重症ニキビや何度も繰り返しできるニキビに悩み、ニキビ治療に有効とされるイソトレチノインが気になっている方も多いのではないでしょうか。また早くニキビを治したい方は、いつ頃から効果が出るのか気になる方も少なくないでしょう。

今回の記事では、イソトレチノインの効果が出る時期や治療期間、治療のポイントなどについてご紹介します。

 

谷口 隆志(たにぐち たかし)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医

2007年に東京大学を卒業後、東京大学医学部附属病院を中心に総合病院やクリニックで一般皮膚科、小児皮膚科、皮膚外科手術、アレルギー、美容皮膚科領域の診療を行ってきました。その経験・知識を活かし、幅広い医療機器を備えて、様々な皮膚のトラブルの助けになれるよう取り組んで参ります。

 

イソトレチノインの治療効果はいつ頃から出る?

症状によって個人差がありますが、早い人では1ヵ月程度、低用量では2~4ヵ月程度で改善がみられたという報告があります 1。また症状が重い場合は、1年ほど継続して服用する場合もあります。

再発リスクを減らすためにはニキビが再発しにくくなったと感じてから、さらに継続した服用が必要なので自身の判断で治療を辞めないようにしましょう。

詳しくは、以下の記事をご参照ください。

イソトレチノインは何カ月飲む?飲み方や注意点について

 

イソトレチノインの治療期間

イソトレチノインは、1日の投与量に応じて約4~6ヵ月が標準的な治療期間です 2

米国ガイドラインでは、最大1mg/kg、欧州ガイドラインでのみ、6ヵ月間の服用が推奨されています 3

再発のリスクを減らすため、ニキビが再発しにくくなったと感じてからさらに2ヵ月の継続した服用が必要です。途中で服用を中止した場合、再発リスクが高くなるといわれています。

当院のイソトレチノイン治療では、6ヵ月の連続服用を推奨しています。詳しくは、以下の記事をご参照ください。

イソトレチノインは何カ月飲む?飲み方や注意点について

 

イソトレチノインの効果はどれくらい続く?

1回の治療期間を終えた患者の70~80%に長期的な効果があると分かった研究があります 4

また1日の投与量が0.3~1mg/kgを最低4ヵ月間続けた場合の再発率は37.3%という報告もあります 2

治療期間全体にわたる累積投与量が再発防止の重要な要因となるため、医師の指示に従った量を飲みきりましょう。累積投与量は、1日あたり120〜150 mg/kgにすることがニキビ治療に役立つことが分かっています 2)。

再発した場合は、再度治療を行う場合もあるので医師にご相談ください。

 

治療のポイント

正しい使用方法

推奨される開始用量は、中等度のニキビの場合は1日あたり0.25~0.4 mg/kg、重度の難治性ニキビの場合は1日あたり0.5 mg/kgとされています 5

当院では、1日1回の服用を1回20mgで治療しています。

医師の診察の下、治療を行う

イソトレチノインは未承認医薬品のため、個人輸入は禁止されています 6

厚生労働省でも、処方箋や医師の指示書に基づいた手続きがない場合は個人輸入はできないと明示しています。詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。

生活習慣の改善

イソトレチノインは脂肪分の多い食事と一緒に服用するとよいとされています

脂肪分を含む食事と一緒に服用することで薬の吸収効率が高まり、消化器系への刺激が減る可能性があるためです。また、服用期間中は紫外線に敏感になることから、日焼け止めを塗るなどの紫外線対策が大切です 7

 

治療の注意点

必要な期間飲む(途中でやめない)

ニキビへの効果を長期的に得るためには累積投与量が重要となるため、自己判断で中止しないことが重要です。

途中でやめてしまった場合はニキビが再発する場合があります。

一方、必要な期間服用した場合は治療後も長期的なニキビへの効果が得られることが分かっているため、医師の治療期間に従って服用しましょう 2)。

副作用に注意する

主な副作用として、乾燥症、口唇炎、ニキビの再発、ドライアイ、頭痛などが報告されています 5

定期的に採血を行い、服用継続の可否を調べる必要があります。

 

副作用について詳しくは、こちらをご参照ください。

イソトレチノインの副作用とは?症状や注意点について解説

禁忌事項に注意する

イソトレチノインは胎児への催奇形性の恐れがあるため、妊娠中は禁忌です 9

胎児への影響を避けるため、イソトレチノインの服用期間中と服用後1ヵ月は妊娠を避けるようにしてください。イソトレチノインの服用を中止してから1ヵ月後には妊娠できる可能性があります。

