女性型脱毛症(FPHL、female pattern hair loss)とは
女性でも年齢とともに髪の毛が薄くなってきたと悩まれる方は多いです。男性型脱毛症に比べるとお困りの方は少ないですが、40%の女性は50歳までに髪が減ってきたことを実感すると言われています。抜け毛が増えたように感じ、頭頂部を中心に密度が減り、毛が細くなることに加えて、髪の毛の伸びが遅くなります。そのため、分け目が広くなって地肌がみえるようになって困る方もいらっしゃいます。女性型脱毛はいずれの年齢で起こることもありますが、更年期以降に始まることが多いです。徐々に進むというよりは女性ホルモンの減少する時期に半年ほどで急速に進み、その後はゆっくりと進行することが多いです。更年期以降に女性型脱毛が多いことから、女性ホルモンの減少や男性ホルモンが関わっていると考えられています。ただ、男性ホルモンを抑える薬であるフィナステリドが閉経後女性の女性型脱毛症に効果がなかったことから、男性型脱毛症とは起こる原因が違うのではないかと考えられています。全体的に頭部に脱毛が始まる原因として甲状腺機能低下のことがあるので、採血で甲状腺機能は調べて甲状腺機能低下症による脱毛と区別する必要があります。
女性型脱毛の治療
特効薬はありませんが、いくつかの治療を組み合わせることで治療効果を上げることはできます。いずれの治療も自費になります。
ミノキシジル(塗り薬)
男性型脱毛症によく使われる成分ですが、女性型脱毛症にも効果があることがわかっています。休止期から成長期への移行、初期成長期から終期成長期毛(太くしっかりした毛)への移行促進して維持させる作用があります。その他、毛を作る毛乳頭細胞に作用して、毛髪の成長を促進します。毛髪密度の増加とともに毛が太くなることがわかっています。効果を実感するためには最低6ヶ月は治療を続けることが大切です。「リアップ」の商品名で知られています。女性用はリアップリジェンヌという製品でミノキシジルの濃度が1%の製品です。
飲み薬(スピロノラクトン、パントガール)
スピロノラクトンは1日1回の飲み薬で、6ヶ月以上続けることで治療効果が見られることがあります。男性ホルモンを抑えることで抜け毛を減らす効果があると考えられています。男性型脱毛症の治療で使われるフィナステリド(プロペシア)は女性には効果がないことが知られており、女性型脱毛症の治療には使用することができません。ほかにはパントガールというビタミンなどが総合的に配合された飲み薬があり、女性の薄毛(びまん性脱毛症・分娩後脱毛症なども含めて)に効果があることが実証されています。