体のいろいろな場所にみられる「できもの」ですが、「できもの」にはさまざまな種類があることをご存じでしょうか。

ここでは、主に当院で治療を行っている代表的な「できもの」の種類と治療方法についてご紹介します。

 

「できもの」の代表的な種類

一言で「できもの」と言っても、その形や症状はさまざまです。

たとえば、盛り上がったもの、平らなもの、ぶら下がったものなど形だけでもいろいろです。

痛みの有無や色合いの他にも、「できもの」ができる場所などにも個人差が見られることがあります。

このように、さまざまな種類がある「できもの」ですが、日常生活において発生しやすい「できもの」にはいくつかの代表的なものがあります。

ここからは、日常生活でよくみられる代表的な「できもの」の種類についてご紹介します。

 

ほくろ

ほくろは、メラニン色素を作りだす母斑細胞と呼ばれる細胞が集まって固まったものです。

形は平らな物から盛り上がったものまでいろいろなパターンがあります。

サイズも小さなものから大きなものまでさまざまで、一つの場所に一個だけではなく二つ以上できることもあります。

色は茶色から黒色の他にも、うすだいだい色などの種類があります。

ほくろは、老若男女を問わずに体のさまざまな場所につくられるため、とても身近な「できもの」であるといえるでしょう。

 

粉瘤(アテローム)

粉瘤は皮膚の下に毛穴の袋ができて、その中に老廃物がたまって膨らんだ「できもの」です。

はじめに作られたときには小さい「できもの」でも、時間が経つにつれて老廃物が袋にたまっていくために、少しずつ大きくなっていきます。

頭皮、おしり、背中、ワキなど全身のどこにでも起こります。

症状が悪化すると炎症による腫れや痛みが出てくるかもしれません。

外部から刺激を受けるなどの影響で袋が破裂すると、化膿による強い痛みを感じます。

大きくなりすぎる前に早めに治療するのがよいでしょう。

 

ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)

ヒトパピローマウイルスが皮膚に感染することで起こるタイプのイボです。

手や足などに作られやすく、時間が経過するにつれて大きく盛り上がっていきます。

ウイルス性のイボには感染性があります。

たとえばイボを触った手で自分の体に触れると、触れた場所に新しくイボができてしまうかもしれません。

できてしまったイボが気になるからといって、むやみに触るのは控えましょう。

通常の場合は、痛みはあまり感じません。ただし、大きく盛り上がっているときには、強く押したときに痛みを感じることもあります。

 

老人性のイボ(脂漏性角化症)

紫外線が当たりやすい顔や頭などによくできるタイプのイボです。

手のひらと足の裏以外のほぼ全身にできます。

小さなイボが、時間が経過するにつれて少しずつ大きくなることもあります。

基本的に痛みはありません。

褐色や黒色、うすだいだい色などさまざまな色があり、加齢によって数が増える傾向もあります。

 

首やワキにできるイボ(軟性線維腫)

軟性線維腫は、首やワキなどの皮膚が柔らかくて摩擦の影響を受けやすい部分によくできるタイプのイボです。

その他にも胸や背中、太ももなどにできることもあります。

見た目は小さくてポツポツとしています。

色は茶色や黒色が多く、他にうすだいだい色もあります。

平らなものから盛り上がったものまでさまざまな形があり、ときにはぶら下がった形のイボができることもあります。

基本的には痛みや痒みはありませんが、大きくなると摩擦による影響で痛みを感じやすくなります。

 

たこ、うおのめ

足の裏や足の指などに起こりやすい「できもの」です。

自分の足に合わない靴や歩き方のクセなどによって圧迫や摩擦の刺激を慢性的に受けて、皮膚の角質が厚くなることで起こります。

日常的にハイヒールを履くときにも、足に大きな負担となるのでさけましょう。

患部を圧迫してもそこまで強い痛みを感じない「できもの」はたこ、圧迫すると痛みを感じる「できもの」はうおのめと呼ばれています。

患部が赤くなっているときには細菌感染が起こっている可能性も考えられます。

なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

 

虫刺され

蚊、ダニ、ハチ、アブ、ムカデなどの虫に刺されることで、体がアレルギー反応を起こして赤く腫れた状態です。

刺された場所には、痒み、痛み、赤み、腫れなどが現れることもあります。

個人差はありますが、刺された後に強いアレルギー反応が起こった場合には、注意しなければなりません。

アレルギー症状が悪化することで、アナフィラキシーショックが起こると命の危険も考えられます。

とくにハチに刺された後に意識を失くしてしまったときや全身に広がるじんま疹などが起こったときには、速やかに救急車を呼び、医療機関を受診することが大切です。

 

ヘルペス(単純疱疹、帯状疱疹)