イソトレチノインの効果

抗炎症作用

アクネ菌による炎症を起こりにくくし、肌状態の悪化を防ぐはたらきがあります。

赤ら顔(酒さ)の代表的な症状である肌の赤みにもアプローチします。

皮脂分泌の抑制

皮脂分泌量を減らすことで毛穴の詰まりにアプローチし、ニキビの発生を防ぎます。

皮脂の過剰な分泌量を減らすことで、毛穴のつまりにアプローチしてニキビが作られにくい肌状態を目指します。毛穴のつまりが影響して起こっているような毛穴の開きにも向いた成分です。

角化異常の正常化

毛穴の詰まりや皮膚が厚くなる症状を防ぎ、ニキビを作られにくい状態に導きます。

イソトレチノインについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

ニキビ・酒さの治療薬!イソトレチノインの効果・副作用・飲み合わせは?

 

イソトレチノインがおすすめな方

  • 重症ニキビを治したい方
  • 赤ら顔が気になる方
  • 繰り返すニキビにお悩みの方

治療の流れ

1.受付

当院では予約「不要」です。

WEB、または窓口で受付してください。

2.問診表

事前問診票がない場合、当日問診票を記載いただきます。問診票記載後に診察となりますので、少しお時間をいただきます。

3.カウンセリング、診察

肌の状態やご希望などをお聞きします。気になることはお気軽にご相談ください。

料金

以下は、自費診療となります。

イソトレチノイン20mg 30カプセル 16,280円(税込)

 

よくある質問

イソトレチノインは保険適用ですか?

イソトレチノインの治療は保険適用ではありません。

30カプセル 16,280円(税込)をご負担いただきます。

服用を忘れた場合、2回分まとめて服用してもよいですか?

飲み忘れてしまった場合でも、複数回分をまとめて服用することはお控えください。次に服用するタイミングがきたら飲むようにしましょう。

ニキビ跡に効果は期待できますか?

イソトレチノインは重症ニキビなどに効果が期待できるため、できてしまったニキビ跡に直接の効果はあまり期待できません。

しかしイソトレチノインのもつ抗炎症作用や皮脂分泌抑制などの作用により、肌状態を整える効果が見込まれます。

 

重症ニキビなどにお悩みの方は、川崎駅前たにぐち皮膚科へ

イソトレチノインは早い人では1ヵ月程度、低用量では2~4ヵ月程度で改善がみられたという報告があります。

当院のイソトレチノイン治療では、6ヵ月の連続服用を推奨しています。医師の説明をよく理解した上で、治療するようにしましょう。

気になる症状がある方は、当院へお気軽にご相談ください。

 

川崎たにぐち皮膚科院長 :谷口 隆志 監修

 

副作用

胎児奇形、流産、早産、皮膚や鼻の乾燥、うつ病、肝機能障害 など

禁忌

  • 妊娠中、または妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方
  • うつ病などの精神疾患がある方
  • ビタミンA過剰症の方
  • 成長期の方
  • 血液検査で異常があった方

注意点

  • イソトレチノインには重篤な副作用として、催奇形性があります。妊娠の可能性がある方、妊娠中の方には処方できません。
  • 個人輸入は避け、自己判断で服用を中止しないでください。
  • 保湿剤や点眼薬を使用することで、乾燥症の軽減につながることがあります 
  • 服用期間中は紫外線の影響を受けやすいため、十分な紫外線対策をしてください 
  • 皮膚の炎症や瘢痕を予防するため、治療中や治療後6ヵ月間はレーザー治療などを避けてください 

<イソトレチノインについて>

・未承認医薬品等
イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。

・入手経路等
Cipla社から個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページをご確認ください。
イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページをご確認ください。

・国内の承認機器の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。

・諸外国における安全性等に係る情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。

・医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

 

参考

(1)Updated Physician’s Guide to the Off-label Uses of Oral Isotretinoin
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24765227/

(2)Oral Isotretinoin and Its Uses in Dermatology: A Review
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37649956/

(3)Comparison of guidelines and consensus articles on the management of patients with acne with oral isotretinoin
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32277497/

(4)Isotretinoin: dose, duration and relapse. What does 30 years of usage tell us?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23013115/

(5)Acne Vulgaris: Diagnosis and Treatment
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31613567/

(6)アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html

(7)Patients’ Knowledge and Information Needs about Isotretinoin Therapy Use in Jordan
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35685597/

(8)Accutane (isotretinoin) and psychiatric adverse effects
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12515789/

(9)Oral isotretinoin for acne
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30484286/

(10)小林 美和.赤ら顔を呈す主な皮膚病 重症痤瘡、痤瘡に伴う赤ら顔治療.美容皮膚医学BEAUTY 赤ら顔の治療戦略を考える.医学出版.2024.7(2).19-25