川崎の皮膚科なら「川崎たにぐち皮膚科」JR「川崎駅」西口より徒歩約3分。保険診療主体で一般皮膚科から手術(ほくろやいぼ、粉瘤)、レーザー(あざやシミ)、紫外線治療(アトピー性皮膚炎、白斑、乾癬)、アレルギー検査(じんましん、花粉症)まで幅広い皮膚のお悩みに対応します。

イソトレチノイン

イソトレチノインは重症ニキビの切り札的飲み薬です。

イソトレチノインとは

イソトレチノインとは

イソトレチノインは、ビタミンA誘導体(レチノイド)に分類される内服薬です。欧米では、抗生物質や外用薬で改善しない重症・難治性のニキビ(尋常性ざ瘡)治療の標準的な薬剤として用いられています。
ニキビの根本原因に作用し、他の治療で効果が得られなかった場合の「切り札」とも言える治療法です。日本では厚生労働省の承認が下りていない未承認薬のため、保険適用外の「自由診療」となります。

イソトレチノインの主な効果と作用機序

イソトレチノインは、ニキビの根本的な複数の原因に同時にアプローチできる唯一の内服薬とされています。主な作用は以下の3つです。

  • 皮脂腺の縮小と皮脂分泌の強力な抑制
  • 毛穴の角化(ターンオーバー)異常の正常化
  • 抗炎症作用

ニキビの根本原因である皮脂の産生を減らし、アクネ菌の栄養源を絶ちます。また、毛穴の詰まり(コメド、面皰)の形成を防ぎ、ニキビの赤みや炎症を直接抑える点も大きな特徴です。

このほか、皮脂腺増殖症への効果も報告されています。

イソトレチノインがおすすめな方|どのようなニキビに効く?

  • 保険診療(外用薬、内服抗生物質など)を長期間継続しても、ニキビが改善しない方
  • 炎症が強く、膿疱(のうほう)や結節(けっせつ:硬いしこり)を形成する重症のニキビの方
  • ニキビ治療を繰り返しても、すぐに再発してしまう方
  • 皮脂分泌が非常に多く、重度の脂性肌の方

治療の流れと効果のあらわれ方

ここでは、イソトレチノインを使った治療の流れと効果のあらわれ方について、説明します。

効果が出る時期

効果があらわれる時期には個人差があります。早い方では内服開始後1カ月程度で皮脂の減少やニキビの改善が見られますが、低用量(少な目の量:0.3mg/kg程度)で治療を開始した場合は2~4カ月程度かかることもあります。

治療期間は症状や体重によって異なりますが、治療期間中に内服する薬剤の総量(積算量)が効果の持続に重要なため、4カ月~6カ月程度の内服継続が必要です。

重要な積算量について

イソトレチノイン治療では、治療効果を高めて再発率を下げることが重要です。そのためには、治療期間中に内服する薬剤の総量「総積算量」において目標を達成することが推奨されています。

目標となる総積算量は「体重(kg) × 120mg~150mg」です(例:体重50kgなら合計6000mg~7500mg)。当院では低用量から開始し、副作用の程度を見ながら医師が慎重に用量を調整します。

治療後の効果はどれくらい続く?

イソトレチノインは、ニキビを強力に抑制するだけでなく、治療終了後も長期的にニキビができにくい状態が期待できるのが特徴です。2012年の報告では、1回の治療コース(4~6カ月)で70~80%の方に長期寛解が達成されたとしています。

また対象者ごとに適切な総量を投与した場合、治療終了後約1年3か月の再発率は18.35%だったという報告もあります。

イソトレチノインの注意点・副作用

イソトレチノインは効果が高い反面、注意すべき副作用がある薬剤です。そのため、必ず医師による医学的管理のもとで内服しなければなりません。

胎児催奇形性

イソトレチノインには、胎児催奇形性という重大な副作用があります。妊娠中または妊娠の可能性がある女性が内服すると、胎児に流産、死産、または重篤な先天異常(脳、心臓、顔面など)を引き起こす可能性が高いと報告されています。

そのため、女性は内服中および内服終了後も最低1カ月、ピルの内服やIUD(子宮内避妊具)など、確実な避妊法を2種類以上併用することが必須です。治療前と治療中には定期的な妊娠検査も必要です。

