ニキビだと思って様子をみていたできものが、なかなか治らない、少しずつ大きくなってきた、押すとしこりのように触れるときは、ニキビではなく粉瘤(ふんりゅう)の可能性があります。
ニキビと粉瘤は、皮膚にできる盛り上がりとして見た目が似ることがありますが、できる仕組みも治療方法もまったく異なります。ニキビは毛穴の詰まりやアクネ菌の増殖、炎症によって起こる皮膚の疾患です。一方の粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に角質や皮脂がたまっていく良性の皮下腫瘍を指します。
見分けがつかないまま自分で潰したり、内容物を無理に押し出したりすると、炎症や感染を起こしたり、傷跡が残ったりすることもあります。気になるできものは、早めに皮膚科で診てもらうことが大切です。
この記事では、ニキビと粉瘤の見分け方、受診の目安、似たできものとの違い、それぞれの治療方法について解説します。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
2007年に東京大学を卒業後、東京大学医学部附属病院を中心に総合病院やクリニックで一般皮膚科、小児皮膚科、皮膚外科手術、アレルギー、美容皮膚科領域の診療を行ってきました。その経験・知識を活かし、幅広い医療機器を備えて、様々な皮膚のトラブルの助けになれるよう取り組んで参ります。
ニキビと粉瘤の見分け方

ニキビと粉瘤は、どちらも皮膚にできる「ふくらみ」として現れるため、初期の段階では見分けにくい場合があります。ただし、できる仕組みや経過には違いがあり、いくつかのポイントに注目するとある程度の判断ができます。
ニキビは、毛穴に皮脂や古い角質が詰まり、そこにアクネ菌が増えて炎症を起こすことで生じます。大きさは数mm程度にとどまることが多く、数日から数週間で落ち着いていくのが一般的です。
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に角質や皮脂がたまって少しずつ大きくなります。最初はごく小さなしこりのように感じる程度でも、時間をかけて数cmほどまで成長することもあります。
中央部分に黒い点のような開口部が見られたり、強く押すと臭いのあるドロドロとした内容物が出てきたりするのも、粉瘤の特徴のひとつです。
ただし、黒い点が見えない粉瘤や、押しても内容物が出ない粉瘤もあります。見た目だけで自己判断するのは避け、なかなか治らないできものや、しこりとして触れるふくらみがあるときは、皮膚科で診察を受けるようにしてください。
ニキビと粉瘤を見分ける6つのポイント

ニキビと粉瘤は、見た目だけでは判断がむずかしいことも少なくありません。ここでは、自分でできものを観察するときに参考になる6つのポイントを紹介します。
あくまでも目安であり、最終的な診断は皮膚科で受けてください。
中央に黒い点があるか
粉瘤では、盛り上がりの中央に黒い点のような小さな開口部が見えることがあります。これは、皮膚の下にできた袋と皮膚の表面がつながっている部分にあたります。
ニキビにも「黒ニキビ」と呼ばれるものがありますが、こちらは毛穴に詰まった皮脂や角質が酸化して黒く見えている状態です。黒ニキビが毛穴そのものの黒ずみとして見えるのに対し、粉瘤の開口部はできものの頂点に小さな点状で現れることが多いという違いがあります。
ただし、粉瘤でも黒い点が見えないケースはあります。黒い点の有無だけでニキビか粉瘤かを決めつけず、ほかの特徴とあわせて判断することが大切です。
できものの大きさが変化しているか
ニキビは炎症で大きく腫れた場合でも、数mm程度の大きさにとどまることがほとんどです。一方で粉瘤は、はじめは数mmの小さなふくらみでも、時間をかけて少しずつ大きくなる傾向があります。
放置しているうちに数cm以上に成長することもあり、大きくなるほど手術時の切開範囲も広がり、傷跡も残りやすくなります。長期間同じ場所にできものがある、以前と比べて大きくなっている、しこりがはっきりしてきたといった場合は、粉瘤の可能性も考えておくとよいでしょう。
臭いのある内容物が出るか
ニキビを潰したときに出てくるのは、主に皮脂や膿です。これに対して粉瘤では、袋の中にたまった角質と皮脂が混ざったドロドロの内容物が出てくることがあります。
