「メイクでも隠しきれない」「なかなかニキビ跡が薄くならない」と、クレーター状のニキビ跡に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
クレーター状のニキビ跡への効果を期待できる施術に、針を使わないキュアジェットがあります。
キュアジェットは、肌の再生を促す薬剤を肌の奥へ直接届け凹みを内側から持ち上げる方法で、痛みやダウンタイムの心配が少ないのが特徴です。
この記事では、キュアジェットの効果や特徴について、詳しく解説します。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
2007年に東京大学を卒業後、東京大学医学部附属病院を中心に総合病院やクリニックで一般皮膚科、小児皮膚科、皮膚外科手術、アレルギー、美容皮膚科領域の診療を行ってきました。その経験・知識を活かし、幅広い医療機器を備えて、様々な皮膚のトラブルの助けになれるよう取り組んで参ります。
キュアジェットとは?
キュアジェットは、高圧のジェット噴流を利用して薬剤を肌の奥深くまで浸透させる医療機器です。
ここでは、キュアジェットの仕組みと特徴について説明します。
キュアジェットは針を使わない施術法
キュアジェットの最大の特徴は、注射針を使わない点にあります。
ジェット機のエンジン技術を応用した特殊なハンドピースから音速に近い速度で薬剤を噴射すると、ナノサイズまで分解された美容成分がスプレーのように細かく肌に吹き付けられます。
針を刺さないため痛みが少なく、肌への負担や感染症のリスクも抑えられる施術方法です。
また、薬剤は肌の表面から奥深くの層(真皮層)まで、ムラなく均一に浸透させられます。
ニキビ跡治療で注目される理由
キュアジェットがニキビ跡治療で注目されている理由は、主に3つあります。
- 薬剤を的確に届ける効果(ドラッグデリバリーシステム)
ニキビ跡の凹みの主な原因は肌の奥にある真皮層のコラーゲンが破壊され、皮膚が癒着してしまうことです。キュアジェットは真皮層まで肌の再生を促す薬剤を直接届け、根本的な改善を目指します。
- 創傷治癒と薬剤の相乗効果
ジェット噴流が肌を通過する際に微細な穴が開き、肌が本来持つ「傷を治そうとする力(創傷治癒効果)」によってコラーゲン生成が促されます。
加えて、注入する薬剤(ジュベルック)によるコラーゲン生成促進効果が働き、創傷治癒と薬剤のダブルの効果でニキビ跡の凹みにアプローチできます。
- ダウンタイムの短さ
従来のレーザー治療やダーマペンと比較して、施術後の赤みや腫れといったダウンタイムが短いのが特徴です。
日常生活への影響が少なく、忙しい方でも受けやすい治療と言えます。
ニキビ跡への効果(コンタクトモードでの施術)
ニキビ跡の凹み治療には、主に「コンタクトモード」で施術します。
コンタクトモードは、ハンドピースを肌に直接接触させて薬剤を噴射する、ニキビ跡の凹み治療に特化した施術法です。
ニキビ跡にピンポイントで接触させ、薬剤を凹みの直下に集中的に注入できます。凹んだ肌の土台を内側から持ち上げ、コラーゲンを増生させることで肌そのものを再構築し、なめらかな状態へと導きます。
改善できるニキビ跡の種類
キュアジェットには、効果が期待できるニキビ跡と、改善が難しいニキビ跡があります。
キュアジェットで改善できるニキビ跡
キュアジェットは、クレーター状のニキビ跡の改善に特に効果的です。
クレーターには「アイスピック型」「ボックスカー型」「ローリング型」といった種類がありますが、中でも比較的浅い「ローリング型」や「ボックスカー型」の改善が期待できます。
ジェット噴流が真皮層の線維芽細胞を刺激し、失われてしまったコラーゲンやエラスチンの生成を促進することで、凹んだ部分を内側からふっくらと持ち上げます。
