「ニキビだろう」と思っていても、なかなか治らなかったり、だんだん大きくなったりしていませんか。

実はそれ、ニキビではなく「粉瘤(ふんりゅう)」という全く別の皮膚のできものかもしれません。

放置すると炎症を起こして痛んだり、傷跡が大きくなったりする可能性もあります。

この記事では、ニキビと粉瘤の違いから、見分けるポイント、それぞれの適切な治療法まで、詳しく解説します。

ニキビと粉瘤の違いとは

ニキビと粉瘤は、見た目が似ていても、全く異なる疾患です。

ニキビは毛穴に皮脂が詰まり、そこでアクネ菌などが増殖して炎症を起こす皮膚の病気です。一方、粉瘤は皮膚の下に袋状の構造物ができ、そこに垢(角質)や皮脂が溜まってしまう良性の腫瘍です。

ニキビの原因ははっきりしていますが、粉瘤の原因は不明な場合が多いです。

そのため、ニキビはセルフケアや市販薬で改善することもありますが、粉瘤は袋を取り除かない限り根本的には治りません。薬で一時的に炎症が治まっても、袋が残っている限り再発の可能性があります。

ニキビと粉瘤の見分け方

ニキビと粉瘤は、次のようなことから、見分けることが可能です。

1, 見た目

ニキビは進行度によって「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」などと呼ばれ、白、黒、赤色をしています。炎症を起こしていない白ニキビは、中心部が黒い点のように見えることはありません。

粉瘤は肌色や白色のドーム状の盛り上がりとして現れます。特徴的なのは、盛り上がりの中心に「開口部」と呼ばれる小さな黒い点が見られる場合があることです。

これは毛穴の出口が詰まり、皮脂が酸化して黒く見えてしまうのです。ただし、黒い点が見られないことも少なくありません。

2, 大きさ

ニキビは、炎症を起こして大きく腫れたとしても、直径数mm程度にとどまることがほとんどです。

一方、粉瘤は数mmの初期段階から、放置すると少しずつ大きくなり続けます。

ときには数cmから、まれに野球ボールほどの大きさになるケースもあります。

3, 内容物と臭い

ニキビを潰したときに出てくるのは、主に白い皮脂です。基本的にはほとんど臭いはありません。

粉瘤の内容物は、本来剥がれ落ちるはずだった垢(角質)と皮脂が混ざったものです。

そのため、独特のドロドロとした粥状で、チーズや腐敗したような強い悪臭を放つのが大きな特徴です。

粉瘤を強く圧迫すると、開口部から内容物が出てくることがあります。また、炎症を起こしていると何もしなくても臭いを感じる場合があります。

4, 触ったときの感じ

ニキビは、炎症を起こして膿がたまっている場合、硬いしこりを感じます。

粉瘤も皮膚の下に塊があるため、しこりのように感じます。ニキビよりも弾力があり、はっきりとした塊として触れることが多いです。

5, 症状の進行と治り方

ニキビは比較的短い期間で症状が変化し、赤く腫れたり、膿が溜まったりした後、自然に治癒に向かうこともあります。

ただし、炎症が強いと跡が残ることがあります。

粉瘤が自然に治癒することはありません。時間をかけて少しずつ大きくなり、細菌感染などで炎症を起こすと、急激に赤く腫れて痛むなど症状が悪化することがあります。

6, 痛みやかゆみなどの症状

ニキビは、炎症が強い「赤ニキビ」や「黄ニキビ」になると、痛みを伴います。また、かゆみを感じることも少なくありません。

一方、粉瘤は炎症を起こしていない限り、痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありません。しかし、一度炎症を起こすと、強い痛みや熱感を伴います。

自己判断が難しい場合もあるので、気になる方は医師の診察を受けましょう。

ニキビとは?

ニキビは、「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気です。主な原因は、「皮脂の過剰な分泌」「毛穴の詰まり」「アクネ菌の増殖」の3つです。

症状の進行状態にあわせて、3つの名前で呼び分けています。

  • 白ニキビ:毛穴に皮脂が詰まった状態
  • 黒ニキビ:毛穴が開き、詰まった皮脂が酸化して黒く見える状態
  • 赤ニキビ:毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤く腫れた状態

炎症が悪化し、黄色い膿ができた状態を「黄ニキビ」と呼ぶこともあります。ケアが適切でないと、ニキビ跡が残ることもあります。

粉瘤とは?