粉瘤の内容物は、チーズのような臭いや腐ったような臭いと表現されることもあり、独特のにおいをともなうのが特徴のひとつです。臭いのある内容物が出てきたときは、粉瘤を疑ったほうがよいかもしれません。
なお、自分で押し出そうとすると、炎症や感染を起こして悪化させてしまうおそれがあります。気になっても無理に潰さず、皮膚科を受診してください。
触ったときにしこりを感じるか
炎症を起こしたニキビでも、触ると硬く感じることはあります。ただし粉瘤は、皮膚の下にできた袋そのものが、丸いしこりとしてはっきり触れることが多いという違いがあります。
ニキビと比べて弾力があり、コリッとした塊として感じられる場合は、粉瘤の可能性が高まります。しこりが長く残っている、押すと少し動くような塊があるといったときは、粉瘤のほか脂肪腫など別のできものも考えられます。
触りすぎるとかえって炎症を招くこともあるため、確認は最小限にとどめましょう。
痛み・赤み・熱感があるか
赤ニキビや黄ニキビでは、赤みや痛みをともなうことがあります。粉瘤は炎症が起きていない状態では、痛みやかゆみといった自覚症状はほとんどないのが一般的です。
ただし粉瘤に細菌感染や炎症が加わると、急に赤く腫れ上がり、熱感やズキズキとした痛みが出てくることがあります。この状態は炎症性粉瘤と呼ばれ、袋の中に膿がたまっている場合には、切開して膿を出す処置が必要になることもあります。
急に痛みが出てきた、赤みが広がっている、できものが熱を持っているといった症状があれば、早めに皮膚科を受診してください。
治り方・くり返し方に違いがあるか
ニキビは炎症が落ち着けば、自然に軽快していくことがあります。ただし、炎症の強いニキビやくり返すニキビは、色素沈着やクレーターといったニキビ跡を残すことがあるため注意が必要です。
一方で粉瘤は、袋状の構造物そのものが皮膚の下に残るため、内容物だけを出しても根本的な解決にはなりません。一時的に小さくなったように見えても、袋が残っているかぎり再び大きくなることがあります。
同じ場所にしこりが残り続けている、腫れをくり返している、内容物が出てもまた膨らんでくるといった場合は、粉瘤を疑って一度診察を受けることをおすすめします。
ニキビとは?

ニキビは、皮脂の分泌や毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖などが関係し、白ニキビや赤ニキビなど症状の段階によって見え方が変わります。
ここでは、ニキビができる原因や種類、放置した場合に起こりうる変化について解説します。
ニキビができる原因
ニキビは医学的には「尋常性ざ瘡」と呼ばれる皮膚疾患で、主な原因は皮脂の過剰な分泌、毛穴の詰まり、そしてアクネ菌の増殖の3つです。
毛穴に古い角質や皮脂が詰まった状態が、ニキビのでき始めにあたります。さらに、毛穴の中でアクネ菌が増えると炎症を起こし、赤く腫れたニキビへと進んでいきます。
思春期は男女ともにホルモンの影響で皮脂分泌が活発になるため、ニキビができやすくなる時期です。一方で大人になってからのニキビは、あごやフェイスラインにくり返しできやすいという特徴があります。ホルモンバランスの乱れ、ストレス、生活習慣、スキンケアなど、さまざまな要因が関係していると考えられています。
ニキビの種類
ニキビは、毛穴の詰まりや炎症の程度によって、いくつかの種類に分けられます。軽い段階に見えても、炎症が進むと痛みや腫れをともなうことがあるため、状態に合わせた治療が大切です。
白ニキビは、毛穴に皮脂や角質が詰まった状態です。まだ炎症は目立たず、白く小さな盛り上がりとして見えることがあります。
黒ニキビは、毛穴が開き、詰まった皮脂が空気に触れて酸化し、黒く見える状態です。汚れが付いているように見えることがありますが、無理に押し出すと炎症につながる場合があります。
赤ニキビは、毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こした状態です。赤く腫れたり、触ると痛みを感じたりすることがあります。
黄ニキビは、炎症がさらに進み、膿をともなう状態です。強く押したり潰したりすると、炎症が広がり、ニキビ跡につながる可能性があります。
しこりのように硬く触れるニキビは、炎症が皮膚の深い部分まで及んでいることがあります。深いニキビや結節・嚢腫性のニキビは跡が残りやすいため、自己判断で様子をみずに、皮膚科での治療を検討しましょう。
ニキビを放置するとどうなる?
