強い腫れがあり、患部が大きいものだと発熱することもあります。袋の中にはぶよぶよとした液体の膿が触った感じで確認できます。

4.破裂期

内部に膿がたまりすぎて、袋が破裂した状態です。袋の中にあったドロドロとした膿が外に出ています。

5.治癒期

膿を出し切ったあとに、炎症や腫れがなくなっている状態です。このまま放置すると粉瘤が再発するかもしれません。

粉瘤は、それぞれの病態に応じて治療方法を選択する必要があります。次の項目で、炎症性粉瘤の治療方法について確認していきましょう。

 

炎症性粉瘤の治療法

炎症性粉瘤では、「内服薬」、「切開」、「手術」という方法により治療を行ないます。

とくに患部が腫れていると自然治癒することが難しくなるため、病院を受診して専門的な治療を受けるようにしましょう。

内服薬

痛みがあるときには鎮痛薬を、軽い炎症があるときには抗生物質を使用します。

その他、それぞれの症状に合わせて対症療法としてさまざまな薬が使われます。

切開

袋の中にぶよぶよとした液体の膿がたまっていて炎症や腫れが強いときには、患部を型抜きのパンチやメスで切り開くという切開が必要になります。

切開し、膿を外に出すことで炎症や腫れは一時的に落ち着きます。

手術

内服薬や切開によって各種症状を抑えられたとしても、原因となっている粉瘤の袋は体内に残っています。

そのため、粉瘤を根本から治療したいときには、袋を取り除くための手術が必要になります。

ただし、患部に炎症が起こっているときには、皮膚と袋が癒着してしまっているためすぐに手術をすることはできません。

炎症が落ち着いてから、三カ月程度の時間がかかることもあります。 手術によって炎症性粉瘤の根本的な治療を行ないたいときには、なるべく早めに皮膚科を受診するようにしましょう。

 

炎症性粉瘤を放置するとどうなるか

炎症性粉瘤を治療せずにそのまま放置してしまうと、粉瘤の病態が進行してしまうため、患部の腫れや感じる痛みが強くなったり、袋が破裂したりする恐れがあります。

内服薬や切開、手術といった専門的な治療は病院でしか対応できません。

そのため、炎症性粉瘤になったときには、なるべくすぐに病院を受診するようにしましょう。

 

炎症性粉瘤を市販薬で治療できるのか

炎症性粉瘤の治療として、薬局やドラッグストアで売られている市販薬を利用してみようと考える方もいるかもしれません。

しかし、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬の中には、痛み止めや解熱剤といった種類はありますが、抗生物質はありません。

抗生物質は処方薬に分類されるため、病院を受診して処方せんをもらわなければ入手することができないからです。

また、切開や手術が必要になったときには、病院を受診しなければ根本的な治療が行えません。

そのため、市販薬の利用だけで炎症性粉瘤の症状が改善できる可能性は低いといえます。

内服薬を使って炎症性粉瘤の症状を改善したいときには、薬局やドラッグストアを利用する前に、まずは病院を受診して医師に直接相談するようにしましょう。

 

まとめ

炎症性粉瘤のような症状を見つけたときに、治療をせずにそのまま放置してしまうと、病状が変化することで症状が悪化してしまうかもしれません。

とくに痛みや腫れがあるときには、すぐに専門的な治療が必要です。 当院では、炎症性粉瘤などの粉瘤治療をしています。

「粉瘤を放置して腫れや痛みが強くなってきた」、「市販薬を利用しても症状が改善しない」など気になる粉瘤の症状があるときには、いつでもお気軽に当院までご相談ください。

 

(川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修)