粉瘤は、「アテローム」とも呼ばれる良性の皮下腫瘍です。

何らかの理由で皮膚の下に袋状の構造物ができ、その袋の中に本来は剥がれ落ちるはずの垢(角質)や皮脂が溜まってしまったものです。

はっきりとした原因は不明なことが多いですが、外傷や毛穴の詰まり、ニキビ跡などがきっかけで発生することもあります。自然に消えることはなく、少しずつ大きくなるのが特徴です。

皮膚科を受診すべき症状

以下のような場合には悪化する前に、皮膚科を受診しましょう。

  • ニキビか粉瘤か、自分で見分けがつかないとき
  • 市販薬を一定期間使用しても改善しない、または悪化する場合
  • 炎症が強い、繰り返しできる場合
  • ニキビが広範囲に多発している
  • 粉瘤が徐々に大きくなってきた、または数が増えてきた
  • 腫れて痛むなど、炎症を起こした場合
  • 美容的に気になる場合(ニキビ跡、粉瘤のしこりなど)

ニキビの治療方法

市販薬で改善しない場合や、炎症が強いニキビ、繰り返しできるニキビは、自己判断で悪化させてしまう前に皮膚科を受診しましょう。

皮膚科では、以下のような治療を症状に合わせて組み合わせます。

  • 外用薬:毛穴の詰まりを改善する薬、抗菌薬
  • 内服薬:抗菌薬、ビタミン剤、漢方薬など
  • 注射薬:炎症を抑える薬
  • 面ぽう圧出:専用の器具を使い、毛穴に詰まった皮脂や角質を押し出す

治療を適切にすると、ニキビの改善だけでなく、ニキビ跡のリスクを最小限に抑えることにも繋がります。

粉瘤の治療方法

粉瘤を根本的に治すには、原因である袋状の構造物を手術で取り除く必要があります。

手術には、小さな穴から内容物と袋を抜き取る「くり抜き法」や、メスで切開して袋を摘出する「切除縫縮術」などがあり、いずれも日帰りで可能です。

炎症を起こして赤く腫れている場合は、まず切開して膿を出す応急処置をして、炎症が治まった後に改めて袋を取り除く手術をします。

傷跡を小さくするためにも、炎症を起こす前の早期の手術がおすすめです。

当院の特徴

当院では、皮膚科専門医が一人ひとりのニキビや粉瘤といったできものや肌の状態をていねいに診察いたします。そのうえでご希望を伺い、最適な治療法や施術を提案いたします。

皮膚に関するお悩みは、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

クリニックでの診察&治療の流れ

当院での診察や治療の流れは、以下のとおりです。

  1. 来院・受付
    WEBまたは窓口で当日の順番をお取りください。来院後、問診票にご記入いただきます。
  2. 診察・カウンセリング
    医師が患部の状態を詳しく診察し、診断結果と最適な治療法について説明します。
  3. 施術
    手術や処置が必要な場合は、後日WEBにてご予約の上、施術します。
  4. 術後処置の説明
    ご自宅でのケア方法や注意事項について、看護師が詳しく説明します。
  5. 抜糸・傷の診察
    手術内容に応じて、後日来院いただき、抜糸や傷の状態を確認します。

診療をご希望の場合、予約は不要です。施術は1カ月前からWEB予約が可能です。

費用

症状がある場合には、保険診療の対象で3割負担になります。

おおよその金額は以下のとおりです。

【保険診療の費用(3割負担)】

項目

金額

初診料

約900円(税込)

再診料

約200円(税込)

処方料

約200円(税込)

切開排膿処置(化膿した粉瘤の切開処置)

約1,800円(税込)

できものの手術

約10,000円〜20,000円(税込)

※上記のほか、別途、医薬品代がかかる場合があります。
※日本で未承認の医薬品を使う場合は、自由診療(保険の対象外、自費)になります。

よくある質問

1. 粉瘤かどうか確かめる方法はありますか?

最も確実なのは、皮膚科を受診し、医師の診察を受けることです。

自分で確認する場合の目安は、皮膚がドーム状に盛り上がっているか、中心に「開口部」と呼ばれる黒い点が見えるか、などがあげられます。

ただし、この黒い点は必ずしもあるとは限りません。臭いを伴う内容物が出てくる場合は、粉瘤の可能性が非常に高いと言えるでしょう。

2. しこりみたいなニキビの原因は?

ニキビが硬いしこりのようになるのは、毛穴の中で炎症が強く起こり、膿が溜まったり、周辺の組織がダメージを受けたりしている状態です。

特に、炎症が皮膚の深い部分(真皮層)にまで及ぶと、治癒の過程で硬い瘢痕(はんこん)組織ができてしまうことがあります。

無理に自分で治そうとすると、さらに炎症を悪化させ、跡に残りやすくなるため、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

ニキビや粉瘤にお悩みの方は川崎たにぐち皮膚科へ

ニキビや粉瘤は身近な皮膚トラブルですが、自己判断は禁物です。

特に、治りにくいできものや、だんだん大きくなるしこりは、専門医による的確な診断が重要です。

川崎たにぐち皮膚科では、皮膚科専門医が、豊富な知識と経験に基づき、一人ひとりに最適な治療を提案いたします。

ニキビ、粉瘤はもちろん、皮膚のあらゆるお悩みについて、ていねいに診察・治療いたします。川崎エリアで皮膚科をお探しの方は、ぜひ当院へご相談ください。

 

(川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修)

副作用・リスク

くり抜き法・メスを使った切除縫縮

出血、感染、再発、局所麻酔薬のアレルギー反応など

 

参考文献

日本形成外科学会|粉瘤(アテローム・表皮嚢腫)