ニキビをそのままにしておくと、炎症がくり返されることでニキビ跡につながることがあります。
ニキビ跡には、赤みが長く残るもの、茶色っぽい色素沈着になるもの、皮膚がへこんでクレーター状になるもの、しこりのように盛り上がるものなど、さまざまなタイプがあります。
とくに炎症が強いニキビを自分で潰してしまうと、炎症がさらに悪化し、跡として残ってしまう可能性が高くなります。
一度できてしまったニキビ跡は、治療に時間がかかったり、完全には元の状態に戻りにくかったりすることもあります。
だからこそ、炎症が強くなる前の段階で治療を始めることが大切です。市販薬を使ってもなかなかよくならない、広い範囲にくり返しできているといった場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
粉瘤とは?

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に角質などがたまる良性のできものです。はじめは小さなしこりでも、時間の経過とともに大きくなることがあります。
ニキビと見た目が似ることもありますが、できる仕組みや治療方法は異なります。
ここでは、粉瘤ができる仕組みやできやすい部位、自然に治るかどうかについて解説します。
粉瘤ができる仕組み
粉瘤は「アテローム」や「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ )」とも呼ばれる、良性の皮下腫瘍です。皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に、本来であれば剥がれ落ちていく角質や皮脂がたまっていくことで生じます。
内容物が少しずつ増えていくにつれて、皮膚の表面がドーム状に盛り上がってくるのが特徴です。盛り上がりの中央には、袋と皮膚表面がつながる部分が黒い点のような開口部として見えることもあります。
はっきりした原因がわからないケースも多いものの、外傷や毛穴の詰まり、ニキビ跡などがきっかけとなって発生する場合があると考えられています。「不潔にしているからできる」というものではなく、体質的な要因も関係しているとされています。
粉瘤ができやすい場所
粉瘤は、次のような部位にできやすい傾向があります。
- 顔
- 首
- 耳の後ろ
- 背中
- 胸
- おしり
ただし、これらの部位にかぎらず、粉瘤は体のどこにでもできる可能性があります。とくに自分では見えにくい背中やおしりにできた場合は、気づかないうちに大きくなってしまうことも少なくありません。
触ってしこりがあると感じたら、早めに皮膚科で診てもらうと、状態に合わせた治療方法を検討しやすくなります。
粉瘤は自然に治る?