改善が難しいニキビ跡の種類
以下のようなニキビ跡は、キュアジェットのみでは改善が難しい場合があります。
- ケロイド状に赤く盛り上がったニキビ跡
- 非常に深くシャープなアイスピック型のクレーター
- 赤みや色素沈着(茶色いシミ)といった色に関わるニキビ跡:コンタクトモードの場合
これらの症状には、手術やレーザー治療など他の治療法との併用が必要になる可能性があります。
医師の診察を受け、ご相談ください。
ニキビ跡の改善に必要な施術回数
ニキビ跡治療は、効果を実感するまでに複数回の治療が必要です。
必要な回数の目安
必要な回数は、ニキビ跡の深さや形状によって異なります。ローリング型やボックスカー型といった比較的浅いクレーターの場合、3〜5回以上が目安です。
一方で、アイスピック型などの深いクレーターでは、5~10回以上の治療が必要になることもあります。
ジェット噴射の力で癒着した皮膚の線維を断ち切り、薬剤を注入することで、内側から凹んだ皮膚が持ち上がっていきます。
効果を実感するタイミング
効果の感じ方には個人差がありますが、多くの方が2~3回目の治療から肌の変化を実感し始めます。
中には薬剤が皮膚内部に均一に届き、コラーゲンやエラスチンの生成が活発に行われることで1回の治療で改善が見られた症例もあります。
治療は1カ月に1回のペースで、3~5回を目安に継続していただくのがおすすめです。注入する薬剤(ジュベルック)が、時間をかけてゆっくりとコラーゲンを生成するためです。
継続的な治療が必要
ニキビ跡治療は、一朝一夕にはいかない根気のいる治療です。複数回の治療を重ねることで、コラーゲンが蓄積され、肌が根本から再構築されていきます。
また、治療による美しい肌の状態を維持するには、6カ月から1年ごとの定期的なメンテナンスを推奨しています。
キュアジェット治療で知っておきたいこと
安心して治療を受けていただくために、ダウンタイムや副作用、治療を受けられない方について説明します。
ダウンタイム・副作用
針を使用しないため、従来の注入治療に比べて体への負担や感染リスクは低いとされています。
しかし、以下のような副作用が起こる可能性があります。
- 内出血
- 赤み
- むくみ
- 色素沈着
- ごくまれに硬結など
これらの症状は、数時間〜数日間で自然に治まることがほとんどです。
治療を受けられない人
安全のため、以下に該当する方はキュアジェットの治療を受けられません。
- 妊娠中の方
- てんかん・高血圧・糖尿病・皮膚悪性腫瘍・自己免疫疾患といった持病のある方
- ケロイド体質の方
- 色素沈着が残りやすい方
- 血液サラサラの薬を服用中の方・出血傾向のある方
- 麻酔によるアレルギーがある方
他のニキビ跡治療との違い
ここでは、キュアジェットと、他の代表的なニキビ跡治療との違いを比較します。
【代表的なニキビ跡治療の比較】
キュアジェット | ダーマペン | フラクショナルレーザー | ポテンツァ | |
効果 | 凹んだニキビ跡(クレーター)、肌のハリ改善、小じわ | 凹んだニキビ跡(クレーター)、毛穴の開き、肌質改善 | 深いクレーター、傷跡、強力な肌の入れ替え | 凹んだニキビ跡、赤みのあるニキビ跡、毛穴、肝斑 |
痛み | 少ない(当院では麻酔クリーム使用) | あり(当院では麻酔クリーム使用) | 強い(麻酔クリーム必須) | あり(当院では麻酔クリーム使用) |
ダウンタイム | 数時間〜数日間 | 数日〜1週間 | 1週間前後(点状のかさぶたができる) | 数日 |
仕組み | 高圧ジェット噴流で薬剤を真皮層に注入する | 極細針で皮膚に微細な穴を開け、創傷治癒を促す | レーザーの熱で皮膚に微細な穴を開け、皮膚再生を促す | 針+高周波(RF)の熱で創傷治癒とコラーゲン産生を促進する |
ダーマペンとの違い
