ニキビやできものを自分で潰してしまった経験はありませんか。
粉瘤も同じように潰して自力で治そうとするのは危険です。
ここでは「粉瘤を自力で治すことはできるのか」「粉瘤を潰すとどうなる?」といった疑問にお答えします。
粉瘤は自力で治すことができる?
粉瘤は皮膚の内側にできた嚢胞という袋に、垢や皮脂などの老廃物がたまったものです。
自然に治ることはありません。
はじめはニキビのように小さな粉瘤でも、治療せずに放置していると時間とともに大きくなります。
大きいものだと野球のボールほどの大きさになることもあります。
粉瘤をニキビのように潰して治そうとする人もいますが、粉瘤は潰しても治りません。
それどころか細菌が入り込んで感染し、悪化する原因となりますので、自己判断で潰すのはやめましょう。
粉瘤を潰して細菌感染するとどうなる?
細菌に感染した粉瘤を炎症性粉瘤や感染性粉瘤と言います。
細菌に感染すると、急に大きくなり、痛みや赤み、腫れを伴います。
ニキビのように無理に膿を押し出そうとすると、袋が破れて脂肪組織内に広がり、皮膚が化膿する膿皮症(のうひしょう)という状態になることがあります。
また、クリニックへ受診せずに自分で潰したり放置していたりすると、粉瘤はどんどん大きくなってしまいます。
粉瘤の治療は大きさに合わせて表皮を切開し袋ごと取り除くため、大きくなってからの治療では傷跡が大きくなってしまいます。
粉瘤の治療方法
前述したように、粉瘤は自然に治ることはありません。
また、飲み薬や塗り薬で完治することもありません。
放っておくこと、だんだん大きくなり感染のリスクもあります。
なるべく小さいうちに早めに手術で取り除くことが重要です。
粉瘤の治療は手術で芯から取り除きます。
手術には2種類の方法があります。
くりぬき法
局所麻酔後、筒状の器具で粉瘤の中心に4~5mm程の小さな丸い穴を開け、その穴から袋と内容物をくりぬきます。
傷の場所や状態によって縫合するかそのまま傷がふさがるのを待つかを決めます。
くりぬき法は「まわりの皮膚との癒着がないこと」「小さな穴から摘出できるサイズである」といった場合に用います。
傷跡が小さく済むため顔などの治療に適しています。
一方で、大きな粉瘤や癒着を起こしている粉瘤の治療には適していません。
切開法
粉瘤の大きさに合わせて皮膚を切開し、粉瘤をしっかり袋ごと取り除きます。
局所麻酔後に紡錘形に切除し、皮膜に沿って袋ごと摘出します。
止血後、傷を縫合します。基本的に術後1週間で抜糸します。
切開法は粉瘤を袋ごと取り除くことができるため、大きくなってしまった粉瘤でも確実に取り除けます。
再発しにくいメリットがある一方で、なるべく傷あとを残さないように切開線は小さくしますが、大きさによっては粉瘤の大きさと同じ長さの傷跡が残ります。
炎症性粉瘤の場合の治療法
粉瘤が腫れて化膿している場合、はじめに抗菌薬の飲み薬で炎症を抑えます。
さらに、膿がたまっていると判断した場合は、切開して膿を出し炎症を鎮めます。
炎症性粉瘤に対する切開は膿を出すための応急処置となるため、切開傷がふさがったあとに3か月くらいの期間をおいて改めて手術で袋ごと取り除きます。
炎症が起こってからの診療は治療の負担や期間が大きくなるため、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
当院では粉瘤の日帰り手術も行っております。
当院の粉瘤の治療については、こちらのページをご覧ください。
粉瘤の治療はたにぐち皮膚科へ
粉瘤だと思っていても、にきびや一般的におできと呼ばれる癤(せつ)、脂肪のかたまりと呼ばれる脂肪腫、石灰化上皮腫(毛母腫)など、粉瘤と見分けのつきにくい他の疾患の可能性もあります。
また、粉瘤は基本的に良性の腫瘍ですが、ごくまれに悪性化(がん化)したという報告もあります。
当院では痛みに配慮した粉瘤の日帰り手術をおこなっております。
粉瘤以外にもさまざまな種類のできものの治療をしていますので、気になる症状がありましたらまずはお気軽にご相談ください。