粉瘤が自然になくなることは基本的に期待できません。
袋状の構造物そのものが皮膚の下に残るため、内容物を押し出して一時的に小さくなっても、袋が残っているかぎりまた内容物がたまってきます。
塗り薬や飲み薬だけで、粉瘤そのものを消すこともむずかしいのが実情です。炎症や感染を起こしているときには、抗菌薬の内服や、切開して膿を出す処置がおこなわれることもあります。ただしこれらはあくまでも炎症を抑えるための対応であり、粉瘤の根本的な治療にはなりません。
根本的に治すためには、袋ごと取り除く手術が必要になります。気になる粉瘤がある場合は、一度皮膚科で相談してみてください。
粉瘤かもしれない症状|皮膚科を受診すべき目安

ニキビと粉瘤は見た目が似ていることもあり、自己判断で経過をみてしまう方も少なくありません。ここでは、皮膚科の受診を検討したほうがよい代表的な症状を紹介します。
市販薬を使っても治らない
ニキビだと思って市販薬を使っているのに、なかなかよくならないという場合は、粉瘤やほかのできものの可能性も考えられます。
粉瘤は皮膚の下の袋状の構造物が原因となるため、市販のニキビ薬で根本的に治すことはむずかしいできものです。市販薬で様子をみているうちに、粉瘤が少しずつ大きくなったり、炎症を起こしたりしてしまうことも少なくありません。
市販薬を使っても変化がない、かえって悪化している、しこりとして残り続けているといった場合は、早めに皮膚科で診てもらうことをおすすめします。
だんだん大きくなっている
粉瘤は、袋の中に角質や皮脂が少しずつたまっていくことで、時間をかけて大きくなる特徴があります。長期間同じ場所にあり、大きさが変化してきているできものは、粉瘤を疑う目安のひとつです。
大きくなってから治療をおこなうと、その分切開する範囲も広くなりがちです。小さいうちに相談しておいたほうが、くり抜き法など傷跡に配慮した治療方法を選びやすくなります。
赤く腫れて痛い
粉瘤に炎症が起こると、赤みや腫れ、痛み、熱感といった症状があらわれることがあります。袋の中に膿がたまっている場合には、切開して膿を出す処置(切開排膿)が必要になることもあります。
ただし切開排膿は、あくまでも炎症を落ち着かせるためにおこなう処置であり、粉瘤の袋そのものを取り切る手術とは別のものです。炎症が強い時期には、まずは炎症を抑える治療を優先し、落ち着いてから改めて袋を取り除く摘出手術を検討するのが一般的です。
痛みが強い、赤みがどんどん広がる、できものが熱を持っている、発熱があるといった症状があるときは、できるだけ早く皮膚科を受診してください。
臭いがある・内容物が出る
押したときに臭いのあるドロドロとした内容物が出てくる場合は、粉瘤の可能性があります。これは、袋の中にたまっていた角質と皮脂が混ざったものです。
強い臭いをともなっているときには、炎症や感染を起こしていることもあります。自分で内容物を絞り出そうとすると、袋が破れて中身が皮下に広がったり、炎症が悪化したりすることがあるため注意が必要です。
臭いが気になる場合でも、無理に押し出さず、皮膚科で相談するようにしてください。
同じ場所にくり返しできる
粉瘤は内容物が出て一時的に小さくなったように見えても、袋が残っているかぎり再び内容物がたまり、また膨らんでくることがあります。
同じ場所にしこりが残り続けている、腫れをくり返している、内容物が出てもまた大きくなってくるといった場合は、粉瘤を疑ったほうがよいかもしれません。
ニキビも同じ部位にくり返しできることがあるため、見た目だけで「またニキビだろう」と判断するのは避けたいところです。何度もくり返すできものは、一度皮膚科できちんと診断を受けることが、適切な治療への近道になります。
ニキビや粉瘤に似たできものとの違い

