皮膚に作られたできものが痛いと感じることはありませんか。

赤みや痛み、盛り上がりなどがあるときには、炎症性粉瘤という皮膚の病気かもしれません。

さまざまな種類のある粉瘤ですが、今回は「炎症性粉瘤の原因と治療法」について紹介します。

 

炎症性粉瘤(アテローム)の原因

粉瘤とは、皮膚の下に袋状の組織が作られ、その中に角質や皮脂がたまっていく皮膚疾患です。

粉瘤ができた部分に炎症や化膿が起こっているときには「炎症性粉瘤」と呼ばれています。

 

炎症性粉瘤の原因は細菌の侵入や、袋の中にたまった角質や皮脂といった異物が外に漏れ出たときに患部が炎症を起こすことです。

炎症性粉瘤では見た目が赤くなって大きく腫れ上がり、痛みを感じるようになることがあります。

 

炎症性粉瘤(アテローム)の症状

炎症性粉瘤は炎症により患部が赤く腫れ上がり、痛みを感じることもあります。

触って痛い場合や、触らなくても痛みを感じる場合など痛みの感じ方には個人差があります。

ただし化膿が起こったときには、眠れないぐらいに強い痛みを感じるようになるかもしれません。

 

炎症性粉瘤(アテローム)が痛いときに放置するとどうなる?

炎症性粉瘤を放置したときには、さまざまなリスクがあります。

ここでは炎症性粉瘤が痛いときに、治療を受けずに放置したときの危険性について紹介します。

 

腫れが大きくなる、痛みが強くなる、発熱する

炎症性粉瘤を治療せずにそのまま放置してしまうと、粉瘤の症状が進行してしまうため、患部の腫れが大きくなり、痛みが強くなるかもしれません。

また増殖した細菌が全身にまわって発熱することもあります。

 

悪臭が出る

粉瘤の袋の中には、角質や皮脂がたまっています。

炎症が起こっているときに膿ができると、袋にたまった膿が原因で強い悪臭を感じるかもしれません。

 

日常生活が過ごしにくくなる

炎症性粉瘤を放置して症状が悪化してしまうと、「強い痛みで眠れない」、「激痛で歩けない」、「おしりにできた粉瘤が痛くて座れない」など日常生活が過ごしにくくなるかもしれません。

 

傷跡が残りやすくなる

炎症を放置していると粉瘤の袋が破裂してしまうかもしれません。

破裂によって皮膚の組織が破壊されてしまうため、炎症性粉瘤が治った後にも色素沈着が残りやすくなります。

 

また患部が大きくなると、くり抜き法と言われる手術ができなくなるため、手術の傷跡が残りやすくなるかもしれません。

炎症性粉瘤になったときに治療をせずに放置してしまうと、さまざまな危険性があります。

炎症性粉瘤は放置せずになるべく早めに当院までご相談ください。

 

炎症性粉瘤(アテローム)が痛いときに市販薬で治療できるの?

炎症性粉瘤が痛いときの対処法として、薬局やドラッグストアで売られている市販薬を利用してみようと考える方もいるかもしれません。

 

しかし、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬だけで炎症性粉瘤を治療するのは難しいのです。

ここでは炎症性粉瘤を市販薬だけで治療するのが難しい理由について紹介します。

 

根本的な治療ができない

粉瘤の原因は、袋状の組織が作られてしまうことです。

そのため袋を手術で除去しなければ、根本的な治療はできません。

もし市販薬で痛みや熱を抑えられたとしても、袋を除去しないかぎりは、繰り返し症状が出るかもしれません。

 

抗生物質が購入できない

炎症性粉瘤のように赤みや痛みがあるときには、細菌に感染している可能性があります。

そのまま放置していると全身に細菌がまわって発熱などの症状があらわれるかもしれません。

そのため細菌に対応できる抗生物質を使用することが大切です。

 

しかし薬局やドラッグストアで抗生物質の購入はできません。

薬の種類は主に病院を受診して処方される「医療用医薬品」と、薬局で購入できる「一般用医薬品」があります。

 

抗生物質は処方せん医薬品に分類されており、一般用医薬品では販売されていないため、病院を受診しなければ入手できないのです。

炎症性粉瘤が痛いときに薬局やドラッグストアで痛み止めを購入しても、根本的な治療にはなりません。

 

粉瘤をしっかりと治療したいときには、袋を除去するために病院を受診するようにしましょう。

炎症性粉瘤のように感染のリスクが高いときには、抗生物質を使用する必要があるかもしれません。

 

炎症性粉瘤の症状を改善したいときには、薬局やドラッグストアを利用する前に、まずは当院までお気軽にご相談ください。

 

