「粉瘤が急に腫れて痛くなってきた」「赤みが増して不安」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
痛みを伴う粉瘤は、内部で炎症が起きているサインであり、自然に治ることはほとんどありません。
無理に触ると悪化し、痕が残りやすくなるため注意が必要です。
この記事では、粉瘤が痛む原因ややってはいけないNG行動、痛みを早く取り除くための正しい治療法について解説します。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
2007年に東京大学を卒業後、東京大学医学部附属病院を中心に総合病院やクリニックで一般皮膚科、小児皮膚科、皮膚外科手術、アレルギー、美容皮膚科領域の診療を行ってきました。その経験・知識を活かし、幅広い医療機器を備えて、様々な皮膚のトラブルの助けになれるよう取り組んで参ります。
粉瘤とは?

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造ができ、本来垢として剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が袋の中にたまってできる良性の腫瘍(嚢腫:のうしゅ)です。
身体のどこにでもできますが、顔や首、背中、耳の裏などにできやすく、時間とともに少しずつ大きくなる傾向があります。
数mm~数cmの半球状のしこりで、中央に黒い点(開口部)が見られることが多く、強く押すと臭いのあるドロドロした物質が出ることがあります。
粉瘤が痛む4つの原因

粉瘤が痛むのは、主に4つの原因が考えられます。
細菌感染と炎症
粉瘤の袋の中に細菌が入り込んだり、袋の内容物が周囲に漏れ出たりすると、異物反応による炎症が起こります。膿がたまって内圧が高まることで、ズキズキとした強い痛みが生じます。
物理的な刺激(圧迫・摩擦)
下着のゴムによる締め付けや、気になって頻繁に触ったりこすったりする物理的な刺激が、炎症の引き金となることがあります。
袋の破裂(内容物の漏出)
自分で潰したり、外圧によって袋が皮下で破裂したりすると、激しい炎症と痛みを引き起こします。理由は、皮膚の内部に袋内の角質や皮脂などが排出され、異物反応が起きるためです。二次的に細菌感染が加わると、さらに症状は増悪し、表面の赤みは拡大し表面がブヨブヨしたり発熱したりすることもあります。
粉瘤ではない別疾患の可能性
痛むしこりは「せつ」や「よう」(いわゆる「おでき」)の可能性もあります。これは毛穴に黄色ブドウ球菌などが感染して膿がたまる状態で、粉瘤のような袋状の構造物は持たないのが特徴です。
粉瘤かどうか診断したい方は、自己判断は難しいため医師にご相談ください。
痛いときにやってはいけない3つの行動

粉瘤が痛いときには、以下のような行動は避けましょう。
押す・つぶす
自分での処置は不潔になりやすく、細菌が入って二次感染を起こすリスクがあります。
また、袋が破裂して周囲の組織へ炎症が広がると、皮膚の奥にある皮下組織に細菌が入り込み、炎症を起こす蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの重篤な状態になる恐れもあります。
市販薬だけで治そうとする
市販の塗り薬や痛み止めを使えば、一時的に痛みは引くかもしれません。
しかし、原因である袋そのものは残っているため、薬をやめれば再発する可能性が高く、根治治療にはなりません。
自己流のマッサージ
「しこりを揉めば散る」「血行を良くすれば治る」と誤解してマッサージするのは厳禁です。
粉瘤は袋状の組織なので揉んでも消えず、逆に圧力で袋が破損し、激しい炎症を引き起こす原因になります。
放置する
痛む粉瘤を放置すると、腫れや痛みがさらに強くなり、発熱したり悪臭を放つようになったりします。激痛で歩けない、座れない、眠れないなど、日常生活に大きな支障が出ることも少なくありません。
また、袋が破裂して皮膚組織が破壊されると、治った後も色素沈着や目立つ傷跡が残りやすくなります。
炎症を繰り返して巨大化すると、傷跡が小さいくり抜き法が適用できなくなる恐れもあります。ごく稀ですが、悪性化(がん化)した報告もあるため、早めの受診が重要です。
適切な対処法と受診の目安