皮膚にできるしこりやふくらみには、ニキビや粉瘤のほかにもさまざまな種類があります。ここでは、見た目が似ていて間違えやすいできものとの違いを解説します。
イボとの違い
イボは、ウイルス感染や紫外線、摩擦などが関係してできる皮膚の盛り上がりの総称です。原因や種類によって、できやすい部位や見た目に違いがあります。
ウイルス性のイボは手足にできやすく、触れた手でほかの部位を触ると広がってしまうことがあります。
加齢にともなってあらわれる「脂漏性角化症」は、顔や頭にできやすいタイプのイボです。首やワキにできやすい「軟性線維腫」と呼ばれるイボもあり、衣類とこすれて痛みを感じることもあります。
これらのイボはいずれも、皮膚の表面が盛り上がるかたちで現れます。一方の粉瘤は皮膚の下に袋状の構造物ができるため、表面の変化よりも、しこりとして触れる感触のほうがはっきりしているという違いがあります。
脂肪腫との違い
脂肪腫は、皮膚の下にできる良性の腫瘍のひとつで、肩や背中、首、腕、おしり、太ももなどにみられることが多いできものです。脂肪細胞が増えた塊のため、触るとやわらかく感じられるのが特徴です。
粉瘤は袋の中に角質や皮脂がたまったできものなので、脂肪腫と比べると硬く触れる傾向があります。また、粉瘤は皮膚と袋がつながっているため、皮膚を動かすと一緒に動くことが多い一方、脂肪腫は皮膚よりも深い層にあるため、皮膚をつまみ上げてもしこりが一緒に動きにくいという違いもあります。
脂肪腫は炎症を起こすことがほとんどありませんが、粉瘤は炎症が加わると赤く腫れて痛みをともなうことがあるという点も、見分けるうえでの目安になります。
おできとの違い
おできは、毛穴の奥にある毛包に細菌感染が起こり、赤く腫れて痛むできものです。毛穴を中心に赤いしこりができたり、膿をともなったりすることがあります。
粉瘤も炎症を起こすと、赤く腫れて痛むことがあります。そのため、炎症を起こした粉瘤は、おできと似て見える場合があります。
違いとして、おできは細菌感染による炎症が中心です。一方、粉瘤は皮膚の下にできた袋状の構造物が原因で、その袋に内容物がたまることでしこりとして触れるようになります。
赤く腫れて痛いできものは、ニキビ、おでき、炎症を起こした粉瘤など、複数の可能性があります。自分で潰したり、膿を出そうとしたりすると炎症が悪化することがあるため、自己判断せず皮膚科を受診しましょう。
ニキビや粉瘤を自分で潰してはいけない理由

ニキビや粉瘤ができると、つい自分で潰したくなってしまうことがあります。しかし、自己流の処置はかえって悪化を招くことが少なくありません。
炎症が悪化することがある
ニキビを無理に潰すと、刺激によって周囲の皮膚にまで炎症が広がってしまうことがあります。粉瘤の場合も、強く押すと皮膚の下にある袋が破れ、内容物が周囲に漏れ出して炎症が広がるおそれがあります。
さらに、指や爪に付いた雑菌が傷口から入り込むと、赤みや痛みがいっそう強くなる場合もあります。膿や内容物が出てきて一見落ち着いたように見えても、実際には治っていないことが多いため注意が必要です。
傷跡が残りやすくなる
ニキビを無理に潰してしまうと、赤みが長く残ったり、茶色っぽい色素沈着になったり、皮膚がへこんでクレーター状の跡として残ったりすることがあります。
粉瘤を自分で潰した場合も、炎症が強くなることで、その後治療をおこなう際の傷跡が目立ちやすくなる可能性があります。炎症が強い状態だと、すぐに手術ができず、まずは炎症を抑える処置から始める必要があるため、治療全体の期間が長引いてしまいます。
跡をできるだけ残さないためにも、自己処置で悪化させてしまう前に皮膚科で相談することが大切です。
根本的な改善にならない
粉瘤は、中の内容物だけを出しても、袋状の構造物が残っていると再び内容物がたまる可能性があります。自分で押し出して一時的に小さくなったように見えても、粉瘤そのものが治ったとはいえません。