授乳中も内服できません。また、男女ともに内服期間中および内服終了後1カ月間は献血が禁止されています。

皮膚・粘膜の乾燥

最も多い副作用は、皮膚や粘膜の乾燥です。具体的には、以下のような症状が起こる可能性があります。

  • 口唇炎(唇の荒れ)
  • 皮膚の乾燥
  • ドライアイ(コンタクト使用困難)
  • 鼻の乾燥(鼻血)など

このため、徹底した保湿ケア(リップクリーム、保湿剤、点眼薬など)が必須になります。

定期的な血液検査の必要性

肝機能障害(AST、ALTの上昇)が起こる可能性があるため、定期的な血液検査が必須です

精神症状への注意

うつ病、気分の落ち込み、攻撃性、希死念慮などの精神症状を引き起こす可能性があります。明確な因果関係はわかっていませんが、気分の変化を感じたらすぐに医師に相談してください。

個人輸入はしない

イソトレチノインはインターネット通販などで個人輸入も可能ですが、健康被害のリスクがあるためとても危険です。個人輸入品は、偽造薬や粗悪品(有効成分が異なる、不純物が混入してる、用量が不正確など)である可能性が否定できません。

必須である血液検査や副作用のモニタリングができないため、自己判断で使用せず、必ず医師の診察と処方のもと、厳格な管理下で使用しましょう。

禁忌

イソトレチノインを内服できない方

  • ・妊娠している人、妊娠予定のある人、妊娠する可能性のある人
  • ・母乳を与えている人

併用してはいけない薬

イソトレチノインの服用中は、以下の薬との併用は避けましょう。

  • 「テトラサイクリン系の抗生物質(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)」
  • 「抗てんかん薬(フェニトイン)」
  • 「ステロイド薬」
  • 「ビタミンA」
  • 「セントジョーンズワート」

上記の成分を含んだ内服薬やサプリメントを服用中の方は、イソトレチノインの服用を開始する前に、医師までご相談ください。

症例

治療前と治療後
治療内容 イソトレチノインでのニキビ治療
治療期間・回数 6ヶ月
費用 イソトレチノイン 20mg 30カプセル: 16,280円(税込)
副作用・リスク 口唇炎(唇の荒れ)、皮膚の乾燥、ドライアイ、鼻の乾燥など

費用

以下の治療は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。

イソトレチノイン 20mg 30カプセル: 16,280円(税込)

たにぐち皮膚科の特長

当院では、皮膚科専門医がイソトレチノイン治療のリスクと効果を熟知した上で、一人ひとりに最適な治療を提案します。治療開始前に十分な説明とカウンセリングを実施し、同意をいただいた上での治療開始です。

体重、症状、副作用の程度に応じた適切な用量調整、定期的な診察と必須の血液検査(安全性モニタリング)をしていますが、万が一、副作用が出た場合も迅速に対応できる体制を整えています。また、ニキビ跡の治療との連携も可能です。

よくある質問

イソトレチノインは自費でいくらですか?
イソトレチノイン治療は、厚生労働省未承認薬のため保険適用外となり、全額自費診療となります。当院での費用は、イソトレチノイン20mg・30カプセル(1カ月分):16,280円(税込)です。この他に、初診料または再診料、および治療前と治療中に必須の血液検査料(別途自費)がかかります。
治療中にお酒は飲めますか?
イソトレチノインは肝臓で代謝される薬剤であり、またお酒も同様に肝臓で分解されるため、治療中に飲酒をすると肝機能障害のリスクがさらに高まります。イソトレチノイン内服中は原則として、禁酒していただくことをおすすめします。

イソトレチノインでニキビ治療に取り組みたい方は、川崎駅前たにぐち皮膚科へ

イソトレチノインは強力な効果と引き換えに、重大な副作用のリスクを伴う薬剤でもあります。だからこそ、イソトレチノイン治療は専門知識を持った医師による厳格な管理下で行われなければなりません。

当院では、皮膚科専門医が安全を第一に、診察・検査・処方を一貫して実施します。諦める前に、あなたのニキビの悩みを当院の医師にお聞かせください。

イソトレチノインについて

  • 未承認医薬品等
    イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
  • 入手経路等
    Cipla社から個人輸入しています。 個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページをご確認ください。
    https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/index.html
    イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページをご確認ください。
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html
  • 国内の承認機器の有無
    国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。
  • 諸外国における安全性等に係る情報
    米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
    胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。
参照文献

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