ここでは、痛む粉瘤への適切な対処法と受診の目安について、説明します。
市販薬は一時的な対処
市販の抗生物質軟膏や鎮痛剤は、痛みを和らげる一時的な手段に過ぎません。
粉瘤の本体である袋を除去するわけではないため、根本治療とはならず、いずれ再発してしまいます。そのため、根本治療を行いたい場合は皮膚科での治療が必要です。
病院に行くべきタイミング
以下の場合には、医療機関を受診しましょう。
- 痛み・赤み・腫れがある
- 膿が出ている・痛みが強くなってきた
- 数日で引かない
- 大きくなってきた、臭いがある
ただし、炎症が起こってからの治療は、腫れや膿の影響によって時間がかかります。
粉瘤のようなしこりを見つけたときには、まだ小さく炎症が起こっていないうちに、早めに受診することをおすすめします。
痛みのある粉瘤治療の進め方

痛みのある粉瘤は、最初に応急処置し、その後、袋を取り除く根本治療をします。
応急処置:切開排膿(膿を出す)
痛みや腫れが強い場合は、まず皮膚を少し切開して溜まった膿を出す処置や、抗生物質の内服で炎症を鎮めます。この段階では袋を完全に取りきれないことが多いため、後日改めて根治手術が必要になります。
根治治療:摘出術(袋を取る)
炎症が落ち着いてから(目安として3か月程度)、手術で袋ごと摘出します。粉瘤の再発を防ぐためには、原因となっている袋をきれいに除去することが必須です。
たにぐち皮膚科の粉瘤治療の特徴
当院では日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医が診断・治療にあたります。炎症の状態を見極め、可能な場合は当日手術(日帰り手術)にも対応しています。
また、小さな穴から袋を取り出すくり抜き法(へそ抜き法)も採用しており、従来の切開手術に比べて傷跡が目立ちにくいのが特徴です。
ただし、炎症の程度や癒着の状態、完治までの期間によっては適応とならない場合もあります。
詳しく治療内容を知りたい方は、以下のページもご覧ください。
https://k-derm.net/disease/disease004
料金
粉瘤の手術は公的医療保険適用となります。
3割負担の方で、手術費用の目安は約10,000円~15,000円です(病理検査代含む、処方箋料などは別途)。
副作用・リスク
手術に伴うリスクとして、出血、感染、再発、局所麻酔薬によるアレルギー反応などが起こる可能性があります。いずれの方法でも手術前には感染症などの血液検査をする必要があります。
また通常、1週間後に抜糸・傷の診察、2週間後に組織検査の結果を聞くために来院していただく必要があります。
手術当日はシャワー、飲酒、運動は控えていただきますが、飲食は可能です。
翌日からは自宅処置でシャワーで患部を泡でよく洗ってその後処方した軟膏を塗って、ガーゼで保護していただきます。傷口は抜糸するまでは湯船につけないようにしてください。
よくある質問

自然に治りますか?
A. いいえ、自然には治りません。一時的に腫れが引くことはあっても、皮膚の下に袋がある限り自然消滅することはありません。放置すると炎症を繰り返す原因となります。
痛い時にお風呂に入ってもいいですか?
A. シャワーで清潔に保つことは重要です。
ただし、湯船に浸かって患部を温めすぎると、血行が良くなりすぎて痛みや炎症が増す場合があるため、長湯は避けたほうが無難です。
粉瘤が痛くてお悩みの方は、川崎たにぐち皮膚科へ

痛みを伴う粉瘤は、我慢していても治ることはなく、悪化して傷跡が残るリスクが高まります。
早めに適切な処置を受けることで、痛みを早く取り除き、きれいに治せます。
「痛くてつらい」「手術が不安」という方は、川崎たにぐち皮膚科までお気軽にご相談ください。
参照文献