粉瘤の根本的な治療では、皮膚の下にある袋状の構造物を取り除く必要があります。炎症をくり返している場合や、同じ場所にしこりが残っている場合は、手術を含めた治療を検討します。
ニキビだと思っていたできものがなかなか治らない、同じ場所にくり返す、しこりのように触れる場合は、粉瘤など別のできものの可能性もあります。自己処置を続けず、皮膚科で診断を受けましょう。
ニキビの治療方法

ニキビ治療では、毛穴の詰まりや炎症の程度に合わせて、外用薬や内服薬、処置などを組み合わせます。
外用薬
ニキビ治療の基本となるのが外用薬です。毛穴の詰まりにアプローチする薬や、炎症やアクネ菌の増殖を抑える薬を、症状に合わせて使い分けます。
代表的なものとして、毛穴の詰まりを整えるアダパレン、菌の増殖や炎症を抑える過酸化ベンゾイル、抗菌作用のある外用薬などが選択肢になります。
白ニキビや黒ニキビといった炎症のない段階でも、毛穴の詰まりを整える治療を続けていくことが大切です。外用薬は数日使っただけで判断するものではなく、一定期間継続しながら肌の変化をみていく必要があります。
内服薬
炎症が強いニキビには、抗菌薬の内服を検討することがあります。症状や体質によっては、漢方薬を組み合わせて処方することもあります。
内服薬は、自己判断で長く続けたり、途中でやめてしまったりせず、医師の指示にそって使用することが重要です。なかなか落ち着かないニキビや、くり返しできるニキビでは、外用薬と内服薬を組み合わせて治療していくこともあります。
注射薬
炎症が強く、深いしこりのようになったニキビには、炎症を抑える注射薬を使うことがあります。代表的なものとしてステロイドの局所注射があり、腫れや赤みを早めに落ち着かせる目的でおこなわれます。
注射薬はすべてのニキビに用いる治療ではなく、症状や部位を確認したうえで医師が判断します。自分で潰して悪化させてしまう前に、皮膚科で炎症の程度を診てもらうことが大切です。
なお、注射薬で炎症が落ち着いたあとも、再発を防ぐためには毛穴の詰まりを整える治療を続けていく必要があります。
面ぽう圧出
面ぽう圧出は、専用の器具を使って、毛穴に詰まった皮脂や角質を押し出す処置です。白ニキビや黒ニキビなど、毛穴の詰まりが目立つ場合に検討されることがあります。
自分で潰す行為とは異なり、皮膚科ではニキビの状態を確認しながら処置をおこないます。無理に押し出すと炎症や傷跡につながることがあるため、自己処置は避けましょう。
面ぽう圧出は、毛穴の詰まりに対する処置のひとつです。一方で、赤く腫れている部位や、深いしこりのようなニキビでは、外用薬や内服薬など別の治療が必要になる場合があります。
粉瘤の治療方法

粉瘤は、皮膚の下にできた袋状の構造物に角質などがたまってできるできものです。内容物だけを出しても袋が残ると再発する可能性があるため、根本的な治療では袋ごと取り除く必要があります。
くり抜き法
くり抜き法は、専用の器具を使って皮膚に小さな穴を開け、そこから袋と内容物を取り除く方法です。
当院では、局所麻酔をおこなったうえで、3〜6mmほどの「トレパン」と呼ばれる円筒状の器具で皮膚に丸い穴を開け、袋と内容物を摘出していきます。
切開する範囲が小さくてすむため、傷跡を残しにくいというメリットがあります。顔など目立ちやすい部位の粉瘤で選ばれることが多い方法です。
ただし、くり抜き法はどの粉瘤にも使えるわけではありません。周囲の皮膚との癒着がなく、小さな穴から袋を取り出せる程度のサイズであることが目安となります。大きく成長した粉瘤や、炎症をくり返して皮膚と強く癒着している粉瘤には、適さない場合があります。
切除縫縮法
切除縫縮法は、粉瘤の袋に沿って皮膚を切開し、袋ごと取り除いて縫い合わせる方法です。