ヘルペスウイルスが原因で起こる「できもの」です。

主に唇・鼻の入口・鼻の中・性器付近にできる単純疱疹と、胸や背中など体の片側にできる帯状疱疹があります。

「できもの」は小さなポツポツからはじまり、症状が進行すると大きな水ぶくれや腫れのようになることもあります。

免疫力が落ちると発症しやすいため、ストレスや疲労をためないことが大切です。

とくに帯状疱疹の場合は、症状が悪化すると39℃以上の高熱や頭痛、神経痛が現れやすくなります。

さらにムズムズやピリピリといったような軽い痛みから、ズキンズキンと脈打つような激しい痛みへと変化していきます。

もし治療の開始が遅くなると、薬の効果が出にくくなります。

さらに帯状疱疹の症状が落ち着いた後にも神経痛が残ってしまうかもしれません。

帯状疱疹の場合は、症状が現れてからすぐに治療を開始するようにしましょう。

 

「できもの」を治療するには

体にできた「できもの」を治療するためには、さまざまな方法があります。

当院では、主に「薬を使った治療」、「手術を用いた治療」、「その他に行う治療」によって対応しています。

代表的な治療方法について、それぞれご紹介します。

 

<薬を使ったできもの治療>

薬を使った治療では、主に内服薬(飲み薬)と外用薬(塗り薬)を使います。

症状に合わせて、内服薬と外用薬を併用することもあります。

 

できものの内服薬

細菌やウイルスなどが原因に関係しているときには抗生物質や抗ウイルス薬を使用します。

痛みがあるときは痛みの種類に合わせて鎮痛薬を使います。

痒みがあるときには、かゆみ止めを使います。

それぞれ、症状や年齢などに合わせて必要な用法や用量を定めています。

繰り返し作られる「できもの」に対しては、「できもの」の症状や体質、年齢などを考慮して漢方薬を使うこともあります。

 

できものの外用薬

直接患部に外用薬を塗ります。

塗り薬の成分として、抗生物質や痛み止め、かゆみ止め、腫れを抑えるものなどを使います。

患部の状態や症状に合わせて一つの種類だけではなく複数の外用薬を使い分けることもあります。

 

<手術を用いたできもの治療>

手術によって、「できもの」を患部から切り離す処置を行います。

それぞれの方法で事前に麻酔薬を利用してから処置を行っているため、処置中に痛みを感じることはありません。(※麻酔薬にアレルギーをお持ちの方は、診察時にご相談ください)

 

ラジオ波メス

高周波であるラジオ波を発生させる機械とメスによって患部を切除するという方法です。

ラジオ波を発生させながら切除できるため、止血しながらの切除が可能です。

患部周囲にある組織への切除に伴うダメージを少なくできます。

老人性のイボ(脂漏性角化症)や小さいホクロなど、主に皮膚の表面に作られた「できもの」に対して使います。

 

くりぬき法

専用の型抜きを使って患部に穴を開けて「できもの」を取り除くという方法です。

施術による傷口を小さくできるのが特徴です。

小さなホクロや癒着のない粉瘤などに使っています。

 

外科用のハサミ(剪刀)によるできもの切除

外科用のハサミを使って患部を切除することもあります。

軟性線維腫などのぶら下がった形のイボがあるときや、サイズの小さい「できもの」に対して用います。

 

メスによるできもの切除

メスを使って患部周辺の皮膚を葉っぱのような形に切り開くことで「できもの」を取り除く方法です。

一般的な方法のため、いろいろなタイプの「できもの」に用います。

たとえば、くりぬき法では対応が難しいようなサイズが大きな「できもの」や、ラジオ波メスでは傷跡が残りやすいような場所にある「できもの」などにも使います。

 

<その他に行う治療>

症状によっては、薬や手術以外の治療を行うこともあります。

 

冷凍凝固療法(液体窒素)

「できもの」に対して-196℃の液体窒素を塗布して取り除く方法です。

ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)老人性のイボ(脂漏性角化症)などに使います。

当院では、主にスプレー式の液体窒素を使っています。

そのほかにも、「できもの」が作られた場所や大きさなどによって液体窒素を染みこませた綿棒やピンセットを用いることもあります。

液体窒素を長く強くあてるほど治りやすくなりますが、強い痛みを感じるため症状に合わせて調整しています。

新しい皮膚ができる速度に合わせて、1~2週間ごとの定期的な施術が必要です。

 

まとめ

「できもの」には平らなものや膨らんだものなどさまざまな形や種類があり、作られる場所や痛みの有無などについては個人差があります。

「できもの」の種類によっては、自然治癒が難しいものもあります。

また、早めに治療することで治療後の症状が軽くなるものもあります。

見つけたときには痛みがない「できもの」でも、時間が経過するにつれて症状が悪化すると、痛みが出てくるかもしれません。

「できもの」を見つけたときには、痛いと感じる前に、なるべく早めに医療機関を受診して治療を開始するとよいでしょう。

当院では、「できもの」に対して内服薬、外用薬、手術などにより治療を行っています。

「できもの」の症状や種類によっては日帰り手術も可能です。気になる「できもの」に気づいたときには、いつでもお気軽にご相談ください。

(川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修)

 

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