最大の違いは物理的な針を使うかどうかです。
ダーマペンは極細針で肌に穴を開けるため、キュアジェットに比べて痛みを感じやすく、ダウンタイムも長くなる傾向があります。
薬剤の浸透の仕方についても、高圧で直接注入するキュアジェットの方が効率的に届けやすいと言えます。
フラクショナルレーザーとの違い
大きな違いは、フラクショナルレーザーが強力な熱エネルギーを用いる点です。
熱で破壊された皮膚が生成された健康な皮膚と入れ替わるため、非常に深いクレーターに対して高い効果を発揮することがあります。
しかし、その分、痛みとダウンタイムはキュアジェットより格段に強く、長くなります。
ポテンツァとの違い
ポテンツァは針と高周波(RF)の熱を組み合わせた治療です。
キュアジェットが圧力のみでアプローチするのに対し、ポテンツァは複数の作用で効率的に治療を進めます。
ポテンツァの方が針と熱による痛みを感じやすく、ダウンタイムもキュアジェットよりは長くなります。
たにぐち皮膚科のキュアジェット治療の特徴
当院では、安心して最適な治療を受けていただくため、以下の点を大切にしています。
- 薬剤は「ジュベルック」を使用
ニキビ跡治療の効果を最大限に引き出すため、持続的なコラーゲン生成促進効果に優れた「ジュベルック」を専門的に使用しています。
- 丁寧な診察とカウンセリング
施術前には必ず医師が一人ひとりの肌の状態を丁寧に診察し、お悩みやご希望を詳しくお伺いします。その上で最適な治療法を提案し、十分にご納得、ご同意いただいた上で施術を進めますのでご安心ください。
費用
キュアジェットは、公的医療保険が適用されない自由診療です。
治療内容 | 費用(税込) | |
コンタクトモード | ニキビ跡の凹み治療:2cmx2cmのまとまった範囲、または5箇所までに接触照射 | 33,000円 |
トーニングモード | 肌質や毛穴の改善:全顔中空照射 | 55,000円 |
コンタクトモード+トーニングモード | 両頬のニキビ跡に接触照射+全顔中空照射 | 132,000円 |
薬液はジュベルックのみになります。
よくある質問
ニキビ跡の色素沈着には何が効きますか?
茶色いシミのようなニキビ跡の色素沈着には、ビタミンCが有効です。
ビタミンCには、抗酸化作用やメラニンの生成を抑える働き、肌のターンオーバーを正常化する働きがあります。
ビタミンC配合の化粧品や、サプリメント・内服薬などを取り入れるのがおすすめです。
トーニングモードとの併用はどのような効果がありますか?
コンタクトモードでニキビ跡の凹みを集中的に治療し、トーニングモードで顔全体のハリ感アップや小じわ・毛穴の改善をすることで、より総合的な美肌効果が期待できます。お肌全体の質感を高めたい方におすすめです。
ニキビ跡をキュアジェットで治療したい方は、川崎駅前たにぐち皮膚科へ
キュアジェットは、痛みやダウンタイムを抑えながら、ニキビ跡の根本原因にアプローチできる効果的な治療法です。
長年ニキビ跡にお悩みの方、従来の治療では満足できなかった方は、ぜひ一度、川崎駅前たにぐち皮膚科へご相談ください。専門医が、あなたの肌に最適な治療を提案いたします。
参考文献
学術資料「BAZ BIOMEDIC|CUREjet」
<キュアジェットについて>
・未承認医薬品等
キュアジェットは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
・入手経路等
バズバイオメディック社から個人輸入しています。
・国内の承認医薬品などの有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に関する情報
韓国KFDAの承認を受けており、注射式シリンジ/液状の薬液を磁力やバネで噴霧し、皮膚に通して注入する装置として安全性が認められています。