ある程度大きくなった粉瘤や、炎症を起こしたあとに袋が皮膚とくっついてしまっている粉瘤には、こちらの方法が選ばれることがあります。確実に袋を取り切りやすい一方で、切開する範囲はくり抜き法よりも広くなります。
傷跡の残り方は、粉瘤の大きさやできている部位によって変わってきます。
粉瘤の治療では、袋を取り残してしまうと再発につながるため、状態に合った方法を選ぶことが大切です。どちらの方法でおこなった場合も、術後は抜糸や経過確認のために再診が必要になります。
副作用・リスク

ニキビや粉瘤の治療には、それぞれに起こりうる副作用やリスクがあります。治療を受ける前に、あらかじめ確認しておくことが大切です。
ニキビ治療
ニキビ治療で起こりうる主な副作用は、治療方法によって異なります。
- 外用薬:赤み、乾燥、ヒリつき、刺激感が出ることがある
- 内服薬:薬の種類によっては、胃腸症状などがあらわれる場合がある
- 注射薬:注射した部位の痛み、赤み、へこみなどが起こる可能性がある
- 面ぽう圧出:処置後に赤みや痛み、一時的な刺激感が出ることがある
いずれの治療も、自己判断で薬の量を増やしたり、急に中止したり、ニキビを自分で潰したりする行為は避けてください。気になる症状があるときは、医師に相談しながら治療を進めていきましょう。
粉瘤手術|くり抜き法・切除縫縮法
粉瘤の摘出手術では、くり抜き法・切除縫縮法のいずれの場合も、次のようなリスクがあります。
- 局所麻酔薬に対するアレルギー反応が起こる可能性がある
- 出血、感染、再発、術後の痛みが生じることがある
- 傷跡が残ることがある
手術にあたっては、感染症などを確認するための血液検査を事前におこないます。
術後は通常、1週間後に抜糸と傷の診察、2週間後に組織検査の結果確認のために再診が必要です。なお、頭や手のひら、足の裏など傷の治りに時間がかかる部位では、抜糸が2週間後になる場合もあります。
炎症性粉瘤の切開排膿
粉瘤に炎症や感染が加わり、膿がたまっている状態では、切開して膿を出す処置(切開排膿)をおこなうことがあります。この処置にもいくつか注意点があります。
- 切開後に出血、痛み、感染が起こることがある
- 排膿しやすくするため、切開部は縫わずに開けたまま処置する場合がある
- 傷がふさがるまで2〜3週間ほどかかることがある
- 翌日と1週間後に、創部の確認と処置のための通院が必要
切開排膿はあくまでも炎症を落ち着かせるための応急処置であり、粉瘤の袋そのものは皮膚の下に残ることがあります。そのため、炎症がしっかり落ち着いてから、3か月ほど期間を空けたうえで、改めて袋を取り除く手術を検討するのが一般的です。
たにぐち皮膚科の粉瘤治療の特徴

当院では、粉瘤の診察から日帰り手術まで対応しています。「ニキビなのか粉瘤なのか自分では判断できない」というご相談も歓迎しています。粉瘤と似た見た目をもつイボや脂肪腫といったできものについても、診察のうえで適切な治療をご提案します。
傷跡に配慮したくり抜き法を中心に対応
粉瘤の手術は、傷跡を残しにくいくり抜き法を基本としています。粉瘤の大きさや部位、皮膚との癒着の程度によっては、袋を確実に取り切るために切除縫縮法を選択することもあります。患者さんの状態に適した方法をご提案します。
なお、粉瘤に強い炎症を起こしていて切開が必要と判断した場合には、その日のうちに切開排膿の処置をおこなっています。
保険診療で受けられる日帰り手術
粉瘤の手術は、保険診療の対象となります。日帰りで受けていただけるため、入院の必要はありません。手術の際には局所麻酔を使用し、痛みを抑えながら処置をおこないます。
術後は、抜糸や傷の診察、組織検査の結果確認のために、複数回ご来院いただく必要があります。
通院しやすい立地と診療時間
当院は川崎駅西口から徒歩約3分の場所にあり、平日は19時まで、土曜日も診療をおこなっています。お仕事や学校帰りにも立ち寄りやすい環境です。