粉瘤(アテローム)が炎症性粉瘤になるまで

粉瘤にはさまざまな種類があり、医学的には「炎症期~感染・膨張期」にあるものを炎症性粉瘤と呼びます。

ここでは粉瘤の代表的な種類についてそれぞれの病態ごとに紹介します。

 

1.定常期

できたばかりの粉瘤にみられる初期症状です。

粉瘤の症状が落ち着いている状態で、炎症や腫れ、痛みのような自覚症状はありません。

 

2.炎症期

軽度の炎症が出ている状態です。

赤みがわずかにみられます。

 

痛みはないか、あっても我慢できる程度の軽い痛みです。

触ると硬い感触をしています。

膿はないため、袋に膿がたまったときのブヨブヨとした感触はまだありません。

 

3.感染・膨張期

触ったときに痛む、触らなくても痛む、強い痛みで眠れないなど痛みを自覚しやすい状態です。

赤みが目立ち強い腫れも出ています。

患部が大きいものだと発熱するかもしれません。

 

袋の中にたまった膿があるため、触るとブヨブヨとした感触をしています。

膿が原因で強い悪臭が出ることもあります。

 

4.破裂期

膿がたまりすぎて、粉瘤の袋が破裂した状態です。

袋の中にあった膿が外に出ており、ドロドロとした液体が漏れています。

膿が空気に触れることで強い悪臭も感じます。

 

5.治癒期

膿を出し切った後に炎症や腫れがなくなっている状態です。

粉瘤の原因となっている袋を取らずに放置すると、袋の中に再び角質や皮脂がたまることで粉瘤が再発するかもしれません。

 

炎症性粉瘤(アテローム)の治療法

粉瘤はそれぞれの病態にあわせて治療方法を選ぶことが大切です。

当院の場合、炎症性粉瘤は内服薬や切開、手術という方法で治療をします。

とくに患部が腫れていると自然に治るのが難しくなるため、早めに当院までご相談ください。

 

炎症性粉瘤(アテローム)の治し方|内服薬

痛みがあるときには鎮痛薬を、軽い炎症があるときには抗生物質を使用します。

その他、それぞれの症状にあわせて対症療法としてさまざまな薬が使われます。

 

炎症性粉瘤(アテローム)の治し方|切開

袋の中にブヨブヨとした感触があるときには、膿がたまっています。

膿の影響で炎症や腫れが強いときには、型抜きやメスで患部を切り開く切開という方法が必要です。

切開して膿を外に出すことで、炎症や腫れは一時的におさまります。

 

炎症性粉瘤(アテローム)の治し方|手術

内服薬の使用や切開によって各種症状を抑えられたとしても、原因となっている粉瘤の袋は体内に残っています。

粉瘤を根本から治療したいときには、袋を取り除くための手術が必要です。

 

ただし患部に炎症が起こっているときには、皮膚と袋が癒着してしまっているため手術をすぐにはできません。

炎症性粉瘤の場合は、炎症が落ち着いてから3か月程度の時間がかかることもあります。

 

炎症性粉瘤の根本的な治療を受けたいときには、なるべく早めに当院までご相談ください。

 

炎症性粉瘤(アテローム)の副作用・注意事項

 

禁忌

「メスを使った切除縫縮法」

・妊娠中や授乳中の方

 

「くり抜き法」

・妊娠中や授乳中の方

 

副作用

出血、感染、再発、局所麻酔薬のアレルギー反応など

 

注意事項

  • 手術後は抜糸のために来院が必要です。頭、手のひら、足の裏は2週間後、それ以外の部位は1週間後です。
  • 炎症性粉瘤で膿がたまってしまって切開排膿が必要な場合には、できるかぎり当日に切開排膿処置をしています。
    その際は炎症が落ち着くのを3か月ほど待ってから手術で粉瘤を摘出します。

 

炎症性粉瘤(アテローム)の料金

 

<保険適用>

以下は3割負担の料金です。

初診料 約900円
再診料 約200円
処方料 約200円

 

粉瘤の手術

メスを使った切除縫縮法約10,000円~15,000円
くり抜き法約10,000円~15,000円

 

川崎の皮膚科なら「川崎たにぐち皮膚科」

炎症性粉瘤のような症状を見つけたときに、治療をせずにそのまま放置してしまうと、病状が変化することで症状が悪化してしまうかもしれません。

「粉瘤を放置して腫れや痛みが強くなってきた」、「市販薬を利用しても症状が改善しない」など気になる粉瘤の症状があるときには、炎症性粉瘤などの粉瘤治療をしている当院までお気軽にご相談ください。

 

【川崎たにぐち皮膚科院長:谷口 隆志 監修】