「ニキビが治らない」「気になるしこりがある」といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
たにぐち皮膚科の粉瘤治療について詳しく知りたい方は、以下もご覧ください。
https://k-derm.net/disease/disease004
料金
症状があるニキビや粉瘤は、保険診療の対象になる場合があります。ニキビ治療の費用は、診察内容や処方される薬の種類によって異なります。
粉瘤手術は、検査代などを含めて3割負担で約10,000円〜15,000円が目安です。ただし、金額はできものの部位や大きさ、術式、検査の有無、保険の負担割合によって変わります。
項目 | 3割負担の目安 |
|---|---|
初診料 | 約900円 |
再診料 | 約200円 |
処方料 | 約200円 |
切開排膿処置 | 約1,800円 |
皮膚切開 | 約2,200円〜2,800円 |
粉瘤手術 | 約10,000円〜15,000円 |
できものの手術 | 約10,000円〜20,000円 |
実際の費用は、診察後に必要な治療内容を確認したうえで決まります。赤く腫れて痛みがある場合、膿がたまっている場合、手術が必要な場合などで処置内容が変わるため、気になるできものがある方は一度ご相談ください。
よくある質問

Q. 粉瘤を自分で潰してもよいですか?
A. 粉瘤を自分で潰すことは避けてください。内容物が出てきても、袋が皮膚の下に残っているかぎり、再びたまって膨らんでくる可能性があります。
また、強く押すことで袋が破れ、炎症や感染が悪化してしまう場合もあります。すでに潰れてしまった、内容物が出てきているといった場合も、自己処置で様子をみずに、早めに皮膚科で相談するようにしてください。
Q. しこりのようなニキビは粉瘤ですか?
A. 炎症が強いニキビでも、しこりのように硬く触れることがあります。そのため、しこりがあるだけで粉瘤とは判断できません。
ただし、長く残るしこりや、同じ場所にくり返しできるできもの、中央に黒い点があるできもの、臭いのある内容物が出るできものは粉瘤の可能性もあります。
ニキビ、粉瘤、脂肪腫、おできは見た目が似ることもあるため、気になる場合は皮膚科で診察を受けましょう。
Q. 粉瘤は小さいうちに取ったほうがよいですか?
A. 粉瘤は時間の経過とともに大きくなることがあるため、気づいた段階で早めに相談されるほうが、治療方法を検討しやすくなります。
炎症を起こす前の状態であれば、くり抜き法のように傷跡に配慮した治療を選びやすくなります。大きく成長した粉瘤や、炎症をくり返して皮膚と癒着している粉瘤では、切除縫縮法が必要になる場合もあります。
気になるしこりがあるときは、なるべく早めにご相談ください。
ニキビや粉瘤の悩みは川崎たにぐち皮膚科へ

ニキビと粉瘤は、皮膚にできる盛り上がりとして見た目が似ることがありますが、原因も治療方法も異なるできものです。ニキビは毛穴の詰まりや炎症が関係するのに対し、粉瘤は皮膚の下にできた袋状の構造物に角質や皮脂がたまっていくことで生じます。
中央に見える黒い点、臭いのある内容物、しこりとして触れる感触、大きさの変化、治り方の違いなどは、両者を見分けるうえでの目安になります。とはいえ、見た目だけでは判断がむずかしいケースも少なくありません。
- できものがなかなか治らない
- 少しずつ大きくなってきた
- 痛みや赤みがある
- 押すと臭いのある内容物が出る
こうした症状があるときは、自己判断で様子をみずに、皮膚科を受診するようにしてください。
川崎たにぐち皮膚科では、ニキビや粉瘤をはじめ、皮膚にできるさまざまなできものの診察に対応しています。一人ひとりの状態に合わせて治療方法をご提案いたしますので、気になるできものがある方はお気軽にご相談ください。

